自然と情報がやってくる

シヨゥ

第1話

「まーたネットにかじりついているのか」

 帰宅した父さんがぼくを見て話しかけてきた。

「やっぱりポータルサイトか。そんなもんばかり見ていたら馬鹿になるぞ」

「でも、情報は命だよ」

「命は命だ。俺たちは情報で構成されているのか?」

「そうじゃないけど。でも、父さんだって会社の人との話題で最近のニュースの話題とか出るでしょ?」

「まぁ出るな」

「こういうポータルサイトで最新のニュースを追っていないと馬鹿にされるんじゃないの?」

「されないな」

「嘘だ」

「本当。まぁ大人だから世間知らずを直接指摘することはないってのもあるが。それに重要なニュースってのはネットにかじりついていなくても周りから入ってくるもんだ」

「本当に?」

「ああ。会社の奴だったり、道行く人の話を聞くだけでも今何が起きているのがわりとわかるもんだ。あとはパッケージや広告だな」

「パッケージと広告?」

「物を簡単にたくさん売るには流行りに乗っかるのが一番だからな。この言葉最近よく見かけると思ったら間違いなくそれが流行りだ」

「たしかに」

「ほらな。最新のニュースや流行りなんてものはネットにかじりついていなくても手に入るもんだ。それよか本読んだり、勉強したりしたほうがなんぼかマシだと思うぞ」

「それが言いたいだけでしょ」

「そうだ。親っていうもんはそういうもんだからな」

 そういうと父さんは鞄の中から本を取り出した。分厚くまるで鈍器のようだ。

「また買ったの? 母さんに怒られるよ」

「ちゃんと小遣いの範囲内だから問題なし。それじゃあネットもほどほどにな」

 そう言って父さんは部屋へと引き上げていく。

「今日はここらへんにしておくか」

 心の底で尊敬する父さんの言葉は非常に重く響いている。もしかしたら今まで費やした時間は無駄だったのではないか。そんな思いすら湧き上がっていた。

 とりあえず今は情報から離れる。それぐらいしか僕にはできそうになかった。

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自然と情報がやってくる シヨゥ @Shiyoxu

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