第15話 生き恥をかき、「死」という出口に向かうのみ!
遂に「怒り」のアーカイブは次々と俺の脳内に過去の憎しみを映写し始めた。
その映像には、朧げな警察官の姿、玄関先で母親を詰っているポリ公、小学校6年生共のイワシの群、決して1人では俺に向かって来れない雑魚達、偉そうにウンチク垂れる教員共、決して俺と目を合わせようとしない聖人君子気取りの先公共、俺を騙し、裏切り、元彼の妻となった恋人、決して俺に本音を言わない腐れ女、俺を利用するだけ利用し、汚い仕事には手を付けず栄転を繰り返し、イエスマンを貫きお偉方になって行った会社の同僚、決して俺と議論をすることを避け、俺の憤慨を録音し本社にチクるコヨーテ野郎、そして、腐り果てた保身と野心にしがみつき、人間性のかけらもなく、部下からの信頼は微塵もなく、自律的な行動も取れず、マニュアルがなければ何も出来ず、有事には慌てるだけで先頭に立つこともなく、ただただ、何事もなかったように時が過ぎ去るのを辛抱強く待っているだけの卑怯者、俺の会社の本社社員共、田舎者の寄せ集めが、勘違いして都会人面しやがり、本社の壁から離れると、子鹿のようにビビり、一つ文句を言われると対処出来ず、すぐチクる、チキン野郎!
加えて、可哀想に女性の登用として抜擢されたが、無能が故に、何も一人で出来ず、いつもいつも、お願い、お願いで、人に頼むことしかできない、「お願い○○ちゃん」こと、無能女性キャリア共!
俺に屈辱、侮辱を与え、俺を裏切り、騙し、逃げって行った卑怯者達、貴様らの下衆のやり口が、今、俺の脳裏に映写されている!
そこには俺の脳細胞が死骸の山となり積み上げられ、その麓に、「怒り」の熾が燻り始め、やがて、真っ赤な「怒り」の火炎となり、貴様ら全員を脳裏に映し始めた。
俺の脳内ホルモンからは生きる為のホルモンは全く分泌されない。
復讐のみの「怒り」のエネルギーが全ての感情を凌駕して、俺の眼光から正気を逸した眼力を発する。
もう後には戻れない。取り返しはつかない。
こんな悪魔をお前らが育てたのだ。お前らの俺に対する侮蔑、裏切りが…
俺が故郷の九州に戻ったのは44歳の時だった。
仕事は庶務係の支店長の鞄持ちだった。
俺が聞きもしないのに、大阪支店の上層部は俺をなだめる。
九州の配属は、全て九州支社が考えたことだ。私達ではないと。
俺が庶務係に憤慨していると勘違いし、小手先の情報を俺にチクる。
どいつもこいつも、チキン野郎ばかりだ。
俺には配属先など関係ない。
人事であろうと、庶務であろうと、営業であろうと、俺にはそんな糞みたいなことは全くもって関係ない。
俺の顔を潰した野郎共を叩き潰すだけだ。
九州支社に戻り、俺は支店長の鞄持ちを満足気にやり通したよ!
仕事内容など、どうでもよかった。
狂犬となった身、怖いものは何一つなかった。
やりたい放題だ。
俺に注意、指示する気概のある奴をじっと待っていたが、そんな奴は現れなかった。
俺に論破され、上に泣きつくチキン野郎ばかりだった。
俺が幼い頃から望んでいた、俺の姿が確立された。
誰にも利用されない、誰からも指示を受けない、誰からも邪魔をされない俺が、そこには居た。
そんな破天荒な社員が組織で生きていけるのか?って、
それがまかり通る。この腐った組織ではまかり通るのだ。
俺は狡いこと、卑怯なこと、逃げることをしなかっただけだ。
人の嫌がる仕事は進んでした。
それは俺の心情に適していた。
汚れ仕事は俺の天職でもあった。
しかし、俺のやり方に無根拠に踏み込んでくる輩には牙を剥いた、それだけのことだ。
その輩は、同僚であれ、上司であれ、本社のお偉方であれ、関係なかった。
来る日も来る日も、俺は、俺を忌み嫌う奴らを増大させ、そいつらと戦った。
俺の悪い心は非常に喜んだ。
「もうお前はイエスマンではないな。ちゃんと自分の言葉で物を申している。脳裏にある「怒り」のアーカイブ室は無用だな。お前は「怒り」を貯める必要もなく、感情の赴もくままに自分を表現している。これで、お前は人生に左右されることはない。これで、お前は、生来の不運な運命を歩むだけだ。「生」と「死」のみの入口と出口しかない、運命という道を盲目として、杖を突き、真っ直ぐ「死」の出口に向かって歩めば良い。」と
俺は鞄持ちの庶務係長の仕事をし、所管であるクレーマー対策にも大いなる喜びのもと対応した。
クレーマー対策に会社の腐れマニュアルなど俺には必要なかった。
これまでの屈辱に満ちた人生が俺の全ての教科書であった。
どんなクレーマー、どんなヤクザ、どんな右翼にも、俺の「怒り」は通用した。
腐れは腐れをよく知っている。
馬耳雑言の中、一筋の結論が俺には見える。
その光陰の駆け引きに俺は長けていた。
クレーマーに条件付きの決着はない。
クレーマーが諦めるかどうかが、決着の時だ。
来るものは拒まず、去る者は追わず。
この姿勢の元、俺は一筋の結論を探し、クレーマーに対して根本的な決着を付けて行った。
「もう、お前みたいな気狂いと話しても無駄だ。二度と来ないわ!」と
そう捨て台詞を残し、この世に病んだ人類として放置された招かざる客共は退散して行った。
ある社員が俺に聞いたことがある。
「○○係長は、あれだけ毎日のように、クレーマーと対応して、精神的に大丈夫ですか?」と
「精神的に大丈夫?」???
愚問にも程がある!
病んでるから病んだ奴の心が分かる。病んでるから、病まない。それだけのことだ!
俺はこの愚問者に対し、笑顔で答えてあげた。
「私は病んでるから大丈夫ですよ。」と
すると、この愚問者は笑いながら、こう言った。
「本当に病んでる人が、自分から病んでるなんて言いませんよ。」と
何故、そう言える!
病んでる人はカミングアウトしないと、何故、そう言い切る!
幸せな阿呆共ばかりだ…
俺はこんな阿呆共は相手にするつもりはなく、ただ、この阿呆の将来を俺の洞察が千貫した。
「こいつも逃げる人間だな」と
病むこと、死ぬことを怖がる輩には、眼下の敵に戦う姿は見出せない。
逃げて生き延びるか、又は戦場最前線で後ろを向き、眉間を撃たれることなく、後頭部を撃ち抜かれ死に恥を晒す部類の輩だ。
俺には何も怖いものはない。
生き恥をかき、死へと直行するのみ!
俺ほど、惨めな人間など居ない!
とことん、生き恥を曝け出してやる!
とことん、破天荒に生きてやる!
俺を止めることは、誰もできない!
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