From Father To Son(ロックアルバムで聴くブルース)

さとみ・はやお

●CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL 「COSMO'S FACTORY」(Fantasy)

最近はCFのイメージソングにもよく使われて人気復活している、C.C.R.1970年の大ヒットアルバム。当時のクリーデンスの人気はすさまじく、出す曲、出す曲すべてが両面ヒットしていた。「ビートルズに対するアメリカの回答」とよばれた彼らならではの快挙であった。


当然、このアルバムにも、大ヒット「トラベリン・バンド/フール・ストップ・ザ・レイン」「アップ・アラウンド・ザ・ベンド/ジャングル越えて」「ルッキン・アウト・マイ・バック・ドア/光ある限り」と、シングル・ヒットが6曲も収録されている。これで売れないわけがない。


これらはすべて、グループのリーダーにしてリード・ボーカル、リード・ギターをつとめるジョン・フォガティの作品である。しかし、それだけではない。一方では、なかなか渋~いブルース/R&B/ロックンロールのカバー曲も収録されているのだ。


まずは、「ビフォア・ユー・アキューズ・ミー」はエラス・マクダニエルの作品。といっても誰のことだかさっぱりわからないだろうが、ジャングル・ビートと角型ギターでおなじみのボ・ディドリーと言えばピンとくるだろう。オーソドックスなミディアム・テンポの痴話喧嘩ソング。イナタくも、イカしたジョンのギターソロが聴ける。


「ウービー・ドゥービー」は、かのトラベリング・ウィルベリーズのひとり、今は亡きロイ・オービソン(♪プリティ・ウーマン♪ね)の大ヒット。


「マイ・ベイビー・レフト・ミー」はエルヴィス・プレスリーも1956年にカバーして有名になった、ロックンロールの先達のひとり、アーサー・"ビッグ・ボーイ"・クルーダップの作品。同じエルヴィスの「ザッツ・オールライト・ママ」を思わせる、ノリのいいアップテンポのロカビリー・ナンバー。


とどめは、R&Bの超名曲、マーヴィン・ゲイが大ヒットさせた「悲しいうわさ」(原題「I Heard It Through the Grapevine」)。そう、現在わが国で大活躍中のロック・バンド「グレイプバイン」の命名の由来ともなった曲である。11分以上におよぶ大曲で、ジョンのギタリストとしての実力が遺憾無く発揮されたブルーズィーなソロが聞き物だ。使用ギターはたぶん、グレッチ。


とにかく、手抜きなし、名演11曲がぎっしりつまった名盤中の名盤。ブルース、R&B、C&W系のギタリストを志すひとは必聴だろう。個人的にも筆者が一番最初に買ったロック・アルバム。30年来、何度聴き直しても中身の濃さに驚嘆せざるをえない。(2000.11、原文ママです)

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