第7話


 

 天使の羽から離れてしまった魂のかけらは目を覚まします。ちっちゃな魂にはほんのかすかな意識が芽ばえて、天国に戻ろうとけんめいに道を探しています。


 でもぴくりとも動けません。次元を移動できるほど意識が目覚めていないので、真っ暗な深海のなかをあてどもなく漂い続けるしかありません。


 深海からは海底火山で熱せられた海水がモワモワと立ち昇っていました。ある時、魂のかけらは熱い海水の流れに乗って深海を抜け出します。


 浅い海には太陽の光が届いています。隕石が運んできた有機物も陽射しを浴びながら海中を漂っています。


 魂のかけらは天使の赤ちゃんと同じように太陽光のエネルギーをもらいます。有機物のなかへスーッと吸いこまれるように入りこみました。


 ちっちゃな魂が入って最初の生命いのちが誕生します。


 核酸塩基だけのそれはそれは小さな生命いのちは、必死に生き延びて意識を成長させようとします。


 長く果てしのない生命いのちの旅が始まったのです・・・



 

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