第2話:あいつもきっと

『なんだそれ馬鹿馬鹿しいな。』

俺も最初は信じれなかった。あんなことが起きるまでは…

そう。現実はいつも俺たちをおとしめてくる。

この世界だって現実とおなじように…

『危ない!』その時だ、路地裏の天井が急に崩れ落ちてきたのだ。何とかさっきの声で助かったが、誰の声だったのか。

そっと路地裏を振り返ってみた。

『そうだ!雅人は!雅人は無事か!』

『おう、俺なら無事だ…へへっ足をやられたがな…』雅人の足をパイプが貫いていた。

あの深さならもう助からないだろう。でも俺は諦めたくなかった。

『大丈夫だ!俺が何とかしてみせるからな』

『無理だ、もう足に力も入らねぇ。お前だけでも瓦礫に潰される前にここから離れるんだ』

『でも、お前には、、、』

『そこまで言うならこれを持っていけ、剣のブレスレットだ。困った時にその剣を抜くといいよ』

俺は雅人から剣の形を模したブレスレットを受け取った。

『でもお前それじゃあ救われない…』

『いいか、振り返るな。前を向け!こんな荒廃した世界で歴史を勉強してたのはお前ただ1人だ!この世界は昔のような光はない。だが、お前のその知識量があれば必ずこの荒れ果てた世界も先祖の世界のように光に溢れるから…だから…お前だけでも逃げるんだ!早く逃げろ!』

俺は目から出た涙を拭って立ち上がってその路地裏を後にした。

『頼んだぞNTKに光あれ…』

俺が裏路地から出た瞬間に裏路地は瓦礫の山になってしまっていた。何度も泣きかけた叫びたいと思った。でも、そうすると雅人との約束を破ってしまう。

それから毎日のように裏路地に訪れてはお参りをした。

『ありがとう雅人。お前が助けてくれた分新たな文明を作り上げてみせる。』


『和也…くん?』

その綺麗な声に振り向くと、ずっと子供の頃から一緒にいてくれた春姉さんだった。


〜3話に続く〜

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