ダンジョン調査にいくぞー!(嫌だ~!)
諦めに似た感じで、ダンジョン調査に着いていくイージスにレインが気を効かせて渡してきた。
【解放】(リリース)
「えっ?」
イージスは、目の前に出された光の聖剣バルムンクに戸惑った。
「な、何これ………?」
「1番弱い君に貸してあげるよ。私はもう1つ持っているから」
!?
「「なんだって!?」」
シオンとイージスがハモって叫んだ!
シオン
『このような聖剣をもう1つ持っているだと!?…………許すまじ』
イージス
『これが噂のレイン王子の聖剣……?選ばれたものじゃなくても使えるのかな?』
驚いた二人の意見は割れていた。嫉妬に怒るシオンと、聖剣って他人でも使えるの?と疑問に思うイージスであった。
そしてこの状態が思わぬ事態を招くとは誰も思ってはいなかった………
イージスはレインに渡された聖剣バルムンクを手に取り、魔物達に使ってみた。
「凄いな!魔物が紙みたいに切り裂かれるぞ!?」
余りの切れ味に興奮するイージスに、レインは笑みを浮かべて言った。
「このダンジョン調査の間は貸してあげるから頑張ってね」
『クックックッ、これで魔力切れを起こしたら置いていこう』
聖剣や魔剣の類いは召喚している間は魔力を消費するのが普通である。しかし、レインにも予想外な事が起こっていたのだ。
実は、聖剣バルムンクはレインを主人として認めていなかったのだ。理由は単純に『男性』しか装備できない設定だったからだ。
そう、勇者が男性にしかなれないので聖剣も男性仕様に作られたのだ。
しかし、レインのチートとも言える圧倒的な力の前に、無理矢理使われていたのである。
そこに、自分と同じような境遇の人物に使われたらどうだろうか?
魔戦斧ディザスターほどではないにしろ、自我を持つ聖剣はイージスに共感してイージスを主人と認めたのだった。故に、魔力の消費も抑えられ、魔物を倒す時に魔物から魔力を奪うのでイージス本人は全然元気なのだった。
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「よし、二階層も異常なしだな」
ダンジョン調査の1日目は二階層までの探索で終わった。
ただ進むのではなく、行き止まりとわかっていても崩れた所などないか、くまなく歩き続けるため時間が掛かるからだ。
「ふぅ、疲れたね」
「そうだな。少し退屈だったけどな」
転移魔方陣から帰還すると、イージスはレインに聖剣を返した。
「ありがとう!貴重な体験ができたよ」
「ふむ……まぁ、よかったよ」
魔力切れを起こさなかったイージスに不満があったレインだったが、聖剣バルムンクに触ると、電撃が走ったかのように弾かれた
バチッ
!?
「なっ─」
「えっ?」
イージスは自分は何もしていないと首を振った。地面に聖剣を突き立てるとレインは無理矢理聖剣を握った。
バチバチッ!!!!!
「ぐっ………クソが!」
手に魔力を込めて無理矢理握ってみるが、激しく反発しており、長時間持っているのは無理だった。
「はぁはぁ………どうして」
そこにマリアが助言した。
「レイン様、これ………コホンッ、聖剣バルムンクはイージスさんを主人として認めているようですわ」
マリアの観察力にイージスに視線が集中した。
!?
「やってくれるじゃないか?まさか聖剣を盗られるとはね?」
流石のレインも声が低くくなっていた。
「い、いや!?僕は普通に使っていただけで、何もしてないよ!?」
泣き顔のイージスは聖剣バルムンクを手に入れるのだった。
そしてシオンは『いいなぁ~』と呑気に思っているのであった。
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