ダンジョン

 そうして、俺は1時間ほど森の中を駆け回り、ようやくゴブリンを見つけた。よかった……のは、見つけたということで、悪かったのは見つけてしまったことだろう。


「……」


 いつもなら、独り言でも呟いて考えを整理するがそんな余裕すらない。

 ゴブリンは見つけた。見つけたよ。数十体のゴブリンを。

 おいおいおいおい、ここは森の中でも浅いところでこんなにいるのはいくらなんでもおかしすぎるぞ!? こんな浅いところで大繁殖してたら気づくだろう、普通。クソが。

 ん? なんだ、ゴブリン共はあの洞穴から出てきてるのか? やけに中がが舗装されてるような……なんか、街道よりも綺麗なような……


「ダンジョンか……?」


 やべ! 思わず声出ちまった。気づかれたか?


「ゴブゴブ(これうまい)」

「ゴブブ? ゴブッ!?(本当か? マズ!?)」

「ゴブブッ(バーカ)」


 ふー、気づかれてないみたいだな。にしても、馬鹿みたいな会話してるな。仲良くしろよ……

 にしてもダンジョンか……確か、発生原因は不明で最深部にはダンジョンコアがあり、それを壊せば、魔物の排出を止め、緩やかに滅ぶらしい。ダンジョンの魔物は討伐すると魔石と素材をドロップするーーそのドロップする素材が討伐証明部位になっている。ちなみにゴブリンの場合は右耳である。なんのために右耳をドロップするのだろうかーーらしい。そのため、ダンジョンをあえて生かして都市の収入源にしている所謂迷宮都市もあるようだ。


「ゴブブ、ゴブゴブ(お前ら、喧嘩するな)」


 お、他のやつが仲介に入ったぞ。


「ゴブブブ、ゴブ(早く魔物、狩りに行く)」

「ゴブ(わかった)」


 ゴブリンが魔物を狩りに行く……普通、ゴブリンは魔物を避けて弱い人間を襲うはずなのだが……これはダンジョンの魔物の特徴だったか? ダンジョンが成長するために創った魔物を使って養分を手に入れているってのが通説だったか。

 これは一度街に戻って報告しないとな……















 ファッ!? なんで、あいつらの言葉わかるの!?

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