第59話 最後の探索

B「ふぅむ。……とはいえ……今のところ、ササオさんの話を裏付ける話も、ないんよなあ」

A「でも、ササオさんが嘘を言ってる感じはしませんよ?」

B「それは、たしかにそう。ただ、彼が信じていることが、事件の真相とは限らんからねぇ」

A「……それはまあ、たしかに」

B「ちなみに、その場にいるみんなの表情は、どういう感じです?」


――まあ、「なに言ってるんだこのオッサン」って感じですね。


A「《読心術》で、その内心を推し量ることは……」


――できません。自動失敗です。


A「ですよねー」

B「ちなみにササオさん、他に情報、あるんとちゃいます?」

A「この際だし、知ってることぜんぶ、話してもらいましょっか」


――えーっと。

 「ぜんぶ教えろ」となると彼、無限に話し始めそうな気配です。


A「……情報を聞き出したいなら、具体的な質問が必要ってことか」

B「現時点で、気になる情報、ある?」

A「えーっと。(情報をチェックする)……今んとこ事件に関係しそうなのは、……この、”脳缶”ってもののことかな。アカリさんは、脳みそを奪われた状態で死んでいましたから、無関係ではないはず」


――ではササオは、「我が意を得たり」とばかりに深く肯きます。


あくむ「そもそも脳缶って、どういうものなんですの?」

ササオ「……高さ30センチ、直径20センチほどの円筒型の容器だ。その内部はある種の溶液で満たされており、摘出された脳を保存することができるらしい」

あくむ「脳を運搬……。どうするの、それ。まさかチタタプにして食べる訳じゃあるまいし」

ササオ「何に使うかは、俺もよくわからん。連中の考えは、俺たち人間の理解の及ばないところがあるからな」

あくむ「…………」

ササオ「また、最近の脳缶は、それ単体でその者の頭部から脳を摘出する機能を備えたものもあるらしい。……ここまで話せば、もうわかるだろう? 恐らく今回の凶器は、それだ。犯人はアカリさんを眠らせた後、『脳缶を使って脳みそを摘出した』のだろう」

あくむ「……そういうことか。怪事件の全貌が、少しずつ見えてきましたわね」


――他に質問は? 無ければ最後の探索フェイズに移行しますが。


べに「ねえおっさん。ひとつ、ええ?」

ササオ「なんだ?」

べに「そんな……魔法みたいな技術が使われてるんなら、リモコンみたいなのをポチッとやるだけで、誰でも犯行が可能なんとちゃうん?」

ササオ「”全自動殺人”ということか。……その線は俺も考えたが、それはない。ミ=ゴの超技術が使われているとはいえ、犯行そのものは手作業で行われているはずだからな」

べに「つまり殺人は、一から十まであの倉庫内で行われたってこと?」

ササオ「そうだ」


――ではその辺りで、時間切れとしましょう。

 第三探索フェイズ。最後の情報収集です。


A「ん。ケンノスケ⇒PL1⇒PL2の部屋の順番で行きましょ」

B「……といっても、うちらの部屋から、事件に関係する情報が出てくるとは思えんのやけどねえ」

A「えー。ほんとかなぁ?」

B「ほんとほんと!」


――さて。

 あなたたちはケンノスケさんの部屋に向かいます。一見したところ、ごく普通の客室ですね。

 調べられる場所は、以下の三つです。出目の合計、17以上で成功とします。




・スマートフォン:”知力”判定

・スクラップブック:”五感”判定

・謎の小瓶:”五感”判定




A「”謎の小瓶”……。なーんか厭な描写がある予感が……狂気度が加算される系の……」

B「やめとく?」

A「いいえ。調べておきましょう」

B「ほな、うちは”スマホ”を調べる」

A「【ダイスロール:8(+11)】 お。成功」

B「【ダイスロール:11(+11)】 こっちもうまくいった!」




※円筆あくむの情報:謎の小瓶

 ぱっと見て、あなたはすぐに気づきます。

 これは、落ちている髪の毛などを収集したものに違いない。

 髪の毛の長さから、恐らくは女性のものだろう。

 この情報を見たプレイヤーは、狂気度を【1D6-3】追加すること。




A「はあい。……【ダイスロース:2】。加点なし」

B「ありゃ。やっぱりハズレやった?」

A「うん。でも、情報はあったよ」

B「こっちもそう」


――では、ササオの情報です。


ササオ「これは……『杉上サキコのネット記事をまとめたもの』だな。どうも彼、サキコさんの熱心なファンらしい。……それに、……なんだ、これ? なんかのノートの切れ端に、『死ね』と書かれている」

