〈エミ視点〉







沙優ちゃんは私の手を解いてトイレに入って行ってしまい

私もどんな顔でシュウ先輩を見ていいのか分からず

顔を俯かせているとシュウ先輩と一緒に出てきた女の先輩が

「何立て続けに予約あるの?」と笑いながら

部屋へと戻って行き…





誰かが特別なんて事はなく

本当に遊びの一部なんだと理解していると

「カオルは今いないよ」とシュウ先輩の声が聞こえてきて

顔を下げたまま「沙優ちゃん連れて直ぐに帰りますから…」

とだけ答えて部屋に戻ってくださいと伝えた…




シュウ先輩の小さいタメ息が聞こえ誰もいなくなった

廊下でトイレにノックをし「一緒に帰ろう…」と

沙優ちゃんに声をかけていると玄関の扉が開いて

ツカサ先輩とコウ先輩が入って来た





コウ「笑実ちゃん!?」




「あっ…お邪魔してます…」




ツカサ「なんでペットがいんだ?」





ルナ先輩とコンビニで会った話をして

沙優ちゃんがトイレから出てきたら帰りますと伝えると

コウ先輩が「シュウは?」と言って部屋へと入っていき

ツカサ先輩に気まずさを感じ

もう一度「沙優ちゃん」とノックをすると

「お前もしかしてすげーの?」と言われ

何の事だか分からず「え?」と顔を向けた





ツカサ「見た目は普通だし…胸もねーし…

  やっぱりそれしか考えられねーよな?」






私の事を上から下へと見るツカサ先輩の目線が嫌で…

あの日の店長と重なり

ヒョウ先輩の言葉を思い出した…





ヒョウ「逃げ足は遅いしパッととっ捕まえやすいしね…

  危ないと思ったら直ぐに逃げるんだよ?」

 




トイレのドアをガチャガチャと押して

沙優ちゃんに早く出てきてと言おうとすると

腕をグイッと引かれカオル先輩と何度か入った事のある

寝室へと連れていかれ「沙優ちゃんッ」と声を上げたけど

扉と一緒に鍵のかかる音がした






薄暗い部屋の中自分の体がベッドへと

押し倒されているのが分かり「止めてくださいッ」と

体を押し返そうとしてもビクともしないツカサ先輩の体に

怖くなって「沙優ちゃんッ」と叫ぶと

「皆んな楽しんでるから静かにな」と唇に何かが触れ

きついアルコールの味がしてキスをされているんだと分かり

顔を横に反らして「ャッ…めて」と声をあげた




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