付録:『美郷荘殺人事件』シナリオ本編
【シナリオ名】 美郷荘殺人事件
【ジャンル】 現代、推理もの
※初心者向けに書いたので、ミステリーが苦手な方でもクリア可能です。
【プレイ時間】 4~5時間
【プレイ人数】 2人
【推奨技能】 なし
【ロスト率】 高
【備考】
隠匿ハンドアウトあり。PVPなし。ロストエンディングあり。
情報はすべて文章で提示するので、文字量は多めです。
【キャラ作成について】
隠匿ハンドアウトの設定を読んだ上で、新規探索者の作成を推奨します。
プレイヤーの関係性は『少し前に付き合い始めて、まだ食事に数回行った程度の関係(恋人同士)』となっています。
なおプレイヤーの性別は(お互いの了解があれば)男同士|(ゲイ)、女同士|(レズビアン)のカップルでもシナリオ的に問題ありません。
●シナリオ概要
とあるペンション、美郷荘に泊まりに来たプレイヤーたち。
だが、そのペンションはいわく付きの場所だった。
宿泊客たちの様々な意図が交錯する中、とある事件が発生する。
プレイヤーたちは、謎を解くことができるか。
●キーパーへ
このシナリオは、あくまで「犯人当てごっこ」を楽しむためのものです。
キーパーはできうるかぎり、プレイヤーに優しくしてあげてください。もし推理が難航しているようなら、KPの裁量で追加ヒントを与えるのもいいでしょう。
ただし、PL1とPL2のハンドアウトに関してだけは厳密に管理してあげてください。それは、お互いにとって”知られたくないこと”であるはずので。
●ゲーム全体を通した決定的成功・致命的失敗について
KPの裁量に任せますが、PL2は最後に巨大なSAN減少が待ち受けているため、SAN増減として処理して上げるとよいかもしれません。
決定的成功:PL2のSAN【1D6】回復。※上限突破してよい。
致命的失敗:出目を出したPLが1ダメージorSAN【1D3】減少。
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●各キャラ ハンドアウト
PL1「偽りの愛」
流れで付き合うことになっているが、あなたにとってPL2は性愛の対象ではない。
実はあなたは、PL2とは違う性別(男なら女、女なら男)を愛しており、その性癖だけはどうしても変えることができないのだ。
とはいえPL2の性格は好きだし、尊敬もしている。
問題はあくまで、PL2の肉体のかたちだけなのだ。
そこであなたは一計を案じる。
あなたは、”別人になれる“と噂される美郷荘へやってきて、PL2を”自分にとって都合の良い性別”に変化させようとしていた。
しかし、そのことを本人に知らせるのは早すぎる。“肉体交換”の情報そのものがガセネタであるかもしれないし、噂が本当だとしても、結果としてPL2を傷つけてしまう可能性もあるためだ。
⇒あなたが幸福なエンディングを迎えるためのヒント
・美郷荘の謎を解き明かす。
・噂の真偽を確かめ、もしそれが事実ならPL2を説得し、“肉体交換”を持ちかける。
※もし“肉体交換”が不可能なら、二人の関係はやがて消極的な破局を迎えるだろう。
※あなたは自分の持ち物に”百万円”を加える。肉体交換のために必要とされる費用だ。一応、先方にはすでに、匿名サイトを通じて連絡済みである。
※あなたは、恐るべき秘術の実在を確信している。《クトゥルフ神話》の技能値を+5する。
▼
PL2「恋する食屍鬼」
あなたの正体は、古より地下世界にて生きてきた神話生物、――食屍鬼である。
とはいえあなたの見た目と性質は、とある秘術の力により人間とほとんど変わらない。
ただ一点、定期的にヒトの屍肉を欲してしまう習性を除いて。
あなたは、この事実を愛するPL1に知られる訳にはいかない。
知られてしまえばきっと、二人は一緒になれないだろう。
⇒PL2が幸福なエンディングを迎えるためのヒント
・なにがなんでもPL1を守り抜く。
・自身の食人癖をPL1に気取らせない。
※あなたはこのシナリオの間だけ《ナイフ》《目星》を+20した値で振っても良い(最大99)。
※あなたは、様々な冒涜的知識を持つ。《クトゥルフ神話》の技能値を+10する。
※あなたは常人を遙かに上回る狂気への耐性を持つ。あなたはこのシナリオの間中、PL1とPL2が“決定的成功”を出すたびにSAN値を1D6回復する(KPがその都度、指示します)。なお、この回復効果は初期値を突破しても良い。
●あなたの持ち物●
弁当箱……非常食。ヒトの屍肉が入っている。
手持ち鞄……護身用のサバイバルナイフが入っている。
スケジュール帳……あなたの最近のスケジュールについて簡単に書かれている。
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●本シナリオの特別ルール
あなたたちは一心同体のカップルだ。美郷荘にいる間、一切の別行動はできない。
また、あなたたちはお互いに対して《応急処置》《医学》《精神分析》を除く、ありとあらゆる技能を使用できない。
さらにあなたたちは、技能の使用を秘匿することはできない。技能を振る時、SANチェックを行うときは、かならず全体チャットで行うこと。
●オープニング前に
お互いが、どのような経緯で出会ったか、お互いのどのようなところが好きかを聞いておいた上でプレイしてもらうと楽しいよ!
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●オープニング
PL1とPL2は、最近お付き合いを始めた恋人同士。
二人がどのような経緯で付き合い始めたにせよ、恋人になったあとの二人の関係はまだ、一、二回ほど食事した程度の状態です。
そんなあなたたちはある日、スキー旅行(五日間)の計画を立てました。
誘ってきたのは、PL1。
滞在先は、G県T市にあるという美郷荘。
そこで二人は、年末の休暇を満喫しようというのです。
※導入のRPを挟んで、次のシーンへ。
【イベント】
『意外なお誘い』
発生条件:PL1の設定が、あまり活動的なキャラではない。
PL2のみ《アイディア》を振って良い。
・成功
あなたは、少しだけ不思議に思う。いつものPL1なら、スキー旅行なんて行きそうにないのに。……ひょっとすると遂に、二人が結ばれる時がきたのかも!
