〈エミ視点〉








カオル「でっ?ツカサと飯に行けって?」


 



「・・・・仲良くしたいらしいです」






少し機嫌が直ったカオル先輩は

マットに胡座をかいて座り

さっきのアキラ先輩達の事を聞いてきた






カオル「別に仲悪いわけじゃないけど?笑」




「私に言われても…」




カオル「ん?まだお仕置き足りない?笑」






カオル先輩の言葉に思わず自分の耳を手で隠す様に

押さえると楽しそうに笑っていて「耳好きなんだね」と

言ってきたから「違います」と少し距離をとった…





カオル「サトルが怒ってたニンニクのパスタは?笑」





「・・・お任せでって言われて…」





わざと長いメニューにした事は

狡いけどカオル先輩には隠した…

「なんで?」って聞かれても答えられないから…





カオル「それで合コンがダメだったって?

  アイツはホントにバカだよね?笑」






機嫌良く笑う先輩を見て

良かったと思いながら麦茶を一口飲むと

カオル先輩のスマホから私の好きな曲が流れ出した…





( ・・・・えっ? )





カオル「もしもし?……もう直ぐ行くよ……うん…」





先にファミレスに行っている先輩達からの電話だと分かり

カオル先輩がもう帰ってしまうのも分かった…




先輩の電話が終わり体育座りをしたまま

カオル先輩をジーっと見ていると「なに?笑」と

笑って聞いてきたからまた「いい曲ですね」と言った





カオル「待ち歌じゃ俺には聞こえないからね…笑」





「学校とかで皆んな振り返りませんか?笑」





カオル「人気者なんだからしょうがないよ?笑」






待ち歌じゃなくなっていた時は

寂しかったけれど着信音の方にしてくれた

理由が凄く嬉しくて「ふふ…」と笑った…





カオル「ツカサも来てるみたいだから

  笑実ちゃんのお願いを聞いてご飯食べてこようかな」





そう言って立ち上がるカオル先輩を玄関まで見送ると

「また悪い子になったりお仕置きするからね?」と

私の鼻を摘みながら言ってきて

「またね」と扉が閉まると直ぐに

ベランダの方へと行きアパートから出てくる

カオル先輩を上から待っていた





先輩は建物から出て来て門を通り過ぎると

振り返ってコッチを見上げてきたから

小さく手を振ってみると先輩も小さく手を振って

皆んなのいるファミレスの方へと歩いて行った…





部屋には入らず手に握っているスマホに視線を下ろし

私も待ち歌にしていた洋楽を着信音にし

ニコニコと緩む自分の頬を感じながら部屋へと戻った






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