第5話「縁日」

サカナのカナちゃんデス。

今日ワ縁日の神社にって魔入まいまシタ。

早速ヒト殺しと魔入まいりショウ。


「カナカナカナカナ…カナカナカナカナ…」


ひぐらしかと思いまシタか?残念、カナちゃんデス。

おや?あれワ…


「おいおマエ、これワなんだ?」


「おやお嬢ちゃん、金魚掬い知らねえのか?珍しいな」


「金ギョい?」


「おうそうだ。金魚いだ。このを使って泳ぎ回る金魚の中から好きなのを選んで掬い上げるだよ」


「アソび?おマエ、今アソびつったか?」


「おうよ!江戸時代から続く伝統的な遊びだ。よっしゃ!初めて金魚掬いを知った記念に一回やらせてやる!ほら、無料ただでいいから好きなのを選んで掬ってみろ。そうそう、ポイは破れやすいから気をつけな」


タダでいい?金ギョは無事ただじゃ棲んでいないノニ?

ふざけたアソびデスね…

蛇口を捻って出てくる得体の知れない物質が混入しているの入った箱に金ギョを放り込んでおいて金ギョ救い?

呼吸困難にさせておいて救出?

ヒトは偶像とやらを信仰するだけでなく自らがそうなったつもりでショウか…

これワ少し身の程をわからせた方がいいかも知れないデスね。

所詮ヒトは僅か数百万年程度で少し進化しただけの地球の新参モノだと思い出させて殺りまショウ。


「おいおマエ、これワ愉しイカ?」


「聞く前にやってみ……ぐお!」


「アア、殺りマスよ。準備が整っタラな…」


………さてさて、お待たせしまシタ。

ここワとある県の山奥デス!

産業廃棄物の不法投棄がハヤってヒト近付かなくなったのでここへワ誰も来まセン。

場所を移動シタ理由デスが、あれを見てくだサイ!

深く掘られた穴、孔、坑!

その底にはドロドロの産業廃棄物が棄ててありマス!

酷い悪臭デス!きっとヒトや動物の死骸も棄ててあるのでショウ!

そして、ここに神社から捕まえてきたヒト共を…


「おら!さっさ逝けよ!後がツカえてンだカラな!」


「ひいいいいい!!」


「うわああああ!!」


「いやああああ!!」


「うるせエな、黙って落ちロヨ…」


さて、神社で捕まえた奴らざっと六十人くらいを産業廃棄物に放り込んで準備完了デス!

それでワ、ヒト救い開始デス!


「ホーラ、生きたけりゃこれを掴めよ。先着順に三人救って殺るよ」


ありゃらあ?

ワタシが投げたロープがそんなに欲しいんデスかね?ドイツもコイツも我先にと群がってイテ醜悪極まりないデス!

ありゃありゃらあ!?

これは驚きデス!

最初にロープを掴んだ女を二番目の男が近くにあった角材でブッ叩きまシタよ!

角材から飛び出てたクギが女の脳天にブッ刺さって噴水の様に血が吹き出てマス!

これは面白い見世物デス!

ヒトは他のヒトの血を頭から吹き出させて愉しむんデスね!


「おい!さっさと引き上げろ!俺が一番最初だ!」


ありゃらあ…女が死にカケているのに他のヒト共も近付かないみたいデス。

血を吹き出すのがイヤなんデスかね?


「おいテメエ!黙ってねえで早くしろ!はやもん勝ちなんだろうが!」


「…うっせエな。ワカってるよ。つかテメーの力で上がってコイ。木に固定しておいて殺るカラよ」


「ちっ!上等だ!上がったら覚えてろよ!」


…さて、金ギョを救うアソびをシテいるわりにワ誰一人ヒトは救おうとしない事は興ザメなのでワタシは帰りマスかね。

オット、伝え忘れてまシタ。


「おいおマエ、そのロープ切れやすいから…ありゃらあ…もう切れたみたいデスね」


せっかく救いののに切っちゃうとワ…ヒトは愚かデスね。

それにシテも、深さ五メートル以上ある産業廃棄物まみれの絶壁を登る手段が無くなりまシタけど、このヒト共ワどうするんデスかね?

まあ、ヒトは産廃さんぱいが好きで神社に通うらしいので産廃まみれになって死ねるのは本望デスよね。

カナちゃん、今回もイイことをしまシタ!


でワ、ワタシはそろそろ次のヒトを殺しに魔入りマス。

また次の塲ショでアイまショウ。

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