第13話 アコフレ村の祭りに行った
やはり今日もヘルメとクレナは朝からクッキーの仕込みをしていた。
なぜならば今日は年に一回だけ行われるアコフレ村の祭りがあるからだ。アコフレ村の祭りは神に来年の豊作などを願うために行うらしい。
そろそろ祭りが始まる時間が近づいて来たので、2人は仕込みをやめ、村に行く準備を始めた。3人はクレナの背中に乗り、アコフレ村に向かった。アコフレ村に着くとまたストラスが来たことに騒ぎになっていた。
あたりを見渡すと色々な出店があった。
「色々な出店あるなー」
「なぁ ストラス出店ってなんなのだ?」
クレナは首を傾げた。そうかクレナがいた場所はドラゴンばかりで出店なんて知らないよな。
「出店って言うのは、食べ物とかを出す場所だ」
「じゃあさ、今日は色んな物食べてもいいか?」
クレナにとっては初めてのことだし、しょうがなく許した。
「あぁ、今回は特別に良いぞ!」
「わーーい! やったーー!」
クレナは腕を上に上げピョンピョンしながら喜んだ。
「村の入口付近に店でも出すか」
「そうしましょうか」
自分たちもアコフレ村の入口付近で店を開く準備をした。
準備している途中、薬を売った時のように、周りには、人集りが出来ていた。あるところでは、自分の出店なんて、放置して、ストラスの所に来てる人もいた。
祭りが開始したので、さっそく呼び掛けを始めた。
「村の皆さん!これは、ヘルメという女の子とクレナというドラゴンの子のクッキー対決です!皆さんはどちらかお好きな方のクッキーを買って下さい!」
クレナとヘルメどちらにも、沢山の行列が出来ていた。夕方頃までヘルメとクレナはクッキーを売り続けた。そして運命の結果発表。
「結果発表です!」
村の人たちは物凄く騒ぎ、「ヘルメちゃんのクッキー最高だったぞ!」や「クレナちゃんのクッキーもメチャクチャ美味しかっぞ!」などと言う村人もいた。
「まず、ヘルメの売上個数は……225個!次にクレナの売上個数は同じく225個!」
「え!」
「そんなはずないのだ!」
そうだ、225個なんて同じ数が揃うなんてある意味奇跡だと言えるだろう。
「結果はどちらも優勝でーーす!」
村の人達は「うおー」などと大声で発言していた。村人の一人は「どっちも買ってみたけど、美味しかった!」という声も上がって安心した。
そして、アコフレ村の祭りは夜まで続き、クレナと、モアは色んな出店を周り食べ続けていた。ヘルメは何故かモジモジしている様子だった。
「どうした、ヘルメ?」
「いや!あの、その……ふ、二人だけで歩きませんか……?」
ヘルメの顔はとても赤かった。
「良いよ!一緒に歩こう!」
ストラスとヘルメは一緒に歩き、食べ、話した。そして気づいたら出店のない所まで歩いて来てしまった。するとヘルメが……
「あの!ストラスさん……私ストラスさんのこと……」
そう言いかけた時ヘルメとクレナがコッチに向かってきた。
「結構探したんだぞ!」
「この村の食べ物メチャクチャ美味いのだ!」
クレナの顔を見ると少し赤らめていて、しょんぼりしていた。
祭りも終わりに近づいたので、家に帰ることにした。
「なぁヘルメあの時何て言おうしたんだ?」
「い、いえもう何でもないですよ」
それは何かがあるように誤魔化していた。
「そういえば、ストラスなんか村長がまた機会があったら二人のクッキーを売って欲しいって言ってたぞ」
「じゃあ、また機会があったら売ってみるか」
実際の所ヘルメが何が言いたかったのかは、大体察していた。ストラスの予想だと「好き」だろう。
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