第24話・猫背の女の子におんぶの魅力

 たまに一緒に外食する仲のミユキは、スレンダーでファッショナブル、なかなかの美女なのだが、猫背。この猫背は本人もかなり気にしてる。たけど、女の子におんぶしてもらいたいフェチ、のボクからすると、ミユキの猫背には「乗りたい乗りたい」と、そそられるものが前々からあった。

 その日は、ミユキがよく行くショットバーのカウンター席でボクとミユキの2人でチョイ飲みをしていた。。カウンター席に横並びだと、横から眺めるミユキの

猫背フォルムが、たまらない。

 ミユキの丸い猫背が、ボクに「ここに乗って乗ってぇぇ」と訴えかけている。軽い茶髪のショートカットが、ミユキの横から眺める猫背フォルムとマッチしてる。ほどよい猫背には温かみを感じる。ショットバー店内照明が逆光になって、猫背フォルムの輪郭を浮きだたせてるのが、また「乗って乗ってぇぇ」と聴こえてしまう。

 おんぶは、店を出てからしてほしいが、「おんぶして」とは、今すぐ、今のフォルムのミユキに言いたくなった。

「ミユキ、あとでボクをおんぶして」

「えっ?? 私をおんぶしてくれるんじゃなくて、私がおんぶするの?」

 ショットバーを出たすぐのところでボクはミユキの背中がわにまわり「乗るよ」と声をかけて飛び乗った。乗られた勢いで、ミユキは2~3歩前にトントンと出たが、安定したおんぶをしてくれた。ミユキの猫背の斜め角度のついた背中は、おんぶしてもらう側からすると、絶妙の乗り心地だった。

 たぶん、もともとちゃんとした姿勢の女の子でも、重い男をおんぶすることによって、前傾姿勢の猫背っぽくなるのだが、それは本来のその人の姿勢ではない。一方、もともと猫背のミユキにとっては、ボクをおんぶしてるその前傾姿勢が、彼女の本来の姿勢なので、その姿勢をしていることに、すでに身体が慣れている。この点が猫背ミユキがこんなに乗り心地良くてフィット感抜群な理由なのだろうか。

 新宿歌舞伎町のショットバー前から、ミユキのおんぶで青梅街道を渡って、新宿駅へ向かってもらった。身長155センチほどでスレンダー、スポーツ女子てもないミユキが70キロ以上のボクおんぶしてこの距離を歩けるのは、猫背というフィット感ゆえだろうか。まさに、「おんぶ向きの体形の女の子」だ。

 ところが、青梅街道を渡ってから、ミユキの歩調はいきなり遅くなり立ち止まってしまった。ミユキは

「ここ上り坂だよ。ちょっと上りなだけで、すごく大変、いきなり汗が噴き出たよ、、おんぶここで終わり」と。

 ボクは「あっそうなんだ、上り坂なんだ。おんぶしてもらってると、ぜんぜんわかんないよ。ただ、なんで歩き方が遅くなったのかなって」

「これ以上歩けないから降りて。汗噴き出して化粧が台無しよ」

「化粧、、ごめんなさい。歩けないなら歩かなくていいから。でもボクはミユキのおんぶ気持ちよくなっちゃってるから、しばらくこのまんま立ち止まってて、ボクしばらく乗っていたいんで」

「しばらくっていつまでよ。私もう足が痛いんだから」

「足痛いのに、ボクをおんぶしてここまで来てくれたの?」

「そうよ、青梅街道わたってる途中から痛くなって」

「それ聞いてボクまた感じちゃったよ。あと3分おんぶしてくれたら、ボク感じちゃってるの終わるとおもうから3分頑張って、おねがい」

 3分後に降りてから、ミユキの猫背がボクのおんぶ心をそそった話を告白するとミユキは「猫背なおさなきゃ」と。

 「いや、猫背にまた乗せて・」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る