・失敗
あなたは、少しだけ不思議に思う。いつものPL1なら、スキー旅行なんて絶対に行きそうにないのに。
『いつもの二人』
発生条件:PL1の設定が、活動的なキャラだ。
PL1のみ、《アイディア》を振って良い。
・成功
あなたは、内心後ろめたく思いながらも、PL2をスキー旅行に誘っている。だがPL2は旅行好きで、時々ふらっと遠くに出かけることがあるから、きっと喜んでくれるだろう。
・失敗
あなたは、内心後ろめたく思いながらも、PL2をスキー旅行に誘っている。自分のこの邪な想いが、PL2に気づかれてなければ良いのだが。
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●美郷荘 PM16:00
駅から少し歩いたところからロープウェーにのること、十数分。
あなたたちは無事、美郷荘へと到着します。
先日の豪雪の影響が色濃く残る美郷荘は、すでに雪が降り積もっているような状態でした。
雰囲気のあるログハウスの前には、いかにも”山男”といった感じの男が雪かきを行っている最中です。
男はあなたたちを見かけると、笑顔で話しかけてきました。
ニンジロウ「やあやあ、遠いところ、よくいらっしゃいました! 私は、このペンションのオーナー兼管理人の、古里ニンジロウです!」
キャラクター紹介 古里ニンジロウ
ペンションのオーナー。
いかにも”山男”といった険しい表情の男で、がっしりとした体付きをしている。
ニンジロウ「本日は、少し天候がぐずつきそうな気配ですが……さあ、とりあえず部屋に荷物を置いて、ゆっくりしていってください!」
そうして二人は、それぞれの部屋に向かいます。
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●美郷荘の探索 PM17:00
二人は、部屋に荷物を置いた後、ペンション内部を探検することでしょう。
・イベントが発生する場所
談話室/1F廊下/2F廊下/キッチン
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●美郷荘 談話室
あなたたちが談話室に向かうと、一人の男が険しい表情で座っていました。
彼は煙草を吸いながら、何やら奇妙な機械を操作しています。
ササオ「……なんだ。おれはいま忙しいんだが」
ササオ「ああ、あんた、ペンションの客か。……なら、一応挨拶させてもらおう」
ササオ「俺の名前は山城ササオ。刑事をしている」
ササオ「もしここで、なにか妙なものを見つけたら、俺に連絡してくれないか」
ササオ「妙なものは、妙なものだ。……別に何かの事件に巻き込もうって訳じゃない。念のためにな」
※無愛想なおっさん、という印象。
※機械に関して訊ねられても、特に教えてくれない。
キャラクター紹介 山城ササオ
無愛想な感じの男。すこしたばこ臭い。
スキー道具を持たず、ただペンションで過ごすためだけにここに来ている変わった客。
●美郷荘 1F廊下
あなたたちが美郷荘の1F廊下を歩いていると、車椅子に座った女性とすれ違います。
PL1とPL2は《知識》で振って下さい。
・成功
彼女は、中の下程度の知名度のユーチューバー、すぎさっきーこと、杉上サキコです。
すぎさっきーは、その線の細い容姿に似合わぬ身体を張ったネタでウケを取るタイプの芸風で、最近怪我をして休止中だったはずでした。
・失敗
彼女のことをネット広告か何かで見たことがある。有名人かもしれない。
サキコ「あら。私のこと知ってるの? 『はろはろ~、すぎさっきーだよ~♪』なんてね!」
サキコ「(足について質問されたら)ああ、この足のこと? ちょっと前の撮影で怪我をしちゃってね……」
サキコ「(サインなどを求められたら)ごめんなさい。いまはプライベートだから、そういう要望には応えないことにしてるの。でも、写真とかなら大丈夫よ!」
サキコ「(アカリが探していることを伝える)あら、そう。どうも親切に、ありがとう。でも、待ち合わせの時間までもうちょっとあるから、すこしその辺でゆっくりしているわ」
※社交的なロールプレイ。「一ヶ月前にも一度ここに来たこと」、「ここのペンション管理人のアカリと幼なじみであること」などの情報はここで出してもよい。
キャラクター紹介 杉上サキコ
車椅子に座った美人。
●美郷荘 2F廊下
あなたたちが美郷荘の2F廊下を歩いていると、ふいにオーナー夫婦の寝室から、幽霊じみた一人の女の目がこちらを覗いていることに気づきます。
彼女は、あなたたちを見かけるや、幽霊のようにふらりと現れて、このようなことを言うでしょう。
アカリ「さっきーはどこぉ……? さっきーを探してるの……」
アカリ「ああ……どうしてどうしてどうして私……あんなこと……」
アカリ「いやだいやだいやだいやだいやだいやだ」
アカリ「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……」
アカリ「(あなたは誰? と訊ねられたら)私……私は……私は……誰……?」
アカリ「さっきーに会わなきゃ……」
結局彼女は、要領を得ない言葉をいうばかりで、自室の方へ引っ込んでしまいます。
※杉上サキコの居場所について教えられたりしても無反応。
●美郷荘 キッチン
あなたたちがキッチンに向かうと、食器棚の前で、一人の男が立っているところに出くわします。
ケンノスケ「あ! すいません……って、なんだ。ここのお客さんか」
ケンノスケ「ぼく? ぼくはほら、ここで何か、食べれるものがないか探してたんだよ」
ケンノスケ「これからしばらくここで過ごすなら、名乗った方がいいかな。ぼくは古海ケンノスケって言います。別に怪しいものではないです。今後ともよろしく……」
キャラクター紹介 古見ケンノスケ
少し落ち着きがない雰囲気の、中年の男性。
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●引き続き、談話室 PM 19:00
夕食のメニューは、美郷荘名物だという、牛すじ煮込みカレーです。
オーナー手製だというそのカレーは、スパイスたっぷり、タマネギのうまみが溶け込んだヘルシーなカレー。
丁寧に煮込まれた牛すじは、噛み応えと食べやすさを両立した絶妙な味わいで、噛めば噛むほど肉の味が口いっぱいに広がります。
鮮やかな黄色のターメリックライスに、シャバシャバでもなく、かといってドロドロでもない、ちょうどいいバランスのカレーが良く合うでしょう。
カレーのルーを口の中で転がすと、繊維状になるまで煮込まれた野菜の甘味と、スパイスの辛さが調和して、付け合わせのピクルスとの相性もばっちり。
ぴりぴりとした辛みがあるにも関わらず、スプーンが止まりませんね。
ニンジロウ「おかわりもあるぞ!」
あなたたちは、旅行先の食事を楽しみながら、美郷荘での時間をのんびりと過ごすことができるでしょう。
そんなあなたたちに、ラジオの情報が。(BGMストップ)
『本日16日から20日にかけて、G県全域で非常に強い風を伴う猛吹雪となる見込みです。このため、山間部を中心とする国道で、通行止めなどの規制の実施が予想されております。不要不急の外出はお控えいただき、やむを得ず外出される場合は路面状況の悪化に十分注意し……』
その声に呼応するように、窓の外を雪の塊が叩き付けるような音がし始めます。
ニンジロウは、その場にいるお客全員に、このような話をするでしょう。
ニンジロウ「これはしばらく、外に出ることは難しそうですねえ」
ニンジロウ「といっても、いまいるお客さんでスキーの予定があるのは……PL1さんとPL2さんだけですか。……ついてなかったですねえ」
