30秒後の君と
曙 春呑
【第一章】記憶
小学校の休み時間は時折別の顔を見せる。
いつもは酷くうるさくて動物園のような…
そう、まさしく動物園といって差し支えはないな。いくつものグループに分かれてギャーギャー喚き散らかして走り回って。何のための校庭だ、外に行けよなんて何百回も思った。
周りの奴らよりませてた俺はどの輪にも入らなかった。というより入れなかったと言うのが正しいのだろう。きっと俺は周りからはうざったく思われていたんだろう。
俺はあんな奴らとは違うと心の中で唱えたし、実際そう思っていた節がある。
だが、ガキの集まりでもシリアスになることってのはいくつかある。
まあ所詮怖い話とか噂話の時しかそうはならないけども。
生憎ながら俺はガキの所詮噂話に耳を傾けて、しかもそれを長い間記憶に潜ませていた。
おそらく、くだらないことほど頭に残るってやつだ。
「ーお母さんの友達のお兄ちゃんが言ってたんだけどー」
多分これで話始まったと思う。お母さんの友達のお兄ちゃんって誰だよもう他人じゃねえか、なんてガキながら思っていたはずだ。
「この街のどこかに何かがあって、そこで何かするとすごいことが起こるらしいよ」
ちょっと何を言ってるのかわかんなかった。英語で言ったら疑問代名詞をコンプに近い形で使ってやがるんだからわかるわけない。
周りのガキも同じ考えだったらしく
「なんだよそれ〜」
「なんもわかってねえじゃん〜」
とか口々に言ってたな。
どの学年にもいるであろうオカルト好き。そんなオカルト好きは俺のクラスにもいた。そいつはどうもそのことについて話したかったらしい。
まあ、オカルト好きってのバカにされて以来どこの輪にも入れてないらしいし、それ故にそれについて話しかけに行けなかったんだろう。
うずうずしてるのが見てわかる。
そんなそいつをみてると目が合ってしまってこっちに気づいたのか駆け寄ってきて
「さっきの話聞いてた?」
なんて聞いてきた。
「実にくだらなくて現実味のない話だと思った。」
「実はそんなことないんだよ。私、詳しく知ってるから話していい?」
どこかに行けといってやりたかったが有無を言わさず話し始めた。
「この街のどこかにちっちゃいお店があって、そこに行くと時間をもらえるんだよ。」
「そうか、そいつはすごいな。もう授業始まるしどっか行けよ。」
適当にあしらい、それで終わった。
そのオカルト好きと話したのは意味のわからないそれだけだった。あまりにもくだらなすぎて記憶にも残らないと思っていた。時間というのは相対的なもので、そいつをもらえるというのがよくわからない。ただのガキの妄想や都市伝説の類だ、と思っていた。
そんな子供の頃の記憶だった。
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