あくむ「『死ね』……ですか」

ササオ「ああ。事件に関係あるかはわからんが、これに関してはケンノスケさんに問いただした方が良さそうだな」


――次に、PL1……つまり、円筆あくむの部屋です。こちらも、ごく一般的な客室ですね。

 ちなみにこの部屋の探索、あくむさんのダイスロールは自動成功になります。


A「まあ、自分自身のものですからね。そりゃそうか」


――調べられる場所は、以下の三つ。




・旅行鞄:”五感”判定

・スマホ:”知力”判定

・手帳:”知力”判定




A「あたしは、最後でいいですよ」

B「あら。ええの?」

A「いいですとも。あくむには後ろ暗いところがないので」

B「ふーん」


――(Aちゃん、攻めるなぁ。ちょっとしたギャンブラーだ)


べに「じゃ、私は”スマホ”を」

ササオ「俺は”旅行鞄”でも探るかな」

あくむ「では、わたくしは”手帳”ですわね」


――では、情報を送信します。




※円筆あくむの情報:手帳

 美郷荘に関して下調べした情報が書かれている。名物の牛すじ煮込みカレーに近場のスキー場、晴れた日に見られる、見事な風景……。そんな情報に紛れて、『肉体交換?』というメモ書きが見つかった。




A「………………ふむ」

B「………………???? なにこれ」


――ササオ情報ー。


ササオ「ええと……なんだぁ、これ? 札束か? 『百万円くらいある』ぞ……?」

あくむ「ちょっとちょっと! 勝手にお金を取らないでくださいます?」

ササオ「あ、ああ……」

あくむ「円筆家の長女ともなると、その程度の現金、常に持ち歩くのが当たり前なんです」

ササオ「ええーっ。危なくないか? それ」

あくむ「我々上級は、下々の方と考え方が違うだけですわ」

ササオ「しもじも……」


――では、最後です。色式べにの部屋を。

 ここも、一般的な客室です。先ほど同様、べにさんは自動成功になります。




・お弁当箱:”五感”判定

・手持ち鞄:”五感”判定

・スケジュール帳:”知力”判定




A「うーん。……なんとなく気になるのは、”お弁当箱”か”手持ち鞄”、かしらん」

B「じゃ、うちは”お弁当箱”をしらべるー」

A「…………。そうなると、そっちが気になってきたかも」

B「えっ。マジで?」

A「うん。Bちゃんいま、なんとなーく”お弁当箱”の情報を隠そうとした。そんな感じがしましたので」

B「あら、そう? ……ねえGM。ええと、調べたい場所がバッティングした場合って、どういう処理になりますのん」


――【”筋力”+2D6】の出目が大きい方が素早く調べられたということにしましょう。


B「りょーかい。じゃ、それで」

A「わあ! この娘、隠そうとしていることを隠すつもりがない!」

B「全てをさらけ出すことが、愛の全てやない。そんだけよ」

A「……ううう。あくむちゃん、筋力には自信がないんです。……【ダイスロール:3(+3)】。……ダメだこりゃ」

B「【ダイスロール:5(+10)】。はい、うちの勝ち」

A「うぐぐぐぐ。……じゃ、普通に”スケジュール帳”を調べます。【ダイスロール:4(+11)】 わあい。なんにもうまくいかないよぉ」




※円筆あくむの情報:スケジュール帳

 色式べには、月に一度くらいのペースで地元から離れた場所へ旅行に出ているらしい。




A「うわ。しかも大した情報じゃないっぽい、これ」

B「つまりうちらは、ごく普通の仲良しカップルやってこと♪」

A「……嘘だっ。ぜったい嘘だぁ……」


【To Be Continued】

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