漫研の日常の一部!
猫と犬が好き
第1話
本日の授業も無事に終わり放課後。漫画研究愛好会、通称漫研の部室の前にて。
「いくと、くるの遅いですよ」
一畳サイズの畳が二枚置かれており、その上には漫研唯一の部員である
小鳥遊は緋色の癖っ毛が特徴的な女の子であり、俺と同学年。
ちなみに出会いは漫研を立ち上げた次の日に勝手に入り浸っていたので入部させた。その時の会話がこちら。
『ピッキングしただろ』
『漫画が読みたかったんです。先生に突き出しますか?いいですよ別に。この学校は滑り止めでしたし?それに学校生活は面白くないですから停学や退学になっても無問題ですし』
『はあ?するわけないだろ。その代わりにこの愛好会に入部しろ。そうしたらそんな面倒なことをせずに読み放題だ』
『……いいんですか?こんな私が入部しても?』
『ああ。漫画ってのは大勢で読んだ方が面白いからな!むしろ歓迎するぞ!』
『わかりました』
とまあ、こんな感じである。
「すまん。てか、どうしたその畳。柔道部から拝借してきたのか?」
「そんなわけないじゃないですか。部費で買った畳が届いたんですよ。もしや買ったのを覚えていない、とかですか?」
そう言われてみれば以前小鳥遊が「漫画はスナック菓子を食べながら寝転んで読むものです、それが礼儀というものです、異論はいくとでも認めませんよ〜?」と文句タラタラだったので俺が仕方なく顧問の先生と生徒会に掛け合ってようやく買う許可が降りたんだっけ。
過程が辛過ぎたのにすっかり忘れていた。
「すまん」
「別にいいですよ。それよりもこれを運ぶ時に顧問の先生は会議で出払っていて手伝ってくれませんでしたし、いくとは音信不通でしたし私がひとりで運んだんですよー?非力のこの私がー」
「それについてはごめん。けれど、呼び出されちゃってさ」
俺が雑談するノリで口にした次の瞬間。
「いつ?誰に?どこに?なんのために?報告するなら5W1Hを抜かさずにしっかりと漏れのないように報告してください」
「……俺のクラスメートに
「その人に呼び出されたと。そういうことですか?」
「そうだな。で、俺に告白してきたんだよ」
「……いくとに告白?は?は?は?」
「ひえっ!?」
俺は思わず悲鳴じみた声をあげてしまう。
小鳥遊が目にハイライトが無くなり、そして瞳孔が開いて冷たい声でつぶやいているから。
「もしやいくとは「付き合います」などと返事をしたわけではありませんよね?」
「してないしてない!てか、夏越さんと話したこともラブコメみたいに助けたわけでもないのにいきなり告白とか嘘コクしかないだろう?常日頃からラブコメ系の漫画を読んでいる俺が騙されるとでも思うか?」
「……ですよね。すみません。私としたことが取り乱してしまいました」
理解してくれたようで何より。けれど俺が浮気した男のポジションになったのは謎だけどな!
「というか、そもそも小鳥遊はどうして俺が告白されただけでそんなに動揺するんだよ。彼女じゃないのに」
「朴念仁、鈍感。この2つの言葉から察してください」
「でたよ!日本人特有の悪しき文化である“察してください”の文化が!なんにも美しくないんだが!?言語があるなら喋ろうよ!」
「私は良心的ですよ?察するためのヒントをあげているのですから」
「それでもわからないって言っているんだよ」
それは困りましたね、と微笑む小鳥遊。
はあ、もうどうでもいいや。考えてもわからないものはわからないんだし。
「さて、話はここまでにしてとっととこの畳を部室内に運び込んで置こうぜ」
「そうですね。スナック菓子を食べながら一緒に漫画でも読みましょうか」
その後、素早く畳を運び入れて指定の場所に置き、2人で寝転んでスナック菓子を食べながら最終下校時間までめちゃくちゃ漫画を読んだ。
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