グラファイトーはじめまして、友達。
百均
グラファイト
鉛筆を手にとって、「こんにちは。」と書いた。
続きの文章を書こうとしたが、全く以て文字が浮かんでこなかった。
スマートフォンのメモ帳に。「こんにちは。」の文字が溜まっていくばかりで、何も書けなかった。いつの間にかYoutubeのアプリを起動していて、音楽を聴き始める。登録しているユーチューバーの動画をさかのぼって一週間見る。その流れで、ラップバトルを聞き始めたら、それが楽しくて、ライブに行く程の行動力は持ち合わせていないけれども、自分がステージの上に立って同じ事が出来るか考えたら何もできないなと思った。
即興で言葉を自在に操っている人たちの姿が眩しかった。俺もあんな風に言葉を吐き出してみたいな。そう思ったら今自分が何をしているんだろうという気になった。熱狂をを抱えたまま、鉛筆を手に取り、メモ帳を開いて書き出そうとうする。
今日は太陽。明日はどうしよう。何も書く事がないよう。鉛筆なんかどこにもないよ。今は指先が鉛筆だ。鉛筆にほとばしる熱い魂を込めるんだ。書くんだ。なんでもいいから、この時間を使って、ぶつけるんだ。でも、「こんにちは。」の後に会話文が続かなかった。
だから、持て余してしまいました。
持て余した心を表す何がが欲しかった。
4月になっていた。桜は3月の頃に満開で、卒業式は綺麗だった。だから、もう花のが落ちて、葉桜になりかけの通学路を、真新しい制服を来た同じ歳の、同じ条件の奴らの、同じ偏差値の、同じ年相応の考えを持った奴らと、同時に高校生になる。
今日、俺は高校生になる。いや、なった。
生まれて初めての高校生活。
そして人生で最初で最後の高校生活。
それが始まるというのに、俺には何も書く言葉なんてものも、言って仕舞えば高校に行く理由も書く物も、俺にはなかったんだ。
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