忘れられ師の英雄譚/第二巻:あらすじ

 聖勇女達と別れ一人旅に戻ったカズトは、バカンスでも楽しもうとウィンガン共和国の首都ウィバンを目指していたのだが、その途中で受けた護衛クエストで知り合った大商人シャリアに気に入られてしまう。


 無事護衛任務を終えた彼だったが、突然ウィバンにいる間自分の屋敷に止まれというシャリアの強引な誘いに反論する。

 すると、元々Sランクの重戦士だった彼女は、ならば戦いで決めようと提案してきた。


 結局その戦いを受け入れ、互いに剣を交える二人。

 そんな中、シャリアの太刀筋にロミナの姿を見たカズトは、より負けられない気持ちを強くし、何とか全力を向け彼女に勝ってみせたのだが。

 シャリアに傷をつければ勝ちというルールの中で、彼女の髪の毛を少しだけ切った事に対し、まるでいちゃもんをつけられるように彼女に責められてしまい、結局一晩だけ世話になる羽目になった。


 カズトが屋敷に滞在する間の世話役として充てがわれた森霊族のメイドの女性、アンナ。

 彼女にウィバンの街の案内を受けている最中、カズト達は怪しげな男達に囲まれた。


 ウェリックの差し金かとの問いかけに、その通りだと答える男達。

 その会話の理由はわからないものの、彼女をさらうのが目的だと知ったカズトは、多勢に無勢の状況下を、魔術、深き眠りの森スリープフォレストにてアンナを含めた全員を眠らせ乗り切ると、彼等を冒険者ギルドに任せ屋敷に戻る。


 未だ眠っているアンナを屋敷の者に任せ、カズトはシャリアにウェリックについて尋ねると、彼はアンナの弟であり、以前アンナと共に暗殺者集団に所属していた者だと知る。


 アンナが目覚め礼を言いに来た所で、カズトはウェリックについてあんなに尋ねると、暗殺から手を洗えない弟をどうか殺してほしいと願い出た。

 ただ、カズトはその願いを聞く代わりに、その覚悟を持ってほしいと彼女に告げるのだった。


 翌日。屋敷を離れ宿に移動したカズトは、街での生活の為の買い出しをしている最中、ひったくりの現場に出くわした。

 うまく相手を引っ掛け、追っていた者がひったくりを捉えたのだが。それはロミナ達聖勇女パーティーの面々だった。


 聖術師の服装だったため、自分だと気づかれなかった彼は、気づけば逃げるようにその場を後にする。

 そして宿に戻ったカズトは、同時に笑顔で仲間といたロミナの無事な姿に、一人涙するのだった。


 次の日、彼の元を訪ねてきたシャリアは、アンナが覚悟を決めたことの伝言と同時に、彼女の元にロミナ達がやってきたことを話してきたのだが、ロミナにカズトを知らないかと尋ねられた彼女は、知らないと答えていた。


 弟子であるロミナに嘘をついたシャリアを不思議に思ったカズトは、彼女の地震に向ける気遣いを信頼し、自分が忘れられ師ロスト・ネーマーである事を告げ、同時にロミナが自身との約束を自分で果たそうとしているはずだからと、この街にいることを伝えないでほしいと頼むのだった。


 アンナとの約束の日の夜。

 彼女共に街の外に出たカズトは、人気のない草原でウェリックと出会う。

 既に闇術あんじゅつの力に囚われ、狂気に満ちた彼と対峙したカズトは、アンナの覚悟を改めて聞くと、彼の奥義、心斬・きわめで彼の闇術あんじゅつの呪いを断ち切った。


 本来の優しさを取り戻したウェリックを、シャリアの元に連れて行くように進言したカズト。

 そんな彼の恩義に感謝したアンナは、以降カズトの世話役として屋敷を離れ共に宿で過ごすこととなる。


 カズトの傷も癒えたある日。

 シャリアからの頼みで封神ほうしんの島の神獣の封印を確認する旅に同行したカズトは、聖術師カルドと身分を偽り、ロミナ達聖勇女パーティーと行動を共にすることになった。


 Sランク冒険者ですら最深部に到達できていないと噂の島の洞窟を、まるで見知ったかのように進むシャリアをカズトは不思議に思いつつも、彼女に協力し共に先に進んでいく。

 と、洞窟を進んだ先で、二体の巨人との戦いを迎えた彼等だったが。ロミナが危うく巨人にやられそうになった所をカズトが助けたものの、彼等二人は崖下に落ちてしまう。


 崖下で目覚めたカズトとロミナは、そこでカズトにそっくりなシャリアの弟、シャルムのギルドカードを見つけ、そこで何があったのかを悟る。

 二人は怪我を押し、皆と合流すべく洞窟を進んでいったのだが、そこで洞窟の罠にかかり、敵に囲まれてしまう。


 互いに満身創痍の中、カズトはロミナを助けるべく身を粉にして戦い、何とかその戦いを乗り切ったが、そのまま意識を失ってしまう。


 次に目覚めた時には帰りの船の上。

 ロミナも無事で、目的だった封神ほうしんの島の再封印がなされたと知り安堵するカズト。だが、ロミナの表情が冴えないことが気になっていた。


 そんな折。

 夜に船の甲板にあがると、そこにいたロミナと二人きりになったのだが、そこで先の戦いで彼がカルドでなくカズトだと気づかれたことを知る。


 自らカズトを探してみせると思っていたのに、何時も気づけば助けられていると涙するロミナに、彼は今回の再会はなかったこととし、改めて自分を探してみてくれと告げた。


 そして甲板での別れ際。

 ロミナから一日だけカズトと思い出を作りたいと言われた彼は、それを受けて数日後、彼女と二人、ウィバンの街を楽しんでいく。

 そして最後の闘技場では、互いに解放の宝神具アーティファクトの試練で受けた心的外傷トラウマを克服すべく剣を交え、互いにまた強くなり再会することを誓うのだった。


 数日後。

 ロミナ達が旅立ったのをカルドとして見送ったカズトは、シャリア達に何も言わず宿に戻ろうとしたが、呼び止められ謝罪を受ける。

 その理由はロミナと過ごす日にシャリアとアンナが彼をつけようとしたからだったのだが。

 カズトはそこで、死の淵を彷徨っていた時に伝言を受けたシャルムの言葉を信じろといい、彼のギルドカードを彼女に渡し去っていった。


 その後、シャルムの墓碑の前で、シャルムを失った過去とカズトに彼の姿を重ねていたと話し、謝罪するシャリアを許したカズトは、明日旅立つと伝えたのだが。

 結局、シャリアが強引にカズトへの護衛のクエストを用意し、彼は呆れながらも彼女とアンナと共に新たな国、マルヴァジア公国へと旅立つのだった。

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