27 カ イ マ ク
「皆様ご覧ください!これよりカイセ・タダシ長官が緊急会見を行う模様です!あぁ、出てきました!」
「長官、レイヴンズの屯所が壊滅したという話について何か一言!」
「これも《転生者》の仕業なのですか?」
レイヴンズ本部。ここには、多数の報道陣がこぞってタダシの下へ取材を行おうとごった返していた。先刻タダシが立体映像を用い、緊急会見を行うことを発表したためだ。
下がってください、と押し返す隊員たちであったが――
「構わない。ですが皆様、どうかご静粛に!」
それを受け入れつつ、タダシは報道陣を一喝。様子が落ち着いてゆくのを見届けると、一つ咳払いを行った。
「此度のレイヴンズ屯所壊滅事件を受け、皆様混乱の渦中にあるかと存じ上げます。この私、カイセ・タダシから、正式にこの件についての発表をこれより行います」
息をのみ、一気に静まり返る報道陣達。そんな彼らを見据え、タダシは言う。
「皆様のご想像通り、この事件を引き起こしたのはアヤツジ・ケイトと言う名の《転生者》です。彼は我々レイヴンズを標的とし、その牙を剥いたのです。彼は今も、この本部へと向かいつつあります!」
その言葉にざわつき始める報道陣。ここが襲われる――そんな不安故だった。
「ですがご安心ください!先日の会見通り、我々には
そんな空気を塗り替えるように両手を広げ、叫ぶタダシ。
他でもない長官の宣言に安堵し、湧き上がる報道陣――そして民衆。
しばらくして――ついにその時は訪れた。
「!」
突如として、レイヴンズ本部の一部が爆発を起こしたのだ!
慌てふためき、蜘蛛の子を散らすように逃げてゆく報道陣。その中心を悠然と歩くタダシ。
彼の目線の先には――
「対象を確認……破壊します」
紅い瞳を輝かせ、手のひらを突き出しているケイトの――否、マリスの姿がそこにあった。
「とうとうやってきたか、外来種」
「……」
「これ以上お
そう言いつつ、金色のスマートフォンを懐から取り出すタダシ。
彼はそれを構え――
「ヘイ、ゴルド。ジャスティマギア、起動」
『承知いたしました』
ゴルドと呼ばれた、男性の声の無機質な音声が鳴り響く。
まるでかつてのケイトとマリスのようなやり取りの後、彼の全身は変化を始める。
《A messenger of peace that punishes evil……》
アンダースーツが形成された彼の周囲を黄金の装甲が飛び交い、次々に装着されてゆく。
そして最後に王冠にも見える頭部アーマーが装着され、
《I‘m justice……!》
私こそが正義だ――音声はそう高らかに宣言し、ローブが翻る。
ここに《正義》の戦士、ジャスティマギアが降臨したのだ。
そしてマリスもまた、姿を変える。
しかしそれは、以前の姿とは違う。
向き合う男女を模した仮面の片方は砕け散り、女性側のみが残されている頭部。
純白の装甲は真っ黒に染まり、左右非対称だった首から下のフォルムは対象となっている。
そして割れた仮面の下にむき出しになった瞳部分は、血のような赤で輝いていた。
「何だ、その姿は……?まぁいい。私の目的は変わらない。来たまえ、世界にとっての悪よ!」
記録とは違うその姿に困惑しつつも、《生成》で作り出した大剣を構え、突き進むタダシ。
それを見据え、迎え撃つマリス。
曇天の空から、一筋の雷鳴が落ちる。今ここに、戦いが始まった――!
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