ニンジロウ「こういうときは、ロープウェーも止まってしまって、街へと降りることもできないんですよ」
ニンジロウ「まあ、五日後の朝には晴れる見込みのようですし、吹雪いてない時は雪遊びくらいできるでしょうから、のんびりしていってください!」
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●時間経過 自室 PM 21:00
夜、PL同士で過ごしていると、ノックの音。
扉を開けると、ペンションのオーナーだ。
ニンジロウ「夜分にすいません。実は、アカリ……妻の姿を探していまして。」
ニンジロウ「このようなことをお客さんに言うのは心苦しいんですが、実を言うと妻は、一ヶ月ほど前から様子がおかしいんです。何かの拍子に外へ飛び出していったりしないかと不安で……。心当たりはありませんか?」
そこであなたたちは何となく察することができるでしょう。
あの、2F廊下ですれ違った女性。
彼女の正体こそが、彼の奥さん、古里アカリである、と。
キャラクター紹介 古里アカリ
ニンジロウの妻。様子がおかしい。
ニンジロウ「では、もし彼女を見かけたら、私にまでご連絡いただければ助かります」
ここであなたたちは、オーナーに協力するかしないかを選択することができます。
・探索へ。
ニンジロウを追いかけるなら玄関へ、そうでないなら、あちこち探したあと、結局玄関へ向かう。
「探さない」選択をした場合、一時間ほどするとニンジロウが現れる。
彼は顔色を青くして、
ニンジロウ「す、すいません。とんでもないことが起こってしまって……妻のアカリが、死体で発見されたんです。それでいったんみなさんに話を聞かなくてはならないので、談話室まで来ていただけませんか?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●アカリ捜索 PM 21:10
あなたたちは、ニンジロウに促されて玄関まで向かいます。
すると、すでにそこには、山城ササオが膝をついています。
彼の目線の先にあるものを見たPL1とPL2は《目星》で振って下さい。
・成功
あなたは玄関周りに積もった溶けかけの雪を見て、最近だれかがドアを開閉したことに気づく。
・失敗
あなたは、なんとなく別の場所に視線を向けている。
それは、このペンションのキーフックだ。キーフックは誰にでもわかるよう、名札がついていて、どうやら失われている鍵は、『倉庫』のものらしい。
ササオ「みろ。ここに溶けかけの雪が残っている。誰かがドアを開閉した証拠だ。どうやら奥さんは、どういう理由かこの雪の中、外に出かけたらしいな」
ニンジロウ「なんてことだ! 捜しにいかないと!」
ササオ「ちょっと待て。闇雲に捜しに出かけたところで、意味がないだろう」
(↑で目星が失敗したPLがいるなら、ロールプレイを待つ)
ササオ「……おや? ここの鍵かけ、倉庫の鍵がなくなってるぞ。ひょっとすると彼女、このペンションの倉庫に向かったんじゃないか?」
「なんてことだ」と、ニンジロウさんは驚いて、そのままの格好で外へと飛び出してしまいます。
※RP待ち。ニンジロウさんについていく流れに。
※KPは、プレイヤーたちが防寒具を着込んで行くかどうかを聞いておく。
そうしてあなたたちは、雪が視界をちらつく中、美郷荘を出るでしょう。
ニンジロウ「アカリ! アカリー!」
ニンジロウさんの悲痛な声が、雪の中で聞こえています。
やがてあなたたちは、美郷荘そばにある倉庫へとやってきました。
古里が倉庫を開こうとするが、びくともしません。
扉を見ると、なんとドアノブがロープでがんじがらめではありませんか。
ササオ「ポケットナイフならあるが……だれか、ナイフの扱いに長けたものはいるか?」
『ナイフでロープを切る』
あなたは(初期値25%の)ナイフ技能を三回成功させることでロープを切り、扉を開けることができます。
ただし、三度チャレンジするたびに、その場にいる全員が1点ずつダメージを受けてしまうでしょう。
※あんまり成功しないようなら、いったん引き返して頑丈なナイフ、スコップなどを持ってきても良い。しっかりしたナイフ系の刃物を使えば、一回の成功でロープは切れる。
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●死体発見 PM 21:20
薄暗い倉庫の中。古里ニンジロウが、慌てて電灯のスイッチをつけます。
すると……あなたたちはすぐさま、”それ”に気づくでしょう。ぼさぼさの髪を地面に投げ出したまま倒れている、古里アカリの姿です。
ニンジロウ「アカリ……どうしたんだ、アカリ……!」
ニンジロウが駆け寄り、彼女を抱き起こします。
しかし彼は、はっとしてアカリから手を離しました。
その瞬間には、あなたたちも気づくことでしょう。
古里アカリが、もはや息をしていないこと……そしてその死因が、極めて異質なものであることに。
ササオ「な……なんだこれは!?」
山城ササオ(もしくはPL)がライトを向けたとき。……あなたたちは、はっきりをそれを見てしまうでしょう。古里アカリの後頭部に、ぽっかりと筒状の穴が空いていることに。直径10センチほどのそれは頭蓋骨を貫通し、脳漿で濡れた腔内が、光を受けててらてらと輝きます。
あなたたちは直感しました。この女性はいま、何らかの冒涜的な手段により、脳みそを丸ごと抜き取られてしまっている、と。
【SANチェック 成功:1 失敗:1D3】
ササオ「と、とにかくいまは、談話室へ戻ろう。このままここにいると、凍えてしまう」
ササオ「死体は、動かさない方が良い。このあと警察が来た時のために、現場は荒らさない方がいいだろう」
※この際、ここに残って探索したい場合は、“倉庫内”か“死体”に関して調べても良い。ただしその時、
“防寒具を着ていれば”1点ダメージ。
“防寒具を着ていなければ”1D3のダメージを受ける。
※それ以上この場に残ろうとする場合は「ニンジロウが凍えそうだ」などの理由をつけて強制的に談話室へ戻らせること。
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●談話室にて 事情説明 PM 21:30
雪が窓を叩くぱたぱたという音が響く中、ペンション客一行は談話室に集まっています。
古里ニンジロウが代表して警察に電話しましたが、
ニンジロウ「……やはり夕方の猛吹雪で、山道も完全に塞がっているらしい。ロープウェーも動かないようだし、警察がここに来られるのは、天気が安定した後以外にないようだ」
とのことです。
彼はそのまま、ソファに座り込んで、頭を抱えてしまいました。
室内は気まずい雰囲気の中、しんと静まりかえります。
※その後はRPで、気になる人に話しかけてもらってよい。
※ただし、ここで出す情報はほとんどなしでよい。「すまない。いまは少し、状況を整理させてくれないか?」というセリフを言うようにする。
ニンジロウ「ああ、あいつなしで、これからどうしたら……」
※すっかり途方に暮れているらしい。
ササオ「ふーむ。しかしこれは……どういうことだ……?」
※謎の機械を弄りながら、一人でぶつぶつ言っている。
ケンノスケ「ま、ま、まさか……すぎさっきーの友だちが死んでしまうなんて……。こういうとき、一人でいるのは死亡フラグっすよね!? ぼくはみんなのいるところにいます!」
※ガタガタと震えながら、スマホをチェックしている。ちなみに電波は圏外だ。
サキコ「なんてこと……まさか、こんなことになるなんて……」
彼女は、汗びっしょりの顔で呟きます。
サキコ「ごめんなさい。どうも、足の怪我が悪くなってるみたいで……熱も出始めているみたい」
