第55話 光の記憶3

 光は万物の運び手。

 世界の住人達は、そのことしか光に関して知り得ない。


 一方天使達は、世界を巡る四つの意思について、十分に把握していた。

 何故なら、天使という種族自体が光の延長線上にある存在だからだ。

 光の分身みたいなものなのだ。


 だから、ある程度世界の思考が読み取れる。

 そして、世界の思うこと。

 それは……


 そこで、光に乱れが生じる。

 何だろうか?

 分からない。


 どうやら、先の方で流れに乱れがあったみたいだ。

 感覚で分かる。

 光の動揺が。


 そして、それは俺の元へとやってきた。

 いや、俺がそこへ向かったんだ。

 それは大きな壁だった。


 普通、光は何かに囚われたりはしない。

 風よりも、雲よりも光は自由だ。

 どこへでも行ける。


 なのに、何かに遮られるような感覚が俺を襲った。

 不規則な光の波は、ぶつかった衝撃でどこかへと飛んでいく。

 従って、俺は光に置いていかれたのだった。

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