第2話 にっちゃん

何か美少女を拾った。

犬でも猫でも無い様な、だ。

借金塗れの美少女。

俺はその少女に、ご飯をお恵みを、と言われてから。

そのまま自宅に来てもらった。


俺の家族構成としては親父は船旅の人間で。

そしてこの家には妹と俺と母親しか居ないのである.....が。

桜ヶ丘という借金塗れの美少女はニコニコしながら黒縁眼鏡を上げつつ、お邪魔しまーす!、と玄関から入って行く。

俺はその姿に額に手を添える。


「あらあら。いらっしゃい。貴方が桜ヶ丘さんね?」


「はい。奥様。桜ヶ丘桜子と言います!何卒宜しくお願い致します!」


「あらあら。奥様なんて。嬉しいわぁ」


そう言いながら。

笑顔を浮かべながら談笑する2人。

何を意気投合しているのだ.....。

俺は更に困惑しながら母さんの容姿を見る。

何時もの容姿じゃないな。


それは来客(桜ヶ丘)があるからだったのかかなり張り切っている。

服装や.....そうだな。

髪型も、だ。


30代と言われても間違えられそうな感じの若々しい45歳の女性だが。

白髪もシワも無く。

しかも髪の毛を解いている時じゃなく今はポニテとかのせいなのか知らないが今の方が更に若々しい。

20代.....と思える様なメイクでもある。


「凄いですね。私よりお若いです」


「.....そんな事は無いわよ。アハハ。有難うね。桜ヶ丘ちゃん」


「母さん.....何でそんな張り切っているの」


「だって来客でしょう。.....だったら張り切らないでどうするの?」


「いやいや.....」


俺は何度目かも分からないが額に手を添えながら。

そして桜ヶ丘を見る。

妹が出て来ないという事はアイツは部活か。

思いながら.....俺は母さんに向く。


「母さん。取り敢えず恥ずかしいから中に入ろう。通行人が見てる」


「そうね。立ち話も何ですし.....入りましょう。桜ヶ丘ちゃん」


「ですね!はい!」


いえーい、的な感じで入って行く。

何を張り切ってんだよ.....。

そもそも何で俺は美少女を家に招いているのだ。

人生初の家に呼ぶ女の子だってのに.....。

まさかそれが桜ヶ丘になるとは.....。



「お家デカいね」


「そうかね。.....よく分からない」


「そうだよ。絶対に広いよ?だってウチの2倍はある」


そうだな.....確かにな。

俺の親父は一応、防衛省に務めているから。

そのせいかも知れないが家がデカいよな。

思いながらリビングを駆け出して行く桜ヶ丘を見る。

子供かっての。


「あらあら。可愛いわねぇ」


「母さんも止めくれよ。埃がたつよ」


「まあ良いじゃない。アハハ。私は良いと思うわ」


「.....ハァ.....」


そして子供の様にはしゃぐ桜ヶ丘を見ていると。

桜ヶ丘の腹が、グゥ、と鳴った。

俺はビックリしながら見る。

すると予想していたかの様に母さんが、用意しているわ。ご飯、と親指を立てる。

桜ヶ丘は目を輝かせた。


「有難う御座います!!!!!本当にゴチになります!」


「今日はチャーハンと餃子を用意したわ。食べていってね」


「はい!!!!!」


ますます子供かコイツは。

俺は盛大に、溜息×2、ぐらい吐きながら。

この先も溜息を吐くのだろうか、と考えつつ.....外を見る。

そして俺も鞄を下ろした。

するといきなり桜ヶ丘が俺の手を引いてくる。


「ね。一緒に食べよ。にっちゃん」


「.....にっちゃんって何だ.....」


「君の事だよ。だって彼女彼氏になるって言ったじゃん。約束したじゃん」


「あだ名で呼ぶつもりは無いぞ!?いきなり過ぎるだろ!」


「えー。そんなの駄目だよ。私達は付き合っているんだから」


「アホかお前は.....嫌だぞ俺は。女子をあだ名で呼ぶなんぞ」


青ざめた桜ヶ丘。

眼鏡がズレる。

えー!!!!?、と、ガーン、的なショックを受けた。


口が四角くなって、だ。

そんな口出来るんだなコイツ。

青ピクミ◯みたいな.....。


いやいや馬鹿なのかコイツは.....。

確かに彼氏彼女の関係の約束ってか恩返しは聞いたが。

そこまでするつもりは無いぞ。

勘弁してくれ.....。

思っていると母さんがニコニコした。


「まあまあ良いじゃない。日光。.....折角の綺麗な女の子に言われるのよ?そうやって。.....というか貴方達付き合い始めたの?」


「はい!恩返しで付き合う事になりました!!!!!」


「馬鹿野郎!!!!!面倒になるからそういう感じで話すんじゃねぇ!!!!!」


何だってそんな事を言っちまうんだ!?

仮の彼氏彼女だって事になるし!

滅茶苦茶に厄介になりそうだ!

俺は思いながら母さんを見る。


「.....でも嬉しいわ。.....例えそうであっても。.....貴方を大切にしてくれる人が現れた様で」


「.....母さん。昔の事は.....」


「.....あら。御免なさい。.....しんみりになっちゃったわ」


あの記憶は.....どうでも良いのだ。

俺は思いながら首を振ってから桜ヶ丘を今度は見る。

桜ヶ丘は?を浮かべて口を三角形にして見ている。

その姿に、何でもない、と言いながら笑みを浮かべる。


「とにかく食ったらどうだ。桜ヶ丘」


「私の名前はさーちゃんって呼んで♪にっちゃん」


「.....あのな.....お前.....」


顔を引き攣らせる俺。

早くコイツをどうにかしよう。

そう思える感じだった。

何故かと言えば。

学校生活に支障が出そうだしな.....。

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猫が、犬が、じゃ無くて何故か美少女拾いました。.....嘘だろお前 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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