花も実もありますように！ 〜異世界の夢、代行屋さん みはな〜

プロローグ

この世界には 代行屋 、という職がある。

またの名を人生の代行者。

一歩踏み出せなくなった者。

踏み出したくとも、それが叶わない者。

時が止まってしまった彼らに、できる限りの救いの手を差し伸べる。

時が止まってしまった彼らの人生に、代わりとなって少しだけ、歩む。

それが仕事だ。

想い人を失った者。

体を失った者。

家族を失った者。

自分を失った者。

生きる力を失った者。

そんな誰かの生きる活力になる仕事だ。

代行屋は笑顔の思い出も、涙の記憶も、すべてを包み込みこむ。

種族も身分も経歴も関係ない。

何者だろうと、少しだけでも平穏を与えることができれば、それで良い。

ただ、世界中の笑顔のために、

彼らの人生に「死」という終止符を打つのだ。