第61話 最終推理

――では、あなたたちのことを待ってもらえるか、”精神力”判定をしましょう。

 難易度は”難しい”、出目+能力値が14以上で成功します。


A「はい! 【ダイスロール:6(+6)】 しっぱい!」

B「……【ダイスロール:9(+5)】……ギリギリ成功!」


――では、ケンノスケさんに最後の質問を。


A「えーっと。どーしよっかなー?」

B「これ……犯人、は……ある程度絞れてきてるね。消去法で」

A「ですね。聞くべきは……ニンジロウさんのことか、サキコさんのこと」

B「それでええと思う」

A「じゃあ、一番怪しい、サキコさんについて聞いてみましょうか。……彼女のアリバイにおかしなところはないか? って」

B「せやね。すぎさっきーの追っかけ……というかストーカーの彼なら、何か気づいたこと、あるかも」

A「じゃ、そうしましょ」


――(惜しかったな、二人とも。……聞くべきポイントは、そこじゃないんだ)

 あなたたちはケンノスケさんに、『サキコのアリバイ』について聞く、ということでよろしいですか?


A「はい。お願いします」


――では彼は、こう応えるでしょう。


ケンノスケ「……すぎさっきーのアリバイ? ……うーん。知らないなあ。だってぼく、犯行時刻はササオさんとトランプしてたもの。さすがにそこまで気が回らないよ」

あくむ「ぐはあっ。……ま、マジですか」

べに「そういえば、そうやったね」


――さて。

 第三会議フェイズは、ここまでです。

 深夜、0時過ぎ。時計の鐘が鳴る中、ササオさんがみんなの前に歩み出ます。

 推理の時間がやって参りました。


A「うううう……こ、これは……、まずい展開……?」

B「情報不足で謎が解けないパターンかな」

A「いや。まだササオさんが何か、ヒントをくれるかも」


――では彼はまず、このように話し始めるでしょう。


ササオ「もう、十分に情報が出尽くした頃だろう。そろそろ、この事件の全貌を解明していきたいと思う」

あくむ「あらら。ササオさん、もう謎が解けちゃったんですか?」

ササオ「むろんだ。怪異探偵の名前は伊達じゃない」

あくむ「はあ。……その名前にどれほどの価値があるかは知りませんけれど」

ササオ「こういう事件は単純に、アリバイと動機から調べていくのが鉄板だ。……と言うわけで、一人ずつ情報を精査していこう。……まず、ニンジロウさん」


――するとニンジロウは、びくんと肩をふるわせて、「は、はい!」と頷きます。


A「おや。GMの一人芝居タイムの時間かしら」


――茶化さないでくれ。ちょっと恥ずかしいんだから。


ササオ「ニンジロウさん。あんたと奥さんとの仲は、ずっと冷え切っていたようだな?」

ニンジロウ「あ、ああ……。でも、私はやっていない! そもそも私が犯人なら、彼女を探す理由がないじゃないか! それに私は……」

ササオ「わかってる。……いろいろ調べたが、出てきた証拠はどれも、あんたが奥さんに依存する内容のものだ。あんたは、奥さんなしには、生活が成り立たないことを知っていた。だから犯人ではないと見た」


――そう言うとニンジロウは、ホッと安堵の表情を浮かべます。


ササオ「次に、ケンノスケさん。あんたは、サキコさんの熱心なファンらしい」

ケンノスケ「……ああ」

ササオ「あんたにはどうも、怪しいところがいくつか、ある。だがそれはこの殺人とは関係がない。犯行時刻、この俺と一緒に、トランプをしていたっていう確固たるアリバイがあるからな」

ケンノスケ「で、ですよね」

ササオ「ちなみにこのアリバイは、俺自身の無実をも証明している」


――ササオにより、徐々に犯人が絞られていきます。

 談話室内に、緊迫した雰囲気が流れるでしょう。


A「さて。ここからですよ」

B「……このまま、ササオさんが全部謎を解いてしまうんかな。……いや、そんなはずは……」


――そしてササオは、サキコさんに視線を向けて、


ササオ「杉上サキコ。あんたは……ふむ。よくわからん、きな臭い”ビジネス”とやらに関わっているような気配があるが、今回の犯行は不可能だ。何せその足では、倉庫まで歩いて行くことはできないからな。よしんばそれをしたとしても、現場に車椅子の痕跡が残っていたはずだ」

ササオ「……そうね。この足じゃ、どっちにしろ、犯行なんて不可能よ」


――と、こんな感じの話をするでしょう。


A「……へ? これだけ?」

B「ちょっと待ってちょっと待って? ……これ、なんか厭な予感が……」


――そうですね。

 Bちゃんがいま、想定した通りの流れになることでしょう。


ササオ「と、いうことで! 犯人は円筆あくむと色式べに! おまえたち以外にはいないことになる」

あくむ「はあ?」

べに「キレそう」

ササオ「なにも、難しく考える必要はなかったのさ。お前たちが共犯で、お互いにアリバイを言い合っているのであれば、犯行は簡単だからな!」

あくむ「うそでしょ」

べに「ポンコツだこいつー!」

ササオ「……失敬な殺人犯だな、おまえら」

べに「ちゃうし! 殺人犯じゃないし!」


――いやー。大変なことになってしまいましたねー。


A「棒読みがすごい!」


――みなさんにはこれより、身の潔白を証明するためにも、事件の真相を解き明かしていただきます。

 とはいえ、あなたたちはいま、その場にいる全員に疑いの目を向けられている状態。

 彼らを説得するのに必要なのは、

 “フーダニット?”=犯人は誰か?

 の指摘だけでなく、

 “ハウダニット?”=どのようにして殺人を行ったか?

 についても説明する必要があるでしょう。


B「うぐぐぐぐ……」

A「結局、ノーヒントで推理しなくちゃいけないのか」

B「ササオさん、一応わかりやすく事件をまとめてくれては、……いるけど……」


――悩んでいるようですね。

 では少し、考える時間を作りますか?


B「やって。……どうする?」

A「いいえ。結構です」

B「え? ホント?」

A「はい。……たぶんですけど、自力でなんとかできるんじゃないかな」

B「まじ? リアルアイディアで?」

A「というよりか、……直感、でしょうか」

B「直感。……なんか少し、心配やけど。ほな謎解き、任せてもええ?」

A「もちろんですとも」


――ほほう。興味深い。

 ではここいらで、カッコいい決め台詞のロールプレイをお願いしましょうか。


A「ほう」

B「GMはん、なかなかの無茶振りをしおる」


――では、どうぞ。


あくむ「この謎の解……円筆家の名にかけて、可憐に書き記して差し上げますわ!」


――……お、おお……ーっ。


B「Aちゃん、さては言う台詞、あらかじめ考えてたでしょ?」

A「えへへへへ。まーね!」


【To Be Continued】

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