7話 打ち破る力

「くっ…はっ!」


霊夜の剣舞を全て受け流しきるにはほぼ全ての神経を察知に向けなければならない。


そうなると


「俺に、勝つんじゃないのかぁ!?」


「うっ…!」


防御で精一杯だ。反撃する機会が訪れない。

けど必ず訪れる。”あの一撃”を叩き込める瞬間が。


「霊夜!一体、君たちに何があったんだ!こんな、周りの人たちを襲って!」


彼の一撃は重く、力に満ち溢れている。だからといって雑なわけではない。全てが最高火力で、急所を狙ってくる。


「答える必要などない。ただ、壊しつくすだけだ!この腐った偽りの世界を!」


「なっ…何を言ってるんだ!腐った、偽りの世界!?本気で言ってるのか!君たちは、誰よりもこの世界を!」


「黙れぇ!!」


1撃、2撃、3撃、連続で叩き込まれる攻撃。

ダメだ、受けきれない!!


「がはっ!」


肩を刺された。そしてそのまま岩の壁へと叩きつけられる。


「君たちは…大切にしてたじゃないか…!」


「はぁっ…はぁっ…ちが、う。俺、たちは、欲し、かっ」


続く沈黙。そして霊夜は


「力、欲しい。全ての魔術師、賢者もを圧倒する、力…そのために、、、!」


「消えろぉおおお!!!!」


俺に刺さった剣を抜く。そして桜花を纏う魔術。そして俺へと振り下ろされる。


揃っている。

条件が


絶対なる一撃。それが俺に振り下ろされた瞬間、勝利は確定していた。


「地天」


瞬間、周囲の魔力は螺旋を描くようにアビスの剣へと吸収されていく。


「なっ…!!」


霊夜が剣を引く。だがもう遅い。


「目、覚ませよ!!霊夜!!」


無の魔術を纏った剣が、白い光を帯びる。


「天撃っ!!」


周り全てを借り、受け入れ、それを力にする。それが彼の根源魔術。自分が持つ魔の塊に、霊夜の魔術を纏う。魔の塊だけでは意味を成さない。そこに魔術を得たのならば


空気、殺気、全てを斬る。


「うぐっ…あっ!!」


その場に倒れる霊夜。刀が落ちる。

カラン、と静寂に鳴り響く彼の敗北の音が。


勝った。霊夜に。急所は外しているから命に別状はないはずだ。急がなければならない。まだ、彼女がいる。


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