第216話・冬空で抱っこしてくれた女性の胸の谷間の暖かみ
妖麗女性の上からボクがどくと、女性はベンチから立ち上がり
「わたし家へ帰るわ」と。ボクはとっさに
「おんぶしてください。貴女の魅力にへろへろにされて、足腰に力が入らなくって、
歩くのツラいんです。駅まで、おんぶしてください」
「なんで、おんぶなんかしなきゃなんないのよ。絶対イヤよ」というと妖麗女性は、ふたたびベンチに腰を下ろし、ボクを迎え入れるカウチソファーのごとく、暖かみと柔らかさを魅せて、ボクを打ちのめしてくれちゃった。
ボクは、ベンチ上の彼女の上に、乘って当然のごとく、ってな無言のまま、彼女の上に抱き着くように乗りかかった。
「また乗っかってくるの、、なんなのよもうー」と不満を吐きながらも、女性の身の構え方には、乗られてしまう覚悟があることを、彼女の身体の微妙な柔らかさから
フェチのボクは感じ取った。女性の身体というのは、乗られることを受け入れる心を持つことで、こうも柔らかく乗り心地のよい感触に変化するものなのだろうか。受け入れてもらえているというだけでなく、優しく包み込まれているという感じの愛されてる感。
公園で出会っただけで愛されてるわけなんかないのだが、公園で出会っただけなのに2度も乗らせてくれてる、ってな点が萌えポイント高いってのがボクのシアワセ度で測る感性。もし元々から熱愛の恋人同士だったら、乗せてもらえるだけでは入口で、もっと深いとこまで求めてしまうか期待してしまうか。だけど公園出会いの関係ゆえ、乗っからせてもらえてるだけで至福でお得感で・・・。
ボクは、おんぶフェチゆえ、女性の後ろ姿に萌える傾向がある。後ろ姿を眺めながら、この女の子におんぶしてもらえたらどんなふうな気持ちよさなんだろう、
と妄想してみたりする。しかし今回ボクが乗せてもらってる妖麗女性には、女性の
前側に乗せてもらってることに至福と萌えをびんびんに感じ、あえて彼女におんぶ
してもらいたいなんて思わなくなった。ベンチの上でこうして抱っこしてもらえてる体勢が悦楽の幸せ。ボクは自分の顔を彼女の胸の谷間にうずめて、女性の身体は暖かくて柔らかいんだ、ということを堪能した。
女性の胸の谷間を覆うあたりの服の生地が湿気で濡れ始めているのは、ボクの吐息のせいだろうか、だとしたら申し訳ない。しかし、こうして女性の上に乘り続けていると、ボクの体重がもっとも重く乗っかってる部分、彼女の太もものところのスカートの生地にも湿り気が・・。ということはつまり、2人の体温で暖まってお互いの汗で、ってことだろうか。
寒々しい季節。地味な公園のベンチ。そんな中で暖め合う2人。なんて素敵な冬の恋なんだろう。このまま・・女性に抱っこされたまま眠りたい・・。そんな夢心地で女性の暖かみを享受していると
「もう終わりにしてください。お腹が痛くなってきたから、どいてください」という現実的な声で、ハッとさせられた。
「お腹が痛くなるまで、ボクを抱っこしてくれてたなんて、すみません」
「お尻は冷たくて痛いし、お腹は痛くなるし、足は痺れるし、最悪よ。なんで私こんなことしてんだろ」
「ワガママなボクのために、ありがとう。おかげでボクは幸せなひとときを過ごせました。ホントにありがとうね」
それにしても、女性の「もう終わりにしてください」という言葉からは、自分の上に乘って幸せそうにしている見知らぬ男に対し、即座に拒絶せず、しばらく幸せな時間を過ごさせてあげてもいいっか、という女性の優しさ、素敵すぎる。
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