気弱な私が転生したら、チートを持っていたのは婚約者の方だった件について─
naturalsoft
プロローグ
ガタゴト…………
踏み固められた街道を馬車がゆっくりと進んでいた。
「はぁ~、どうしてこうなったの?」
馬車の中で憂鬱な顔でため息を付く、絶世の美少女がいた。サラサラと絹のような質感の銀髪を靡かせながら、目はタレ目で庇護欲を掻き立てられるような容姿に、その姿にあった首飾りや服の装飾品が『彼女』をより引き立てていた。
彼女はシオン・ファーレンド公爵令嬢であり、ムーンスター帝国に3つしかない王家の血を受け継ぐ公爵の1つの生まれであった。
そして【転生者】である。
産まれてしばらくは普通の子供として育った私だったが、5歳の時に受ける『精霊の儀式』で前世の記憶が戻ってきたのだ。
………ああぁ神様、どうして『私』はもっと早く記憶が戻らなかったのだろうか?
私はこれから向かう王城を見て深くため息を付くのだった。
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