第83話・女の子に抱っこしてもらってブランコに乗った
さすがのスポーツ女子ジュンコも、ほんとにふらふらだったので、たまたま数メートルほど先にあった公園で休もうとしたが、ベンチが空いてない。最近の公園はベンチが少ないようだ。
なので、ブランコに座って休むことにした。ジュンコは「ふぅぅ、もう汗だくよー」と言いながら、ブランコに座ったので、ボクは間髪をいれずスルッと、ジュンコと向き合う形で、ジュンコの太ももの上に跨るように座る。ジュンコは
「なによ、当然の流れのごとく、さらっと乗っかってこないでよー」
「だって、隣のブランコじゃ、せっかくのジュンコと離れちゃう」
ボクは両足で地面を蹴ってブランコを揺らすと同時に両腕でジュンコを抱えるように抱きついた。ジュンコは両手でしっかりとブランコの鎖部分を掴んで、2人のバカップルが落ちないように支えてくれている。
こういうふうに、自分の身の安全を完全に女の子の細腕にゆだねている状況をボクは大好きで萌える。女の子が「こんな男なんか捨てちゃえ」と思えば、ボクを突き落とすこともできる、その「100%完全ゆだね」としては肩車なんかそれであり、ブランコの場合は、ジュンコが手を離せば、ボクだけでなくジュンコも落ちて怪我する自爆道連れ状況だ。それゆえ、ボクはかなり安心した気持ちでジュンコに自分の身体をゆだねられる。ギュッと抱きしめられる、キスだってできちゃう、ボクは両足で地面をキックしつづけて、ブランコを揺らせ続ければ、ジュンコは両手を離せないからボクから逃げられない。なんて素敵な状態なんだろう。ブランコ最高ぅぅ。
こんなシアワセの中でボクはうっとりしていたが、ジュンコの「もう手が限界、ブランコ止めて」という言葉で現実にもどった。やりすぎてはいけない・・。ベンチがひとつ空いたのを確認して「あっち行こうかっ」と。
ジュンコが「ああー、疲れたぁ」と、ベンチに座ったので、ボクは、ジュンコの太ももの上に座ると、当然ながらジュンコから
「なんで、私の上にばかり乗るのよー」
「だって、ベンチは堅くて冷たそうなんだもん。ジュンコの上に座ったほうが、柔らかくて暖かくて気持ちいい」
「なによそれ、女の私は冷たくて堅いベンチに座ってるのよ」
「うん、わかってる、ありがとうね。ボクのお尻を、こんな座り心地良く包み込んでくれて。ジュンコさんに大切に守ってもらえてるみたいで、嬉しくてドキドキしてきちゃって、このままここでジュンコに抱っこされて眠りたい」
冬の寒い風がときおり吹くことで、ジュンコの身体からの暖かさを、よりありがたいものとして感じた。
「ジュンコに抱っこしてもらえて、暖かいよ。ジュンコもボクの重みから暖かみを感じてる?」
「暖かみなんかよりも、足がしびれてきちゃったわよ」
ジュンコとこういう甘えれる関係になれたこと、うれしいよ。最初の出会いのあの騎馬戦のときの、ジュンコのあの頑張り・・、ボクはこんな女の子に自分の全てを
あげちゃいたいって惚れちゃったんだよ。
「ボクのすべてをあげる、お持ち帰り自由だよ~」
「こんな重くてワガママなの、いらないよー」
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