第34話・友人男性に恋する女子にボクをおんぶさせた

 女子大生ノブコは、ボクの男友達タケユキに片想いしていたが、タケユキは、ノブコのことを都合のよい遊び相手としか見ていず、そのことを薄々と感じつつ、ノブコは、ボクに対して、タケユキと会える機会のセッティングを求めてくる。

 とはいえ、ただ会うだけでは企画力不足なので、ボクから「タケユキにちょっとでもいいから、嫉妬させるためになにかしよう」と提案。とりあえず、4人で秋の海へ行くことを企画。タケユキは季節に関わらず海へ行くことが好きなので、海企画なら断ってこないだうと。もう一人は、車をだしてくれる男友達カズヒトで、カズヒトは、あわよくばノブコを狙っている。

 秋の湘南海岸は、がらすきだ。国道134号線沿いの駐車場に車を置いて、しばらく、目の前の砂浜海岸で座り込んだり歩いたり雑談したりしていた。

「そろそろ移動しようか、食事でもしにいこう」と薄暗くならないうちに、ボクはうながし、駐車場へ戻ることにした。

 タケユキは、どちらかというと、ノブコと濃い仲になることを面倒くさがってるところもあったので、ノブコと2人の世界は作らず、カズヒトと2人で駐車場へ向かって歩き始めていた。

 ボクはノブコに

「俺をおんぶして」と、やや上から目線で命令調。

「えっ、なんで。私がおんぶするなんて、ヤダ」とノブコ。

「タケユキを嫉妬させるためだよ、乗るぞ」

ボクは、ノブコの背中に飛び乗ると、ノブコはしぶしぶ歩き始めた。

先を行くタケユキたちに気付かせるためにボクは叫んだ。

「おおい、タケユキ。ノブコのおんぶ、乗り心地いいし、楽ちんだぞ」

タケユキは「ノブコ、力持ちだなぁ」と立ち止まる。

 ノブコは、タケユキに声かけられたことで、頑張りがいを感じ歩く。

 砂浜の海岸は、駐車場の階段の下まででも、ずーっと上り坂で、傾斜は見た目よりも意外キツいので、ノブコは何度も立ち止まり、大変そうだった。上に乗ってるボクは、ノブコのタケユキに対する愛のパワーで、おんぶしてもらって楽させてもらってる、お得な役回り。ノブコは、好きでもない男を背負って力を振り絞って上り坂を歩いている。このシチュエーションにボクは萌えて、ノブコの心の内を想像すると、そういうところにも、性的に感じてしまうもんなんだな、と自分発見。

 上り坂というだけでなく、砂浜ということでも、かなり歩くのに余計なエネルギー

使って大変そうだ。たまに、ノブコの足元がぐらつくのは、上の乗ってる能天気なボクにもわかるように伝わってくる。ボクはタケユキにまた叫んだ。

「おおい、タケユキ。ノブコちゃん、凄い女の子だぞ。そこまではボクが乗っていくけど、そこから交代するから、タケユキもノブコにおんぶしてもらってみろよ」

 ふらふらになりながらも、タケユキのところまで、ボクをおんぶして到着すると、ノブコは、駐車場に上がる階段に座り込んでしまい、とても、タケユキをおんぶして、この階段を登れる状態ではなかった。

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