「第2章 初めて覗かせる彼女の素の表情」
「第2章 初めて覗かせる彼女の素の表情」(1)
(1)
――翌週、月曜日。
図書委員の当番が終わった直哉は、二週間前と同様に教室で昼食を取っていた。真島と机を並べて、弁当を食べる。彼に先週一週間の図書当番の仕事を簡単に説明した。彼は、終始「ほぅー」と感心した様子で聞いていた。
一方、直哉は真島に説明しながら、視界の隅では何故か美結を捉えてしまう。彼女は梅沢、森谷と机を並べて楽しく昼食を取っていた。時折、耳に届く笑い声は昨日まで聞いていたのと何も変わりない。
「見過ぎ……」
真島がため息混じりにそう指摘してきた。
「えっ、嘘。見てる?」
他人にはバレないと思っていた直哉は、真島の指摘に慌てる。
「俺と話しながらチラチラ新藤さんを目で追ってるのバレバレ。もし、無意識なら気を付けた方がいいぞ」
「……気を付ける」
真島以外に指摘されないようと直哉は、意識して目線を正面を向けた。
「でも、共通点が出来て良かったじゃないか」
「まあ、それはな」
「まだ高一の一学期なんだから、仲良くなるのはこれからでも大丈夫だろ?」
「どーも」
真島なりに気を遣ってくれているのは、理解しているが、素直には返さない。同じクラスいる。毎日、顔を合わせる。それだけでまた話す機会くらいあるさ。本の話や授業の話。色々な話が出来るだろう。
直哉は弁当最後のおかずのブロッコリーを箸で取り、口に放り込む。
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