〈エミ視点〉









沙優ちゃんと歩いて帰っていると

「どうした!?」とヒカル先輩の声がして足を止めると

少し前の方から小走りで笑いながら

近づいて来る先輩の姿が見えた






ヒカル「なんか垢抜けたな?笑

  〇〇の花火大会行って来たのか?」






「・・・・先輩達は…行かなかったんですか?」





ヒカル「去年までは行ってたけど

  今年は皆んなで海に行って泳いで来たんだよ

  今度一緒に行くか?Bカップの笑実ちゃん達も?笑」





「・・・・・・」





ずっと屋台の横で待っていたのに

花火大会には来ないで海に行っていたと聞き

ドンドン自分の口がとんがっていくのが分かった






サユ「・・・・ヒョウ先輩は?」





ヒカル「えっ?ヒョウ??」






普段私たちの口から出ないヒョウ先輩の名前が出て

「ん?」と驚いていたけど…






ヒカル「いるよ?

  直ぐそこのファミレスに皆んないるから来るか?」





皆んなと聞いてカオル先輩達がいるのは分かったけど…

「ルナ達とは前に飲み会で会っただろ?」と

ヒカル先輩に言われ一気にヒョウ先輩への

ムカムカが増していった…






サユ「・・・・結構です…」





ヒカル「えっ?」





「ヒョウ先輩から…詐欺にあいましたから…」





ヒカル「詐欺??」





「ヒョウ先輩に伝えててください…」





ヒカル「カオル達じゃなくてヒョウ?…ん??」





「小型犬2匹は怒ってますって!」






ヒカル先輩は目を丸くして私たちを見ていたけど

「失礼します」と言ってそのまま沙優ちゃんの家に行き

ずっと前に里奈ちゃん達と4人で飲んだ時の酎ハイが

1本冷蔵庫に残ってあったから二人で飲んでみたけど…






サユ「んっ?」






亜香里ちゃんが選んだそのレモンの絵柄がついてある

500ミリリットルの酎ハイは甘くなく

アルコールの味しかしなくて

眉を寄せながら二人で顔を見合わせ

「不味いね」と言って笑い出した






「なんか…バカみたいだね?笑」





サユ「高いお金払って浴衣とメイク道具買って」





「美容室で着付けと一緒にヘアセットまでして」





サユ「待ち人は来ないどころか…

  海で楽しんでて酎ハイすらも不味いなんて

  ホントにバカみたいだよね?笑」






そう言いながら浴衣の帯が苦しく感じ

手で触っていると「脱いじゃう?」と沙優ちゃんが

クローゼットから部屋着を2着出してきた時に

インターフォンが鳴った




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