電話

〈エミ視点〉








シオリ「実は…彼氏ができたの!笑」





ミカ「えー!どうやって出会ったの?」





試験も終わり8月頭から地元の島に2週間ほど

帰省していて仲の良い友達3人で集まっていた





シオリ「サークルの新歓コンパでなくよくなって

  先輩から花火大会に誘われて…告白されたの!笑」





「いいなぁ!笑 告白はなんてされたの?」





小さなこの島では同級生の女の子は私たち3人だけで

恋バナなんてものも今回の詩織ちゃんの話が初めてだった…






ミカ「笑実は?誰かいい人はいないの?」






「ん?うちは女子短だからねぇ…」


 




シオリ「もう受け身じゃダメだよ!

  今は草食男子なんて言葉もあって

  女の子からアプローチしなきゃいけない時代なんだから」





「・・・・草食男子…」






私が知り合ったあの先輩達誰にも該当しない言葉で

本当にそんな人いるのかなとさえ思った…





シオリ「彼氏に笑実の学校方面に

   友達いないか聞いてみとくよ!」




ミカ「あっ!もうすぐ24時だよ!!」






美香ちゃんの言葉に時計へと目を向け

10.9.8.7とカウントダウンをしていき

「0」になった瞬間おめでとうと

二人から両頬にキスをされた





シオリ「ついに10代最後の年だね?」





ミカ「おめでとう!ケーキ切ろうか…ん??

  誰かスマホ鳴ってない??」





美香ちゃんの言葉にさっき二人からハグをされた時に

スマホがソファーの下に落ちてしまっていたよいで

小さな音が聞こえていた





「あっ!電話だ!」





画面には沙優ちゃんの名前が出ていて

きっとお祝いの電話かなと思いながら通話ボタンを押した




 

「もしもし、沙優ちゃん?」





カオル「ふふ…沙優ちゃんじゃなくてごめんね?笑」






電話の中から聞こえてきたのはカオル先輩の声で

「えっ?」と頭も動きも一瞬停止した…





カオル「笑実ちゃんの誕生日ってウチの試験中なんだね?」





「えっ…あっ…ハイ……すみません…」





カオル「何で謝るの?笑」





「・・・・はい…」





初めてのカオル先輩との電話に緊張して上手く話せず

ソファーの縫い目を意味もなく撫でていると





シオリ「・・えっ…彼氏??」





突然のカオル先輩の声に驚き過ぎてて

詩織ちゃんと美香ちゃんがいた事をすっかり忘れていた…






「ちっ、違う!先輩だよ!」





ミカ「何が先輩よ!?女子短でしょうが?」





シオリ「出会いがないとか言って!笑」






2人の声が入らない様にマイク部分に手を当てて

離れながらカオル先輩に「すみません」と言うと

電話の向こうからは先輩の笑い声が聞こえていた





カオル「俺、笑実ちゃんの彼氏なの?笑」





「ちっちっ、違いますッ!!」





カオル「友達と楽しんでる時にお邪魔だったかな?」





「いえ…あの…嬉しいです…はい…」





カオル「ふふ…笑 笑実ちゃんは電話でも楽しいね…笑」






耳元に響くカオル先輩の声を聞いていると

花火をした日に首筋にキスをされた事を思い出して

ドンドン身体が熱くなっていった…






カオル「帰って来たらお祝いしなきゃね?

    プレゼント何がいい?」




「・・・へっ?」





カオル「19歳の笑実ちゃんに

  何かあげなきゃね、何でもいいよ?」





「・・・・えっと…」





シオリ「笑実ー!

  彼氏いるならさっきの紹介の件無しでいいのよね?」




ミカ「馬鹿!まだ電話してる!!」





扉が開いて詩織ちゃんの声は部屋中に響いていて

もちろん電話の向こうにも聞こえている…





カオル「・・・・・・」





シオリ「あっ…冗談!冗談…です…」





そう言って扉を閉めて消えて行った詩織ちゃんに

置いていかないでと思っていると

無言電話かと思う位にしばらくカオル先輩は

何も話してくれなくて怖くなっていった…





「・・・・あの…カオル先輩…」




カオル「・・・・・・」





謝るのも変だし何て言っていいのか分からず

「試験勉強忙しいですよね…」と電話を切ろうとすると






カオル「いつコッチに戻ってくんの?」





「えっ…お盆明けの16日です…」





カオル「帰って来た日シュウの部屋に沙優ちゃんとおいで」





「あっ…はい…」





カオル「・・・・・・」





「・・・・試験…頑張ってください…」






明らかに声色が機嫌悪く

勝手に通話終了ボタンを押していいのか悩んでいると






カオル「笑実ちゃん…俺明日試験だよ…」





「がっ…頑張って下さい!」





カオル「全然頑張れないし

  全然集中出来そうにないんだけど」





「・・・えっ… 」





カオル「俺の1番好きなところは?」






「えっ??」とビックリしてスマホの画面を見ると

「早く」と低い声が聞こえてきて…






「えっと……イジワル…な所…です…」





カオル「・・・・・・」






数秒の沈黙の後カオル先輩のプッと吹き出す声が聞こえ

「だと思ったよ」と優しい声に戻っていて安心した…



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