塾帰りに腹黒色白黒髪お姉さんに拾われました。
枯れ尾花
第1話 夜とお姉さん
その日、俺
高校2年生になっても中学生の頃、思い描いた高校生活では無かった。一応、学年では常に首席だが、美少女に勉強を教えてあげるなどといったイベントも一切なかった。
その理由は鋭い目付きの顔と180cmある身長のせいだと本人は気づいていない。
こんなに気分が沈んでいるのは今日の塾の担当が塾の生徒にも手を出しているという噂の下田という先生だったことも相まっていた。特に男子には厳しく、1問間違ったくらいで大袈裟なため息を吐くのでやってられない。
時計を見ると9時を回っていた。
「もう、こんな時間か」
俺はベンチから立ち上がった。
「まだ、こんな時間なんだよ。少年。」
俺は声が聞こえてきた方向を見た。
そこには黒髪ボブで肌は色白、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるスタイルの良さという点を差し置いても街で2度見されるような美人な女性が立っていた。
「ちょっと付き合ってよ少年。暇でしょ?」
「知らない人にはついていくなって小学校の時教わりました。」
「いいじゃん!今日くらい、いい所連れてってあげるからさ!」
俺はその言葉に少し惹かれた。なんてったってこちとら健康そのものの現役男子高校生だ。そして、正に数分前に現実の平凡さに頭を抱えていたところだ。
「そんなに睨まないでよ~。」
どうやら俺はお姉さんを睨んでいたらしい。
「お姉さんの目的はなんですか?僕高校生なんですけど大丈夫ですか?」
「君身長あるし大丈夫だよ。目的ね~。遊び相手兼ガードマンっていったところかな?ほら私可愛いでしょ!だからよく声掛けられたり、ひどい時には付きまとわれたりするんだよ!君が隣にいれば誰も近づいて来ないでしょ。」
「自分で可愛いって言わないで下さいよ。それと俺に対して結構ひどいこといってますよ。」
「どっちも事実だからしょうがないじゃない。」
お姉さんは悪びれもなく言う。
「で、どうすんの少年~?」
後から思うが、この時の俺はどこか疲れていたし、平凡な日常から解き放たれたいと思っていたので正常な判断が出来ていなかったのだ。
疲れていたらこんな判断はしない。
「お供しますよ。お姉さん。」
「よし!じゃあこの車に乗りたまえ!」
ただ、間違ったとは思っていない。
こうして俺はお姉さんに拾われた。
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