植物魔法で目指せ!快適スローライフ
塩分過太郎
第1話
「ご子息様の魔法適性は『植物魔法』です」
そう告げられた瞬間周りの人達がザワザワ話し始める。
これは不味いか?と思い父親であるクローロテース辺境伯の方を見るとなんだか難しい顔をしている。
ひょっとして俺追放される?いや暗殺者を雇って消すつもりかも。
なんでこんな事を思ったかと言うと、わたくしことベルデ・クローロテース10歳、実は転生者。似た様な魔法を手に入れた主人公が貴族っぽくないと追放されるなろう小説を読んだ記憶があるからだ。
「ベルデどうしたんだぼーっとして鑑定の儀も終わったいつまでもそこにいると次の方の邪魔になってしまうよ。早く戻っておいで」
確かにそうだ、後ろには10歳になった貴族の子供が沢山並んでいる。
変な子供に絡まれたくないのでそそくさと父親のところに帰る。
「用事は終わったし、屋敷に帰ろうかベルテも初めての王都で疲れてるだろう」
そう言った後に周りには聞こえないような小さい声で聞きたい事は有るだろうけど、時間をかけるとゾロゾロ人が寄ってくるから
急いで馬車に乗りに行くよ。
父親にそう言われ周りを見てみると、確かにこちらの様子をうかがいながらジリジリ距離を詰めて来ている人が大勢いいる。
大人しく従った方が良さそうだ。
誰と話すことも無く早足で馬車へと戻って行った。
「ひとまず安全か。ろくに説明しないで悪かったな。あのままだとベルテが危ないかもしれなかったからな」
「それは植物魔法なんて貴族らしくないとかそんな感じですか?」
「成程、ベルテはそんなこと考えてたのか。実際は逆だな。植物魔法は魔力を使って植物を生み出す魔法だ、小麦や高級なフルーツだって魔力だけで生み出せる。上手く使えば、辺境伯領の収入を倍にする事だってできる凄い魔法だ。植物魔法を欲しがらない貴族なんていない」
「そんなに凄い魔法なんですね」
植物魔法なら米とかも作り出せるかもしれない!
この世界じゃ米を見たこと無かったから食べれる可能性が出てきただけですごい嬉しい。
「そうだな。すごい魔法ゆえにクローロテース家をよく思わない連中から狙われることになる。そして植物魔法の唯一の弱点なのが攻撃魔法がない事なんだ」
「つまり、めっちゃ狙われるのに自衛をするのが難しいって事ですね」
「その通りだ。護衛を増やしたり対応は勿論するが、ベルテも1人でどこかへ行ったりしないよう注意するんだぞ」
「分かりました。屋敷の庭で植物魔法の練習でもすることにします」
色々試したいこともあるし。
攻撃魔法がなくても、攻撃的な植物を生み出せるかとか、存在しない植物でも想像で生み出せるのかとか。
今から楽しみだ。
「それにしても何故わざわざ貴族は王都の教会で鑑定の儀を受けなきゃ行けないのですか?今回だって領地の教会で受けれれば植物魔法を隠す事だってできただろうに」
「だからだよ。領地を持ってる貴族が魔法適性を隠したり出来ないように王都の教会で鑑定の儀を受けさせてるんだよ」
そっか悪いことに使われたり、クーデター起こされたりした時に魔法適性不明とか厄介でしか無いもんね。
「ちゃんと考えがあっての事だったんだね」
「そういう事だ。で、今日ディライト公爵家の社交界に招待されてるんだが…」
「パスで父上1人で行ってきてください。
自分は植物魔法の練習がしたいので」
「悪いが強制参加だ、この時期の社交界は10歳になった子の顔みせというのが1番の理由だ。私だけ出席など無理だ」
「俺は次男だから家を継がないし成人したら一般人として生きてくつもりだし社交界とか出たくない」
「魔法の適性によってはそれもありかなと考えていたが、植物魔法に適性をもつベルテを国は手放さないと思うぞ」
うへ〜、追放とかされるより全然はいいけど
監禁されて植物魔法をただ使い続けるとかもやだな〜。そうならないように攻撃性を持った植物の創作はやっぱり重要そう。
帰ったら1番に練習しよう。
「分かりました、今回は参加します。
次からは出ないですからね」
「出来るだけ考慮するよ。それと社交界は15時から始まるから、しっかり準備してね」
父上それは考慮しない人が言う言葉です。
「15時からって早くないですか?」
普通はもうちょっと暗くなってから集まりだして、暗くなってから始まる感じなんだけど。
15時スタートなら14時30分には会場にいなきゃダメだろう。
準備の時間を考えると今から1時間ぐらいしか植物魔法の練習も出来ないだろうし。
「最初に言ったけど、10歳になった子供の顔見せのための社交界だからね。
まだ未成年だし、早めに初めて早めに終わるんだよ。そこまで堅苦しくない社交界だから練習にも丁度良いはずだよ」
成程、そこら辺はしっかり考えられてるのか。
それとやっぱり社交界には今後も参加させるつもりみたいだ。
社交界についてこれ以上考えても何も変わらないし、短い時間で植物魔法を効率よく検証ができるようにするにはどうすれば良いか考え出すのだった。
読んでいただきありがとうございます。
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