〈サユ視点〉







カオル「いつコッチに戻ってくんの?」






声も顔も怖いまま

カオル先輩は笑実ちゃんにいつ帰ってくるのかと

問いかけだしたからヒヤヒヤとしながら

顔を逸らして二人の会話を聞いていた






「えっ…お盆明けの16日です…」





カオル「帰って来た日シュウの部屋に沙優ちゃんとおいで」





「あっ…はい…」






カオル先輩の言葉に「ぇ…」と小さく声を上げると

目の前にいるヒカル先輩も「おい、その日は」と

小声で声をかけたけど顔を上げたカオル先輩の顔は…




( 目が…怖い… )





数分前に見た甘い顔はどこにいったんだろうと

思う位の豹変ぶりに、ファミレスの駐車場と

あの変な店の前で笑実ちゃんの腕を掴んでいた

カオル先輩の顔を思い出し

先々DV…とかないよね?と少し心配になった…





「・・・・試験…頑張ってください…」





また笑実ちゃんが電話を切ろうとしているのが分かり

カオル先輩は小さくタメ息を吐くと

スマホのスピーカーを切ってから立ち上がり

廊下の方へと歩いて行った…





( スマホ壊れて戻ってこないよね… )






ヒョウ「16日は…ここで何するの?誕生日パーティー?」





コウ「いや何も考えないまま呼びつけたんだろ?

  沙優ちゃん達もなんか悪いな…」





サユ「いっいえ… でも16日…大丈夫なんですか?」






恐らく用事…合コンがあったんだろうけど…

いいのかなとヒカル先輩を見ると






ヒカル「アキラ達に何て謝ろうか…」





ヒョウ「アイツらドタキャンきれるからね…」





シュウ「日にちあるから大丈夫じゃね?」






多分初めてここに来た時にいた先輩達なんだろうなと思い

「19日無理だってコッチから断りましょうか?」と

言うと先輩達皆んな首を横に振った…






ヒョウ「あの顔になったカオルはヤバイからね…無理だよ…」





サユ「・・・・笑実ちゃんに…怒鳴ってたりしませんよね?」






消えたカオル先輩の事が急に不安になりだし

廊下に顔を向けると丁度スマホを手に部屋へと戻ってきて…





( ・・・・あれ…顔が… )





ヒョウ「・・・・いや、驚きだね小型犬には…」





私に「はい」と言ってスマホを渡すカオル先輩の顔は

甘くはないけど怒ってる感じもなく普通に戻っていた…





( ・・・やっぱり…カオル先輩って… )


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