第30話 異世界転移者

――それで、もう一人の冒険者は……。


B「はあい。うちもできましたぇ」


――さすが慣れてるだけあるね。作業が早い。


B「まあ、決めることも少ないですしねー」

A「どれどれ、Bちゃんはどーいうキャラを作ったのかな……?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 キャラ名:超勇者ちょうゆうしゃ正義まさよし

 種族:転移者

 体力:7

 精神力:8(現在:0)

 筋力:4

 知力:7(+1)

 五感:9


 設定:トラックに轢かれ、異世界から転移してきた青年。20歳。

 元の世界への帰還を目的に、様々な経験ができる冒険者となった。

 名の通り正義感が強く、誰かのために戦うことを厭わない。

 貧乏な家庭の生まれのため、お金の使い方に少し慎重だったりする。


●種族特性

《転移・トラック事故》:”現代編”に登場するアイテムを三つまで無料で手に入れる。

《奇跡の人》:”女神の寵愛”を2つまでストックできる。


●覚えたスキル

《助言》:精神力を1消費して、味方の”知力”行為判定に+1D6する。

《正義の味方》:善行を行うことで精神力が1上昇する。

《自然治癒(弱)》:ゲーム内で1時間経過するたび、体力が1回復する。

《節約術》:回復アイテムを二回ずつ使うことができる。

《値切り》:精神力を1消費して、消費アイテムを一つ、半額で購入できる。


●初期装備

 学生服(現代):装甲+1。鎧と併用できる。

 スマホ(現代):”知力”+1。

 登山セット(現代)

 治癒ポーション ×4:100G ※《値切り》使用のため半額。

 精神ポーション ×4:100G ※《値切り》使用のため半額。

 毒消し ×1:40G

 ファイアの巻物 ×4:80G

 アイスの巻物 ×4:80G

 サンダーの巻物 ×3:60G

 ウォーターの巻物 ×2:40G


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


A「へええええええええ。これが”転移者”かぁ」

B「せやね。せっかくそーいう設定の種族がおるみたいやし、選んでみた」


――かなりピーキーな性能に作りましたね。


B「なんぞ問題、あります? システム的にこういうスキルの組み合わせは困る、とか」


――いや、そういうことはまったくない。ただ、さすが経験者、というか。複雑な動きをする構成にしたな、と思って感心していたんだよ。


B「ああ、そーいうことですか。……うち、戦う時は、いろんな選択肢の中から決めたいタイプなんです」


――その気持ちはわかる。


A「あたしは、近づいて殴るだけの簡単なお仕事!」


――知ってる。


B「ところでこの、”女神の寵愛”ちゅうんは、どういうやつなんです?」


――それは、今回から登場するもう一つの追加ルールだ。ゲームが始まったら、説明するよ。


B「あい」

A「私、前衛! Bちゃん、後衛! 役割分担がしっかりしたチームですね!」


――ちなみに二人は、知り合いなのかい?


A「もちろん! Bちゃんはサクラ校の同級生で、お友達ですよ!」


――ああいや、そっちじゃなく。


B「超勇者とシュリヒトのことです、よね?」


――ですね。


A「えー。どうなんだろ。……Bちゃんはどう思う?」

B「どうやろ。超勇者くんが異世界出身やから、幼なじみとかではなさそうやけど……」


――それではセッション開始前に、二人の出会いについての情報をください。


A「出会いの物語? つまり、創作をしろ、と?」


――そんなに難しく考える必要はありませんよ。どういう流れで二人が知り合って、どういう感じで同じチームになったか、ざっくり教えていただければ。


A「ふーむ。……そういえば、なんでなんでしょ?」


――ただ、なんとなく出会った、ということでも構いませんが。


A「いーえ。せっかくですし、ちょっとした因縁をかんがえましょう」


――その点、Bちゃんの方に何か考えがあるみたいだね。


B「……はい!」


――(目がキラキラしているな。設定考えるの、好きなタイプか)


B「超勇者正義くんは、とある日の登校中、飛び出したにゃんこを庇って死んでしまったんです。

 ほんで、気がついたら異世界。右も左も分からないまま森の中を彷徨っていると、獣人族の家族に助けられるんよ」

A「なるほど! その家の子供が、シュリヒトなんですね」

B「うん。シュリヒトちゃんは、魔神フォルターに滅ぼされたっちゅうヒューマンの復活を夢見てて、冒険者を目指しとる。たぶん正義は、彼女に誘われる形で冒険者になったんやないかな」


――ほうほう。


A「ちなみに……シュリヒトは、正義くんのことが好きなのかしらん?」


――でた。恋愛脳。


B「どうやろね。種族の差があるから……でも、シュリヒトは正義に、かつて懐いてたヒューマンの面影を重ねていてもおかしくないと思う」

A「なるほどなるほど」

B「それで、正義は正義で、この世界にくるきっかけになった猫とシュリヒトを重ねてる……とか」

A「猫じゃないんだけど! 獣人なんだけど! ってね」

B「そうそう」

A「ちなみに、この世界のヒューマンと正義くんは、似た感じの種族なんですか?」


――どうだろう。一応”ファンタジー編”のキャラクターはコーカソイド系のイメージだから、日本人である超勇者くんの顔つきは、微妙に違って見えるかもしれないね。

 でも、基本的な顔の形はそっくりだから、獣人であるシュリヒトと見分けがつかなくてもおかしくない。


B「ほな、そういう感じで行きましょか」

A「シュリヒトと正義は、お互いに別の誰かの面影を見ている、と。二人が仲良くなったきっかけはきっと、それですね」


――了解です。では、そのような方針でロールプレイをお願いしますね。


A「はい」

B「あい」


――それではこれより、セッションを始めます。

 ファンタジー編シナリオ『終末の再会』

 よろしくお願いします。


A「よろしくお願いします!」

B「はい、よろしゅうに~」


【To Be Continued】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る