そしてサキコは、辛そうにうなだれます。
※彼女の額に手を当てると、燃えるように熱くなっている。
ニンジロウ「なんてことだ……誰か、応急手当の心得がある人はいませんか?」
※誰かが《応急手当》か《医学》でロール(一度だけ)。
成功:包帯を解くと、サキコの足が紫色に変色していることがわかった。
この足では歩くことはおろか、立ちあがることすら難しいだろう。
失敗:素人目に見ても折れている。
この足では恐らく、立つこともままならないだろう。
※このような怪我では、家にいた方がいいのでは? などの質問に対して。
サキコ「……そうなんだけど、アカリの状態が良くないって知って、いてもたってもいられず駆けつけたのよ(嘘)」
サキコ「YouTuberって、こんな時じゃないと友だちに会いに行けないからね」
(誰にどの順番で話しても良いが、サキコの情報を出したら、話を進める)
サキコさんが解熱剤を飲んで、少し時間が経った頃合いでしょうか。
重々しい雰囲気の中、ふと、ササオが懐から黒い手帳を取りだし、すぐにしまいました。
ササオ「俺は、刑事だ。……まさかこんなことになるとは思わなかったが、今回の件は俺が仕切らせてもらおう」
ササオ「まず、この情報をみんなと共有しておく。ニンジロウさんがアカリさんを最後にみたのは、20時のことだったな?」
ニンジロウ「え……ええ。夕食の牛すじ煮込みカレーを届けに行ったんです。
妻は……最近ずっと様子がおかしかったんですが、好物のカレーだけは喜んで食べてくれたから……。
その後、いつもなら三十分くらいで食器を返しに来るはずなのに、なかなかキッチンに来ない。それで寝室に行ったら……」
ササオ「……手つかずのままのカレーが放置されていた、と。それで不信に思って、あちこち探した結果、21時過ぎに死体を発見した……」
ササオ「この吹雪だ。外部犯ということはないだろう。そこで提案があるんだが、いったん俺が、全員の部屋を捜査して証拠品を漁り、この場で殺人犯を拘束してしまおうと思う。その方が、みんな安心して眠れるはずだからな」
つまり彼はこう言っています。「お前たちの荷物を好き勝手に探らせろ。その代わりに自分が犯人を見つけてやる」と。
PLが厭がるか、そうでなければ誰かが抗議する。
ニンジロウ「では、こうするのはどうでしょうか? 我々の中から代表者を選び出して、その人たちも捜査に加わってもらう、というのは? ……私は、PL1とPL2がいいと思うが」
動けないサキコと、どうやらサキコを気にしているらしいケンノスケは納得する。
PLたちが申し出を受けるかどうか。
受けなければ、“推理失敗”ルートへ
※ササオはPL1、PL2の共犯説を推理してしまうため。
※もしここで手帳に不信を感じたPLたちに正体を看破されても、“怪異探偵”(こういう状況には慣れている)ということで話を強引に進めてよい。
※ここで、「じっちゃんの名にかけて」的なRPをしてもらってノリのいいBGMをかけると楽しいかも。
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●ササオと協力して捜査する
ゲームのメイン場面。
※長くなるので、別紙捜査フェイズを参照
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●捜査終了
ササオ刑事(怪異探偵)と共に謎解き。
※十分に情報が出ているとKPが判断したなら、この箇所は省略しても良い。
ササオ「まず、この事件を解明する大前提として、みなさんに教えておかなければならないことがある。……それは、ミ=ゴと呼ばれるエイリアンの実在だ」
ササオ「そんな馬鹿な、映画の中の話か、と思われるかもしれないが、これは事実だ。俺は実際、連中を目の当たりにしたことだってある」
ササオ「連中が狡猾なのは、ごく普通の人間をスパイとして人間社会に送り込んでいる点にある」
ササオ「恐らく犯人は、ミ=ゴのスパイだ。……そしてソイツは、“脳缶”と呼ばれる超技術を使って、眠っているアカリさんの脳を摘出したんだろう」
ササオ「ミ=ゴの超技術が使われているとはいえ、犯行そのものは手作業で行わなければならない」
ササオ「つまりこの殺しは、一から十まで、あの倉庫の中で行われたことになる」
ササオ「ここまでは、いいか?」
※一つ、二つくらいなら、RPによる質問を認めてもよい。
ササオ「ではその上で、一人ずつ情報を精査していこう。
ニンジロウさん。あんたと奥さんとの仲は、ずっと冷え切っていたようだな?
だが、出てきた証拠はどれも、奥さんに依存する内容のものだ。あんたは、奥さんなしには、生活が成り立たないことを知っていた。だから犯人ではないと見た。
次に、古見ケンノスケ。
あんたは、サキコさんの熱心なファンらしい。
あんたはどうも、怪しいところがいくつかあるが、アリバイがある。犯行時刻、この俺と一緒に、トランプをしていたっていう確固たるアリバイがな。
ちなみにこのアリバイは、俺自身の無実をも証明している。
そして、杉上サキコ。
あんたは……ふむ。俺にはよくわからん、きな臭い”ビジネス”とやらに関わっているような気配があるが、今回の犯行は不可能だ。
何せその足では、倉庫まで歩いて行くことはできないからな。
よしんばそれをしたとしても、現場に車椅子の痕跡が残っていたはずだ。
……ということで、犯人はPL1とPL2。おまえたち以外にはいないことになる。
なにも、難しく考える必要はなかったのさ。
お前たちが共犯で、お互いにアリバイを言い合っているのであれば、犯行は簡単だからな!」
※要するに、刑事(怪異探偵)は間違った犯人(PL1とPL2の共犯)を推理する。
▼
みなさんはこれより、身の潔白を証明するためにも、事件の真相を解き明かしていただきます。
とはいえ、あなたたちはいま、その場にいる全員に疑いの目を向けられている状態。
彼らを説得するのに必要なのは、
“フーダニット?”=犯人は誰か?
の指摘だけでなく、
“ハウダニット?”=どのようにして殺人を行ったか?
についても説明する必要があるでしょう。
※ここで、PL2に対して以下の秘匿情報を送る。
『危機に瀕して、あなたは持ち前の鋭敏な嗅覚を使うことを思いつく。
CCB<=65 血の匂いを嗅ぐ
このスキルの使用により、あなたは犯人を特定することはもちろんのこと、その殺害方法まで看破することができるだろう。
ただしその行動は、あなたが異形の存在であることを周囲に知らしめる可能性があることにご注意を。
このまま、異形の力に頼って危機を脱するも、二人で刑務所に入るも、あなたの自由だ。』
※スキルの使用は、あなたたちの推理が失敗したその時に使用しても、ギリギリ間に合うものとします。
●《血の匂いを嗅ぐ》を使用した場合の情報
・成功
あなたは理解する。犯人は杉上サキコだ。彼女の身体から、はっきりと血の臭いが漂っている。
同時にあなたは、事件の真相に気づくだろう。
なるほど、確かにサキコの足では、今回の犯行は不可能だ。
ただそれは、“犯行前”に足が折れていれば、である。
もし彼女が足を折ったのが“犯行後”なのであれば、わざと一回り大きい靴を履いて足跡の大きさを偽装することも可能なはず。
彼女のアリバイは根本から崩れさることになるだろう。
・失敗
あなたは残念ながら、血の臭いを嗅ぎ取ることはできなかった。
だが、“狩る側”の存在であるあなたは、うっすらと気づいている。
杉上サキコ。彼女のアリバイは、本当に盤石だろうか?
彼女の足は、確かに折れてしまっている。立ちあがることはまず不可能だろう。
ただし、それについて調べたのは“犯行後”であったはずではないだろうか?
