第15話 VS魚の座

ピスケスは風に向かって突撃し、目にも止まらぬ早さでオリオンの盾と鎧を破壊した。

「何!?」

「向かい風であの速さ!?」

オリオンとベラトリクスが驚いているとピスケスは槍を地面に突き刺し言う

「びっくりう天したろ?

常識が通じなくてさ。

これが『うおの座』の力『滝登りたきのぼり』さ。

鯉の滝登りのように風や水の流れに逆らえばこの通り早くなる。

その流れが強ければ強い程ね。」

「盾を貫いて鎧まで破壊するなんて、まともに食らったら命は無いぞ」

タビトの言葉に騎士団達は唾を飲んだ。

「盾は消えた。さぁ、次で仕留める!」

ピスケスはまたオリオンに向かって槍を構えた。

他の騎士達はオリオンの鎧が砕けだ光景に怯えて動かなかったが、タビトは急いでオリオンの前に走っていった。

「ケフェウス!聞いて1つ作戦があるの!」ケフェウスはアンドロメダから作戦を聞き「わかった」と頷いた。

「行くぞ!!」

ピスケスが槍を構えながら走り出すと同時にタビトがオリオンの前に立った。

「タビト!?」

「団長が殺されたら騎士団はバラバラになりますから。せめて槍の勢いを殺すぐらいやってやりますよ!」

「仲間思いだね。

けどこの勢いは止まらないさ!」

「それはどうか・・・な!」

ケフェウスはピスケスに向かって小さな石を投げた。

「なるほどね、確かにワタシも人間だ。

早すぎるスピードなら小石でも弾丸並の威力になることもあるし。そのスピードが当たる側でも同じだろうねけれど。

当たらなきゃ意味ないよ」

ピスケスはその小石を槍で弾きタビトに向かって槍を突いた。

「タビト!!」

しかし、槍はタビトどころかタビトの盾すら貫かなかった。

ぉぉぉぉい!?どういう事だ!?

ワタシの槍が貫けない程頑丈な盾!?」

「さっきの石だよ!」

「んん?どういう事かな?ケフェウス君」

ケフェウスのその言葉はピスケスだけではなくケフェウスとアンドロメダ以外の皆が分からないような顔をしていた。

「皆さんは魔法には慣れてるし、元々付けながら戦うのが大変だったからで置いてってるけれど俺とメダは持ってたんだよ

ステラさんから貰った『魔法を殺す石』を」

「魔法を殺す石だって!?

そうか、この石はワタシを攻撃する為じゃなくてワタシの前にあった風の魔法を消す為だったのか。

流石ケフェウス君。良いきだよ。」

「いや、これを思いついたのは俺じゃねぇよ。」

「そうなの

じゃあ誰が。」

ケフェウスは風を出す魔法道具に向かって弓を引くアンドロメダを見た。

そしてアンドロメダは魔法道具に向かって矢を撃った。

その矢には『魔法を殺す石』のブレスレットが結ばれており、風の魔法の影響を受けず魔法道具を破壊した。

い!?分かるよ!風の魔法を封じた仕掛けわね。

けどあそこまで矢を飛ばして1発で的確に破壊するかね!?

いやぁ。こりゃアクエリアス君がやられるのも納得だなぁ。

メダちゃんの作戦は素晴らしいし弓の腕も中々のものだよ。」

「戦闘中に目の前の相手を放置してるとはめでやつだな!」

タビトは持っている大盾でピスケスを殴り飛ばした。

そしてタビトの後ろからベラトリクスが姿を現し、吹き飛ぶピスケスを追いかけながら双剣で首を斬った。

「もうお前と話せないと思うとしいな。

って思うわかねぇか。」

ピスケスの首が吹き飛ぶ所を見た黒装束達は慌てて逃げ出し、ベラトリクスはピスケスから『流星りゅうせい』を奪い取り

『ペテルギウス聖騎士団』達は『アルレシャ』を去った。

去り際の衣擦れの音には気づかず

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る