行けない…

〈エミ視点〉








ダイキ「笑実ちゃんリキュールの在庫ないよー!」





「・・・・棚の奥ですよ…」





ダイキ先輩の声が聞こえてきて小さく呟き

キッチンを離れて2階に歩いていきながら

少しだけ口の端が上がった




( ・・・・多分わざとだ… )





2階を覗くとダイキ先輩はリキュールのボルトを拭きながら

「見つからないから探して」と笑っていて

本当は探してもいないんだろうなと思いながら

「なんのリキュールですか?」

と聞きながらしゃがんで棚の中を眺めた


 



ダイキ先輩は何となく私が店長を避けたがっている事に

気づいている様な気がした



先輩が「笑実ちゃん!」と下にいる私を呼ぶのは決まって

二人っきりになる時ばかりだし

ダイキ先輩が降りてきて店長と話す事も多かったから…






( うるさい先輩だなんて思ってて悪かったな… )






ダイキ「明日の罰ゲーム何にしようか考えてんだけど

  笑実ちゃん何かいい案ある?笑」





レイ「アイスじゃなくてタバコ買って来てとかがいいよな?」





「レイ先輩だけですよ…

  私はアイスのままがいいです…

  ハーゲンダッ○のストロベリー味がいいです!笑」





レイ「しれっと高いね」





ダイキ「笑実ちゃんはアレが似合うよ…笑」






急に笑い出したダイキ先輩に「なんです?」と聞くと

「恐竜の卵」と言いながらレイ先輩とゲラゲラと笑っていて

どうせ失礼な意味でなんだろうと思い

顔を背けて怒っていると「今度買ってやるよ」と肩を叩かれた





( ・・・・全然違う… )





ツカサ先輩達とは全然違うなと思いながら

棚の奥から言われたリキュールを取り出して

ダイキ先輩に差し出した





サトル先輩に腕を掴まれると痛いし嫌な気分になるけど

ダイキ先輩達に揶揄われても悲しくはならないし

叩かれてもなんとも思わない…





あの日以来あのコンビニには近づかなくなったし

10月13日もシュウ先輩の家においでと誘われたけれど

サトル先輩達に言われた通りに断っていた





( 沙優ちゃんには悪いことしちゃったな… )





私がいかないならと沙優ちゃんもいかないみたいで

少し落ち込んでいた…



 



サトル「ペットが来たらカオルも気使って

  相手してやらなきゃいけなくなるし」






( ・・・・行けないよ… )





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