※これに加えて、KPは以下の情報を読み上げる。
「PL2が突如として容疑者全員に顔を近づけて、ふんふんと鼻を鳴らします。その様子は尋常のものではなく、目は真っ赤に血走っていました。PL1には、その姿がどこか、『犬のようだ』と思いました」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○推理正解ルート
犯人は、杉上サキコ。
彼女の足は、つい先ほど折られたもの。
ここに来た時点で、彼女の足は折れていなかった……。
そんなあなたたちの推理を聞いた一行は、固唾を呑んでサキコの顔色をうかがいます。
彼女から、何らかの言い逃れがある。
そう思っていたあなたたちの予想はあっさりと裏切られました。
サキコ「すばらしい推理だわ。小説家にでもなったらどう? ……なんちゃってね。
どうやら、ここまでみたい。
そうよ。アカリの脳を奪ったのは、私。あなたの推理は、正解」
するとニンジロウさんが、真っ青な顔でこう訊ねます。
ニンジロウ「何故、そんな真似を! きみたちは親友だったはずじゃないか!?」
サキコ「悪いけど、ここでは話さない。……また……後でね?」
といって、彼女はあなたたちに意味深な目線を送ります。
するとササオが、渋い表情で、
ササオ「とんでもないやつだな。……とにかく彼女を拘束しよう」
そしてサキコは、男性陣に連れられ、自室で拘束されてしまうことでしょう。
ササオ「やれやれ! なんて女だ。自分の友だちを殺して、しかも自分の足を折るとは! アリバイのためとはいえ、正気の沙汰とは思えんな!」
その後、ペンションの人々はひとまず安心して夜を過ごすことができるでしょう。
とはいえ、美郷荘はいまも、猛吹雪の中にあります。
外に出ることも出来ず、かといって歩き回る気にもならず……ただ、ペンション内を漫然と時間が過ぎていきます。
そんな、二日目の夜のことでした。
「●事件の後で」へ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○推理失敗ルート
あなたたちは推理を披露しましたが……結果、ペンションの人々を納得させることができませんでした。
あなたたちは結局、お互いの部屋に軟禁されたまま、数日間を過ごします。
そうして、数日後。
駆けつけた警官隊により逮捕されたあなたたちは、その後の入念な調査の結果、無罪放免となって無事に釈放。日常生活に戻ることができます。
自宅へ戻ったあなたたちは、思うことでしょう。
結局、あの事件の真相はなんだったのか?
真犯人は誰だったのか?
何もかもわからないまま、事件は闇の中へと葬られてしまったのです。
とはいえ、これでよかったのかもしれません。
あなたたちはそれぞれ、胸の中に秘密を抱えた恋人同士。
その全てをさらけ出すことが、真の幸福とは限らないのですから……。
推理失敗END『闇の中』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●事件の後で
深夜零時、なんとなく寝付けずにいたあなたたちが、ぼんやりと談話室で過ごしていると、ふいにペンション全体が暗闇に包まれます。
どうやら、電気が切れてしまったようですね。
※RP
※身動きしようとしても、完全な闇の中にいるお陰で歩き回れない。
暗闇の中、あなたたちが周囲をうかがっていると、部屋のあちこちから、ぶーん、ぶーん……という、羽音が聞こえてきます。あなたが天井を見ると、そこにいたのは、体長1.5メートルほどの、ピンクがかった色の動物でした。それは、甲殻類のような胴体に、背びれのような、膜のような翼に近いものが生えており、本来なら頭があるはずのその場所には、渦巻き状の楕円形がついています。
そんな得体の知れない怪物が、談話室の壁や天井、床などを所狭しと這い回り、あなたたちの様子を伺っているのです。
【SANチェック 成功:0 失敗:1D6】
そしてふらりとあなたたちの前に、カンテラをもった車椅子の女性、杉上サキコが現れました。
彼女は、薄ら笑いを浮かべながら、こういう言うでしょう。
サキコ「こんばんは。ごきげんいかが?」
※杉上サキコはミ=ゴに助けられて部屋を脱出したようだ。
サキコ「このペンションのみんなには、ちょっぴり眠ってもらってる。……おしゃべりの邪魔をされたくなかったからね」
サキコ「わたし、頭の良い人、好きよ。あなたたちのこと、すっかり気に入っちゃった」
サキコ「本当は、このままここを出ようと思ってたんだけれど……まあ、現金の持ち合わせも欲しいところだし、せっかくだから一仕事してからがいいかなって」
サキコ「ええっと……お仕事を依頼してくれたのって、……あなたたちの……どちらかで、間違いない、わよね?」
サキコ「もしあなたたちが望むなら、さっそく例の手術を行おうと思うんだけれど、どうする?」
サキコ「今夜で、ここはもう店じまい。だから大盤振る舞いするわ。健康な男の身体、美しい女の身体……。あなたが望む肉体に、あなたが望む人の脳みそを入れてあげる」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●エンディング分岐 最後の選択
さて。ここでキーパーからひとつ、質問があります。
もうすでにお気づきかもしれませんが、じつはPL2には、とある秘密がございます。
これまでの捜査で、PL1はあるいは、その秘密に気づいたかも知れません。
PL1は、その情報をこっそりと(メモ・秘匿チャットなど)KPに送っていただいてもよろしいでしょうか。
※この時の正解は、「PL2は“人を喰らう何か”」であれば良しとする。
正解の例:食屍鬼、人狼、吸血鬼など
誤りの例:快楽殺人鬼、人殺し、怪異探偵など
正解することで、以下の内容を伝える。
その呼び名が正しいかどうかはわからない。
だがあなたは直感的に、PL2の正体が“人を喰らうもの”であることがわかる。
この情報をどのように扱うかは、あなたの自由だ。
▼
・以下、この場面でのサキコへの質疑応答。
Q:そもそも、食屍鬼(神話生物)と人間の脳移植は可能か?
サキコ「さあ、そんなの知らないわよ。試したことないもの」
Q:脳に移植することで、食屍鬼は人間になる? など
サキコ「そうねぇ。保障はできないけれど、……食習慣は……肉体の性質に左右されるんじゃないかしら。……ほら、古里ニンジロウが言っていたでしょ? 『おかしくなった後も、好物のカレーだけは喜んで食べてくれた』って。あれ、もともと私の好物だったのよ」
Q:手術は安全なのか?
サキコ「え? どうかな? 人それぞれじゃない? 私はへっちゃらだったけど、サキコ……ああ、もともとこの身体に入っていた脳みその持ち主は、結局ああいうふうになっちゃったし。どっちにしろ、保険が利くような手術じゃないことは承知の上でしょう? そこは自己責任ってことで。当方は一切責任を持ちません」
Q;麻酔を使ってから手術できないのか?
