第6話 覚悟を決めろ

「はぁっ…!はあっ…!」


森を走り抜け、結界へと向かう。妖魔が桜を纏ったいた。一体なぜ。だが、この場で桜を扱える魔術といったら。


いいや、考えるな。そんな事あるはずが無い。


「……っ」


感じる。結界の奥からの禍々しい気配を。思わず顔をしかめる。

行こう。行くしかない。セシルも今は居ない。真相を確かめられるのは俺しかいないんだ。


領域へ足を踏み入れる。その瞬間


「ぐっ……!!!」」


魔術による防御結界!?

激しい痛みが体全体に走る。

痛い…痺れる…

けれど…


「ぐっ…ああああああ!!!」


魔術を振り払う。こんな所で体力を消耗してしまった。だが立ち止まる時間はない。この先は進まなければ。


傷ついた身体で、アビスは結界内へ足を踏み入れる。


なんだ、これは。

桜が咲き誇っている。そして…

魂…?魔力の塊が頂上の老樹へ集まっている。そこへ、まずはそこへ向かわなくては。椿が危険な目に?


走り始めたその瞬間


神速、一瞬だった。

地面が斬られる。空気が割れる。


「なっ……!?」


ギリギリでかわしたが、かわせたのは俺がそれを知っているから。


「どうして…霊夜さん…」


気付いていた。いや俺は気付きたく無かった。彼らがこんな…こんなことを…


「この先へは行くな。だからといって帰しもしない。ここでお前は死ぬ」


これまでに感じたことの無い威圧感。

霊夜が持っている刀。あれは正真正銘本物だ。修行中に使っていたものとは違う。


「いったいなぜ!?どうしてこんなことを!」


「そんなに知りたければ、勝って掴み取れぇ!!!」


なっ…速すぎる…これは、”本物”だ。

これは間違いなく命のやりとり。殺すか、殺されるか。流せ。流しきれ。まずはそこか…


は?


「いっ………!!!!!????」


「あがっ!!あああ!!」


やられた。身体が痛い、熱い、死ぬ。

思考がまとまらない。


     目の前  いる

 また来る        


「あぁ…」


霊夜の一撃が再び振り下ろされる。


いや違う。俺は、越える。


越えるんだあぁぁぁあああ!!!!!


抜刀  防御 反撃 

動け俺の全部を使って


「なっ!?」


「勝ちますよ、あなたに」


剣は軽く、一撃は重く、意志は堅く。

さぁ行け。俺は今から、あなたを超えますよ。


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