第17話 お前神の娘だったのか!?
「ふむ。アレが地上に、な」
「そーそー。理壊魔具ってきほんてきには天界管理のはずでしょ?」
「その通り。儂が自ら守護しておったよ」
「じゃあなんで?」
「それには海より深く山より高い理由があってな」
「じゃあいいや、バイバイ」
「つーれーなーいーのー!」
「いい年こいて泣き真似しないでよパパ!」
「イシス。僕、神さまなら簡単になれそうな気がしてきたよ」
「やめてください。天界なんて仰々しい場所にいたら息が詰まります。ただでさえこんなのが溢れているのですから」
「むぅ。こんなのとは言い草じゃな、大魔導士イシス」
「ああはいはい、ごめんなさいね天衣無縫のレプリカさま」
あまりに明け透けな応対。イシスらしくもない無礼な態度。しかもレプリカはそれを好意的に受け止めている。
「イッシィ、パパと知り合い?」
「昔パーティーを組んでいたんです。今にして思えば一生の汚点ですが」
「うぇぇ!?」
アルテミスが飛び跳ねる。僕も同じ気持ちだ。エルナは黙々とクッキーを食べている。
「ふぉっふぉ。そう言うな。あれはあれで有意義じゃった」
「私には全くの無駄な時間でしたがね」
「イシス、妙に冷たいね」
「先ほども言いましたがこれと一緒にいたこと自体が私の失態ですからね。私の思考や価値観が神に漏れていたとか嫌すぎます。ただ者ではないと思ってはいましたがまさか神候補とは思いませんでした。思い出したら腹立たしくなってきました。やはり殺しましょう」
「どうどう、イシス。はーい、いい子だね」
「ゴロニャン♪」
イシスニャンコ。それはアルテミスの役回りな気がするけど可愛いからよし!
「……ふ。お前も少しは変わったのか、イシス」
「まあそこいらの魔族よりは長く生きていますからね。誰が魔王さまよりババアですか殺しますよ。……変わったのはお互いさまでしょう」
辛辣ながらも時折見せる二人だけの世界。もしかして……。
「あ、名誉のために言っておきますが【こんなの】に股を開いた経験はありませんよ。私の身体は魔王さま専用ですから……っ」
「まさかうち以上にパパを雑に扱える人がいるなんて」
神さまを【こんなの】扱い。
さしものアルテミスもドン引きしている。エルナは黙々とクッキーを食べている。
「話が逸れましたね。で、神であるあなたが厳重に管理していた魔具が何故地上に流出したのですか? 事と次第によっては……」
イシスの杖先に魔力が集まる。緩んでいたレプリカの顔が引き締まる。
「実は」
固唾を飲んで見守る。アルテミスは両手を握りしめ、イシスは一度瞬きをし、エルナはクッキーを食べるのを辞めるのかと見せかけておきながらティーカップに手を伸ばして紅茶で口内を潤すと再びクッキーを食べ始めた。
「宝物庫の鍵、かけ忘れちゃった♪」
特大のファイアーボールがレプリカの顔面にぶっ飛んだ。誰も庇う者はいなかった。
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