サキコ「残念だけど、それはできないの。エイリアンの技術だからかな。人間のそういう、繊細なところに無頓着なのね」
※なぜアカリを殺したのか?という質問をされたら。
サキコ「ああ、彼女、実は一ヶ月前に、私と脳の交換手術をしたのよ。……でも、その時のショックでおかしくなっちゃってね。このままだと私のビジネスを丸ごとダメにしちゃいそうだから、ちょっぴり黙ってもらおうとおもったわけ」
サキコ「でも、安心して。アカリのことは殺していないわ? 専用のカプセルに入れて、一時的に眠ってもらっただけなの。いまは私の仕事仲間に連れられて、宇宙旅行でもしてるんじゃないかしら」
サキコ「つまり、この美郷荘では最初から、殺人事件なんて起こっていなかったのよ」
サキコ「当たり前でしょ? こう見えて、ここのことは結構気に入ってたんだから。友だちの死で、この美郷荘を穢したくなかったのよ」
サキコ「私はただ、ほんの数日だけ警察の目を誤魔化せればよかった。だって私にとって、人の見た目なんてものは、自由に“交換”できるものなんだから」
サキコ「お陰様で私、大急ぎでここを出ることになっちゃった。でも最後に、面白い人たちと会えたから、良しとしましょうか」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●最後の議論
さて。
この物語の結末を決めるのは、あなたたち二人です。
ぜひお互いのキャラクターになりきって、最後の議論を行っていただきたい。
※この議論においては、『お互いに攻撃してはいけない』ルールを破ってもよい。もちろん、暴力に頼って意見を通したとして、幸福になれるかどうかはわからないが。
※また、PL2の正体が判明していない場合のみ、PL2はサキコにこっそり質問することができる。
※KPのアドバイスとして
このシナリオには、想定されている“良いエンディング”のようなものはございません。これはつまり、プレイヤー的に「こうすればきっと良いエンディングに到達するだろう」ということを考えなくても構わない、ということです。
残されているのはただ、あなたたちがその結末に納得できるかどうか、その一点。
自分のキャラならきっとこうするだろう、という想像力を働かせながら、最後の話し合いをお願いいたします。
⇒議論があっさりと決まるようなら。《アイディア》成功によりヒントを出しても良い。
「アカリは肉体交換によって廃人になってしまっていた。手術は本当に安全なのか?」
※以下は、PL2が食屍鬼だとわかっている場合のみの《アイディア》成功ヒント
「果たして、人間以外のものと人間の肉体交換は可能なのだろうか」
「食屍鬼が肉体交換を実行することで、あるいは人間になることがあるのではないか?」
※また、議論が盛り上がるようなら、なんらかのダイスロールによってKPはメタ的なヒントを出してもよい。
(1)手術によって減少するSAN値は【1D100】である。
(2)この数のミ=ゴに勝負を挑んでも勝ち目はない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●エンディング
⇒(食屍鬼である事実について詰められ)PL2が自首させられてしまう。
サキコ「あら、そう。……少し残念だけど、あなたたちが出した結論だもの。尊重するわ」
サキコ「ただ、最後に一つだけ聞いてもいいかしら。あなたたちにとってお互いは、どういう存在だったの?」
※PL1とPL2からそれぞれ返答を聞く。
サキコ「……そう。よくわかったわ。とても興味深いおしゃべりだった。……それじゃ、さようなら」
そう言ってサキコは、風のようにそこから去っていきました。
それから、数日後の朝。
あなたたちはそれぞれ、警察の事情聴取などを受けた後、無事、帰途につくことできるでしょう。
※PL2に、改めてその決意を聞いてから。
ではPL2はその後、自ら警察に出頭します。
恐るべき食屍鬼の実在……そのセンセーショナルなニュースは、……国民の混乱を避けるためでしょうか、不思議と公になることはありませんでした。
それから、しばらく年月が流れた、ある日のこと。
『法務省は○日午前、殺人などの罪に問われ、死刑が確定したPL2の刑を執行した。』
PL1はネットニュースで、懐かしい名前を見つけます。
あなたは、いまでは過去に置き去りにしてしまった、あの日の恐ろしい体験を思い出しつつ、PL2と過ごした日々に思いを馳せることでしょう。
その後のPL1の人生がいかなるものであるか……それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
※PL1から、その後の物語を聞いてから、エンディングへ。
⇒喧嘩別れしてしまう
二人は結局、お互いの妥協点を見つけ出すことはできませんでした。
サキコ「あら、そう。……残念だけどまあ、そういうこともあるでしょうね」
サキコ「ただ、最後に一つだけ聞いてもいいかしら。あなたたちにとってお互いは、どういう存在だったの?」
※PL1とPL2からそれぞれ返答を聞く。
サキコ「……そう。よくわかったわ。とても興味深いおしゃべりだった。……それじゃ、さようなら」
そう言ってサキコは、風のようにそこから去っていきました。
それから、数日後の朝。
あなたたちはそれぞれ、警察の事情聴取などを受けた後、無事、帰途につくことできるでしょう。
そしてお互い、胸の内に重々しいものを抱えたまま、日常生活へと戻っていきます。
その後のあなたたちの人生がいかなるものであるか……それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
※PL1とPL2からそれぞれ、その後の二人の物語を聞いてから、エンディングへ。
⇒PL2が人生に絶望し、自殺してしまう。
その議論で出した結論に、PL2は自殺を決意することでしょう。
サキコ「あら、そう。……正直、私には愛がわからない。でも、あなたにとってはこのことは、とても大切なことなのね。……賢い人が出した結論だもの。私は否定しないわ」
サキコ「でも、一つだけ言わせて。あなたを求める人は、この世界のどこかに必ずいる。それを探し続ける限り、あなたの居場所は、必ずどこかにあるものよ」
サキコ「せめて……せめて、そうね。数日ほど時間を空けて、頭を冷やして。そのあと、真剣に検討してもいいんじゃないかしら?」
そう言ってサキコは、風のようにそこから去っていきました。
※そのまま自殺を決行するなら、そのプレイヤーに描写を任せる。
※もし「頭を冷やす」ようなら、以下の描写に繋げる。
それから、数日後の朝。
あなたたちはそれぞれ、警察の事情聴取などを受けた後、無事、帰途につくことできるでしょう。
そしてお互い、胸の内に重々しいものを抱えたまま、日常生活へと戻っていきます。
その後のあなたたちの人生がいかなるものであるか……それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
※PL1とPL2からそれぞれ、その後の二人の物語を聞いてから、エンディングへ。
⇒PL1の説得により、PL2が要求を受け入れる。
サキコ「なるほど。PL2ちゃんの脳を抜けばいいのね?」
そういって彼女は、そっとリモコン・スイッチを操作します。
すると談話室に備え付けられた本棚が、まるで主を待ち受けていたかの如く、隠された姿を露わにしました。
恐らくは、病院などで使われるであろう、業務用エレベーター。まるでスパイ映画さながらの装置に、あなたたちは思わず息を飲みます。この施設を秘匿するため、どれほどの費用が掛かっているか。ひょっとすると自分たちは、とてつもなく巨大な組織の陰謀に関わってしまっているのではないか。
そのような思いに囚われるでしょう。
サキコ「ほら。こっちよ」
エレベーターを通って地下へ降りると、山奥のログハウスにはまったく似つかわしくない、近代的な施設が待ち受けていました。
高さ30センチほどの円錐形の筒がずらりと並ぶその空間を進んでいくと、極めて簡素だが、掃除の行き届いた手術台に行き当たります。
手術台のそばには、少し型の古いタブレット端末が備え付けられており、サキコはそれを、車椅子に座ったままの姿勢で操作しました。
サキコ「一応、いま手持ちの身体だと、この二つがいいと思うんだけど、どうする?」
タブレット端末には、とある人間の身体が表示されています。
(1)STR15くらいありそうな男の身体
(2)APP15くらいありそうな女の身体
好みの身体を選んでもらった後、
サキコ「それでは、手術を始めるわね……」
サキコ「安心して。私たちを私たちたらしめるのは、外側にあるものじゃない。この、頭蓋の中にあるもの。それが全てなんだから」
サキコ「自分を強く保てば、なんてことはないのよ」
