病院のとなり
バブみ道日丿宮組
お題:賢い病院 制限時間:15分
病院のとなり
どうして学校の近くに病院があるかといえば、
「……あきないなぁ」
乱闘騒ぎが日常的にあるからだ。
しかも男子が喧嘩してるわけではなく、女子が主に叩き合ってる。
そういうわけで、そのまま病院に行くという流れができあがってる。そのために病院の近くに学校があるという都市伝説さえあるくらいだ。
教室から見える校庭の様子は、かなり世紀末。つかみ合って、頬を叩きつけあってたり、砂をかけたりと、乱暴な世界が広がってる。
どうしてこうも争うのだろうかと思案してると、
「どっちの味方なの?」
幼馴染が声をかけてきた。
「……どっちでもないよ」
かわいい顔をして包帯だらけの幼馴染。ちなみに教室内では怪我をしてる人のが多い。骨折だとか、打撲だとか、捻挫だとか。もちろん、女子生徒だけ。
幼馴染はかなりの狂犬具合らしいが、僕を未だに参加させようとしてくる。生傷の多さはトップラクラスだろう。
「僕は喧嘩なんかしたくないからね」
「えっ? 試験でぼこぼこにしてるじゃん」
「それはぼこぼこと言わないよ」
成績を上げることは喧嘩とは言わないし、傷を作ることでもない。
「ふーん。そうだ、こないだ教えてくれた試験範囲ありがとうね」
「いいよ。再確認になったし」
幼馴染は窓に近づき、外を見る。
「今日は軽いわね」
「そう? だいぶ喧嘩してると思うよ」
「私だったら、もう殴ってるもの」
怖いなぁ。幼馴染怖いなぁ。
「大丈夫。あなたには喧嘩は売らないし、愛してるもの」
「ありがとう?」
お礼をいう場面なのか、これは?
「あとで病院行くのに付き合ってくれない?」
「別にいいけど、なんで?」
「だって、怖いじゃない」
怖いなら喧嘩しなきゃいいのに……とは言えなかった。
「今度転校生がくるらしいわ」
「そうなんだ?」
「女子だったら、誰がリーダーなのか教え込まなきゃいけないわね」
不憫でならない。男子であってくれと願わずにはいられない。
「そういえば、女子なのにあなたは喧嘩売られないわね?」
「そうかな。男の子に見られてるんじゃない」
制服が女子のものなのにそれはないだろう。
「ふーん。でも、いいわ。あなたが傷ついたら、私が一生許さないもの」
「ありがとう?」
これもお礼をいうべきことなのだろうか。
「そろそろ時間ね」
そういって、幼馴染は自分の席へと戻った。
それを合図にしてか、教室内は静かになり、そしてチャイムが鳴った。
病院のとなり バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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