第101話・女の子のおんぶで喉元に茶髪ふさふさ感の幸せ

 満員の通勤電車内、途中駅乗車客らに、ぐいぐいと押されて落ち着いた立ち位置。ボクの目の前に、綺麗なふわわっとした茶髪女性の頭があった。ボクの位置は、茶髪女性の斜め後ろだったので、後方からの横顔もなんとなく見え、かわいい女の子かな、という妄想をかきたてるにはイイ感じ。

 この満員状態でもスマホを見つめて操作する彼女のピンクのネイルがセクシー。

スマホを見つめる女性の「心ここにあらず」感にボクはセクシーさを感じる。彼女の心は今のこの満員電車には無く、実はすごくエッチな世界にあるのかもしれない。ボクは、そんなスマホ女性に感じるフェチを持ってる。そんな、心はエッチな世界に、かもしれない女性が、いまはボクと身体を密着させてくれている。

 ボクの喉元に、彼女の茶髪のふわふわが触れてくれてるような感触が、こそばゆくて心地よすぎる。しかし、ボクの喉元を気持ちよく触ってくれてるふわふわは、目の前の女性の髪ではない。女性の髪は、ボクの目の前に落ち着いててボクの喉元には触れていない。なのに・・

 ボクの喉元のふわふわは、その女性の着ている防寒ジャケットのフードの縁のふさふさだった。そのふさふさの色が、なんと彼女の茶髪とほとんど同じ色なのは、偶然なのかコーディネートなのだろうか。

 ボクの立場からすると、視覚的には、女性の茶髪と横顔に感じ、触覚的には、フードのふさふさ感を喉元で女性の髪のように感じ、と2つのイメージの融合というお得感。満員電車の中という、ほとんどの人が不快な思いをさせられてる中でボクだけ悦という、お得感。そして、女性は、スマホ熱中で、心ここにあらず、身体を密着させてる隣の男に快感を与えてるなんて意識はないとこに萌えてしまう自分。意識してない女性にこそ、真の色っぽさがある。

 電車は終点ターミナル駅に着いて、全員が降りるので、ボクがその女性のあとに続いて降りても、なにも怪しくない。女性は、目的地へ急ぐことよりも、スマホに熱中するほうを選んだのか、柱の陰に立ち止まってスマホ操作に・・。彼女の立ち止まりは、ボクに、声かけのチャンスをプレゼントしてくれた運命の出会いとしか。

「あのー、すみません。電車の中であなたの後ろに立っていた者ですが・・」

「はい?」と彼女が振り向いて答えてくれたのは、落とし物でも拾ってくれた人と思ったからかもしれない。

ボクは、電車の中で、ふさふさに感じてしまったいきさつを、上記のごとくのことを包み隠さず説明したのだが、女性は理解できてないようで「は???」とだけ。ボクは説明をやめて単刀直入正直に言った。

「貴女のセクシーさに感じてしまったので、貴方におんぶしてもらいたくなってしまったんです。ボクをおんぶしてください、改札出る手前まででいいので」

「えっ、私がおんぶしてもらうんでなく、私がおんぶするの?」

「ハイ、わかってくれて、ありがとう、では乗りますよ」と言って女性の両肩にボクは両手をかけて飛び乗ると、女性は「おんぶするなんて言ってないよー」と言いながらも、スマホをハンドバッグにしまいながらも、ちょっとヨタつきながらも、ボクの70キロの体重を支えてくれた。

 乗って、彼女のボディーを両足で挟んでみてわかったのだが、防寒ジャケットの外観からの想像を超える細いウエストから、かなり華奢な女性であることを、自分の股間と太ももから感じ取れるという贅沢さ。。贅沢な特等席。

 ジャケットのフードの縁のふさふさが、ボクの喉元に触れてこそばゆい気持ちよさをもたらしてくれた、再び。このふさふさは、おんぶしてもらってるボクを気持ちよくさせるためのデザインだったんだと感謝。

「改札の手前まででいいから歩いてよ」と、駄々っ子のように、おねだりすると、女の子は向きを変えて歩き始めてくれた。上げ底の黒い靴で転ばないように慎重に歩いてくれてるおかげで、乗ってるボクには振幅の大きな揺れが伝わってきて、この揺れが「華奢な女の子が歩きにくい靴でボクのために歩いてくれてる」感・・じわり。

 揺れるたびに、フードのふさふさがボクの喉元を撫でてくれるもんで、そんな極上のサービスつきのおんぶに、ボクはうっとり夢心地で感じてしまい。感じたときに

女の子の茶髪の頭を両腕でギュッと抱きしめてしまい・・・、女の子から

「頭を強く抑えつけられると苦しいんで・・」と。

「ごめんなさい、手を軽く乗せるだけならいい? 髪がすごくきれいだから触っていたいの」

「ホントは髪触られたくないんだけど、軽くならいいですよ」

「ありがとう、おんぶしてもらって、髪さわらせてもらって・・なんて素敵な女の子と今日は出会えちゃったんだろ」

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