そしてサキコは、高さ30センチほどの円錐状の機械をPL2の頭部に装着します。
その、次の瞬間でした。
ごり、ごりと、PL2の後頭部に何かが押し当てられたかと思うと、鮮烈な痛みと共に、ノコギリ状の刃が備え付けられた機械が、自身の頭蓋に穴を空けていることがわかります。それはさながら、現代に蘇ったロボトミー手術とでも呼ぶべき行為でした。
あなたは当然、悲鳴を漏らし、身体をがくがくと揺らします。しかし、手術台に固定されたあなたは、一切の身動きがとれないでしょう。
サキコ「大丈夫。安心して。すぐに楽になるわ」
サキコが、ねっとりとした口調で語りかけます。
想像を絶する痛みの中で、あなたたちはうっすらと気づくでしょう。
なるほど、これを平気で乗り越えられるような人だからこそ、……犯行後、自らの足を折るような、そんな滅茶苦茶なトリックを思いついたのだ、と。
では、人智を超えた経験をしたPL2は、【1D100】のSAN値減少です。
※この際に発生する狂気は固定。『茫然自失:すべてPL1の言いなりになる』。
さらに、PL2は《アイディア》を振って下さい。
・成功
あなたは、直感的に理解する。
自分の肉体は、根本から変わってしまった。
もはや屍肉を喰らう必要はない。
これで……あの人と、ずっと一緒にいられる、と。
・失敗
あなたは、直感的に理解する。
自分の肉体は、根本から変わってしまった。
もはや屍肉を喰らう必要はない、と。
サキコ「さて。私はこのまま、姿を消すわ。あなたたちはここでしばらく過ごした後、タイミングを観て荷物を回収して、家に戻りなさい」
サキコ「ただ、最後に一つだけ聞いてもいいかしら。あなたにとってPL2は、どういう存在だったの?」
※PL1から返答を聞く。
サキコ「……そう。よくわかったわ。とても興味深いおしゃべりだった。……それじゃ、さようなら。また縁があったら、会いましょう」
そう言ってサキコは、風のようにそこから去っていきました。
その後、あなたたちはサキコに言われたとおり、この奇妙な空間で時を潰します。
賢いあなたたちにとって、ニンジロウたちの目を欺くのは容易いことでした。
やがて二人は、警察の目を逃れつつ、ロープウェーに乗車。
無事、日常への帰還に成功するでしょう。
その後のあなたたちの人生がいかなるものであるか……それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
願わくば、二人の門出に幸多からんことを。
⇒これまで通りの関係を継続する。
現状の、維持。
あなたたちが出した結論は、そのようなものでした。
サキコ「あら、そう。……少し残念だけど、あなたたちが出した結論だもの。尊重するわ」
サキコ「ただ、最後に一つだけ聞いてもいいかしら。あなたたちにとってお互いは、どういう存在だったの?」
※PL1とPL2からそれぞれ返答を聞く。
サキコ「……そう。よくわかったわ。とても興味深いおしゃべりだった。……それじゃ、さようなら」
そう言ってサキコは、風のようにそこから去っていきました。
それから、数日後の朝。
あなたたちはそれぞれ、警察の事情聴取を受けた後、無事、帰途につくことできるでしょう。
とはいえ、二人の進む道は、茨の道といってよいかもしれません。
前進しないことがわかっている関係を、どれほど続けることができるのか。
それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
願わくば、二人の行く先に幸多からんことを。
⇒サキコの仲間になる。♪BGM だらだら部活動
誰も犠牲にせず。
そして、自らの幸福も諦めたくない。
あなたたちは議論を尽くした末、神秘の法の探索者となることを選びます。
これにはさすがのサキコも意外だったようで、目を丸くしていました。
サキコ「え? 私の仲間になりたいの? ……うーん、アルバイトは募集していないんだけど。……でも、そうね。あなたたちの力を借りれば、もっともっと楽しいことができそう」
サキコ「わかったわ。それじゃあ、ここを出た後、また連絡するわ」
それから、数日後の朝。
あなたたちはそれぞれ、警察の事情聴取を受けた後、無事、帰途につくことできるでしょう。
その後のあなたたちの人生がいかなるものであるか……それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
願わくば、二人の門出に幸多からんことを。
⇒せっかくなのでPL1が肉体交換する。♪BGM だらだら部活動
サキコ「え? あなたがやるの? なんのために? ……もちろん私は、誰がやろうとOKだけど」
※基本的にはPL2の展開と同じ。その代わりにPL1が【1D100】のSAN値減少を行う。
⇒PL1とPL2、二人共が肉体交換する。♪BGM だらだら部活動
条件が少し特殊だが、《値切り》に成功することで行っても良い。
サキコ「でも、本当に大丈夫かしら? もし、二人ともおかしくなっちゃったら、責任とれないわよー?」
※展開はPL2の時とほぼ同じ。もちろんPL1とPL2、二人とも【1D100】のSAN値減少を行う。
なお、この場合の狂気は通常の狂気表のものを利用すること(二人とも茫然自失になったら詰むため)。
⇒サキコと戦闘する。
サキコ「あらあらあら。そうくるか。……ちょっぴり残念」
そう言ってサキコは、ミ=ゴを盾にして逃げ去ってしまうでしょう。
ミ=ゴの方も戦うつもりはないらしく、彼女を守るようにあなたたちの前に立ち塞がったあと、ゆっくりとその場から消えて行きます。
どうやら彼女の“友人”たちは、それほど暴力的な性格の化け物ではないようですね。
むしろ暴力を振るうあなたたちを見て、ちょっと引いている様子すら見受けられました。
それから、数日後の朝。
あなたたちはそれぞれ、警察の事情聴取を受けた後、無事、帰途につくことできるでしょう。
その後のあなたたちの人生がいかなるものであるか……それはまた、別の物語として語る必要があるでしょう。
願わくば、二人の門出に幸多からんことを。
※PL1とPL2からそれぞれ、その後の二人の物語を聞いてから、エンディングへ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●エンディング
そうしてあなたたち(PL1、PL2、あるいは両方)は、日常へ戻ることができるでしょう。
今となっては、美郷荘での事件は夢の中のできごとのように感じられます。
そんなある日のこと。
あなたたちの元へ、一通の便りが送られてきます。
差出人は、山城ササオ。
あなたが読み上げた内容は、以下のようなものでした。
『あれからしばらく経ったが、元気にしているか?
おれの方は、相変わらずだ。この世に巣くう化け物を追って、あっちこっちを旅してる。
あんたにわざわざ連絡したのは……まあ、謝罪のためだ。
美郷荘でのあの夜。犯人扱いしてすまなかった。
ぶっちゃけ俺、最初からおまえらのことを疑ってたんだよ。
なーんかおまえら、腹にイチモツある気がしてな。
まあ、それはいいや。
一応、美郷荘の連中のその後について、語らせてもらうよ。
古里ニンジロウさんはいま、不器用ながらも美郷荘を続けてる。
どうもあの男、かなり学がないらしく、数字関係のことはちんぷんかんぷんのようだが、……案外、ケツに火がついたら、なんとでもなるもんさ。
知っての通り、やつの作るカレーは絶品だし、それをウリにして、なんとかやっていくことだろう。
古見ケンノスケは結局、あっさりと推し変して、いまでは別のユーチューバーを追いかけてるって話だ。
ファンってのはいい加減なもんだな。いちど冷めれば、すぐ別のものに興味が移っちまう。
まあ、一つのことばっかりやってる、おれたちみたいな連中の方がよっぽど異常なのかもしれんけどな。
問題は、杉上サキコだ。
あいつは、いまもって行方不明のまま。
あれほどの有名人が、よく誰にも見つからずにいると思うよ。
あんたら、何か知ってることはないか?
もし何か知ってたら、その先は怪異探偵の出番だ。いつでも連絡してほしい。
……とまあ、ながながと書いてきたが、おれの話はここまでだ。
お前たちはお前たちで、達者に人生を歩んでくれ。
あの事件を乗り越えられたおまえらなら、きっとどんな困難にも立ち向かえるさ。
それじゃあな。
P,S,
手紙なんていまどき流行らねえ方法で連絡してすまん。
なにぶん、古いタイプの人間でな。』
さて。
手紙を読み終えたあなたの胸に去来するのは、どのような想いでしょうか。
※RPを待つ
……と、いうようなことを考えながら手紙をしまうあなたでしたが、ササオの手紙に紛れてもう一通、はがきが届いていることに気づくでしょう。
その内容は、以下のようなものでした。(BGMストップ)
『ようこそ、農伝州荘へ!
海や湖に広がる美しい風景、そこに生息する豊かな生き物たち。大きな自然の魅力にあらためて触れてみませんか?』
そのはがきには、女性のものと思われる文字で、このような追伸が書き加えられています。
『今度の“友だち”は、けっこう物わかりの良いやつよ! Sより』
END
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
★クリア後報酬
SAN値:1D6回復を二回行う。
不定の狂気を発動したPL:【1D6ヶ月×1D3】SAN回復。
クリティカルが発生したスキルに経験値チェック。
【1D100】を振る⇒失敗したら成長判定⇒【1D10】をロールして出目で上昇。
・肉体交換を行ったプレイヤーがいる場合。
(1)の場合:STRを15に変更する、キャラクターの性別を男性に変更する。
(2)の場合:APPを15に変更する、キャラクターの性別を女性に変更する。
・PL2の食人癖がPL1にバレたand肉体交換を行って生還。
あなたは自分の秘密を隠し通すことができなかった。
その過去と二人がどう向き合うかは、これからのあなた次第だろう。
SAN値【1D6】回復。
・PL2の食人癖がPL1にバレなかったand肉体交換を行って生還。
あなたは最後まで自分の秘密を隠し通した。
全てをさらけ出すことだけが、愛の全てではない。二人の関係は末永く良好なままだろう。
SAN値【1D6】回復。
・PL2の食人癖がPL1にバレたand肉体交換を行わないまま(食屍鬼のまま)エンディングを迎えた場合。
PL2の未来は明るくない。失恋の痛手だろうか、それとも食生活に関するトラブルだろうか……原因が何にせよ、即座に【5D10】を振り、その値のSAN値減少を受ける。
・PL2の食人癖がPL1にバレなかったand肉体交換行わないまま(食屍鬼のまま)エンディングを迎えた場合。
PL2は、辛うじて秘密を守り通すことができている。とはいえ、その未来は決して明るくない。【2D10】を振り、その値のSAN値減少を受ける。
※なお、ハンドアウトに『このシナリオの間中』と書かれた能力は今回きりの能力であったとお考え下さい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●登場人物
・古里ニンジロウ
STR:11/CON:11/POW:6/DEX:12
APP:11/SIZ:15/INT:9/EDU:7
HP:13/MP:6/SAN:50/回避:24/ダメージボーナス:1D4
【攻撃手段】
こぶし:50% 1d3
キック:25% 1d6
【備考】
全てを知っている……ように見えて、実は彼は何も知らない人。31歳。
武骨な筋肉質の男で、悪人面が禍して勘違いされるポジション。
実はもともとホームレスで、捨て犬が拾われるようにして結婚した。
そのため妻に頭が上がらない。
・古里アカリ
STR:4/CON:6/POW:10/DEX:5
APP:16/SIZ:10/INT:14/EDU:14
HP:8/MP:10/SAN:0/回避:10/ダメージボーナス:-1d4
【攻撃手段】
こぶし:50% 1d3
キック:25% 1d6
【備考】
被害者。アカリとサキコは旧い友人。肉体年齢は27歳。
興味本位でミ=ゴの肉体交換を行った結果、SANが0になってしまった。
・杉上サキコ
STR:8/CON:9/POW:27/DEX:5
APP:16/SIZ:12/INT:18/EDU:21
HP:11/MP:27/SAN:50/回避:24/ダメージボーナス:0
【攻撃手段】
こぶし:50% 1d3
【備考】
真犯人。脳交換を行ったアカリ本人。肉体年齢は27歳。
ニンジロウと結婚したのは、「夫婦で経営するペンション」という格好を作るための偽装結婚。
なお、「頭の悪い人間が嫌い」であるため、旦那のニンジロウのことは嫌いだったらしい。
極めて歪んだ道徳心を持つが、彼女なりにアカリのことは大切に思っているらしく、今回の一件も決して彼女を殺すつもりで計画したことではなかった。
・山城ササオ
STR:11/CON:11/POW:6/DEX:12
APP:10/SIZ:13/INT:10/EDU:15
HP:12/MP:6/SAN:50/回避:24/ダメージボーナス:0
【攻撃手段】
こぶし:90% 1d3
キック:50% 1d6
【備考】
刑事……と見せかけて、実は怪異探偵なる怪しい職業である。38歳。
『美郷荘』といういかにもな名前のペンションを発見したので調査にやってきた。
ミ=ゴと殴り合って勝ったことがある。
・古見ケンノスケ
STR:10/CON:11/POW:6/DEX:12
APP:11/SIZ:13/INT:10/EDU:15
HP:12/MP:6/SAN:50/回避:24/ダメージボーナス:0
【攻撃手段】
こぶし:50% 1d3
キック:25% 1d6
【備考】
実はサキコのストーカーであり、最近の彼女の同行をつぶさに監視している。28歳。
アカリに嫌がらせの手紙を送っていたのは、一ヶ月前の旅行が原因でサキコの様子がおかしいことに気づいたため。意外とキーパーソンである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●ざっくり時系列
・11月中旬
サキコとアカリが、ごく短期間のみ(一ヶ月)という契約で肉体を交換する。
しかしその体験の代償に、サキコ(身体はアカリ)は発狂してしまう。
・12月中旬
肉体交換の日が近づく。
だが、サキコ(外見はアカリ)は、またあのおぞましい体験を行うことが恐ろしい。
結果として、アカリ(外見はサキコ)にお金を渡す代わり、ずっとこのままでいないかと持ちかける。
「あの恐ろしい体験をもう一度繰り返すくらいなら、このままのほうがましよ……!」
ようやく彼女の様子がおかしいことに気づいたアカリは、かねてより計画していた新天地(ノーデンス荘)への移転計画を実行に移す。
※美郷荘は、ミ=ゴのスパイたちが肉体交換するのに利用する場所であったが、その情報が徐々に広まっており、都市伝説的に情報が出回ってしまっていた。故にこの施設はちかぢか廃棄される予定だった。
ただし、先立つものは必要だ。受け取れるもの(金)は受け取ってからがいい。
「じゃ、直接会って今後の計画をしっかり考えましょう」
12月16日(ゲーム開始)
アカリ、ペンションへ。
まず、サキコ(アカリの身体)を倉庫へ呼び出し、小切手を受け取った上で脳を摘出する。
アリバイは、簡単なものでよかった。
ミ=ゴの協力者であるアカリにとって警察の目をくらますことは容易いことであったため、現行犯逮捕さえ免れればあとはどうとでもなる……そんな目論見があったのである。
⇒BAD ENDだと彼女の思惑通り、全てが闇に葬られて終わる。
プレイヤーたちの活躍により身柄を拘束されたアカリは、そんな彼らに興味を抱く。
ヒトをヒトたらしめるものは、頭蓋の中に在るものだけ、――そんな信念を持つ彼女にとって、「賢い人」はむしろ、好意の対象であるためだ。
そこで彼女は、プレイヤーたちと”おしゃべり”するため、接触をはかったのである。
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