アリスとの出会いから一月経った

 黒髪美少女(アリス)との出会いからさらに一月、俺は順調に冒険者としての研鑽を積み続けた。

 装備も一新し、片手剣、革鎧、革のレギンス、ブーツを身に纏い、ゴブリンやスライムなどの低ランクの魔物を狩り、生計を立てている。街の中の雑用の依頼だけを受けていた時よりも実の入りはいい。


「ギギ?」


 ちなみに今は森の中でゴブリンを狩っている。

 ゴブリンの生態としては、メスが著しく少なく他種族(特に人間やエルフ)のメスを攫い、孕ませるそうで基本的に見つけ次第駆除する様に言われている。また、農家の畑から収穫物を強奪、人間の殺戮、コロニーの形成をすることで割と真面目にやばい時は村が軽く滅ぶので害獣認定されている。アルバートが壊滅させていたコロニーは村どころか簡易の町も滅ぼせる可能性のあるものだったようだ。あのハゲ(鎧、脱がないからわからない)すごいやつだったんだな。

 

「ほい」


 ゴブリンの首を奇襲気味に斬り飛ばしながら、周囲を警戒する。


「んー、気配とかもないし、この辺のやつ全滅させたか?」


 困ったな。今回受けた依頼はゴブリンを10体討伐するってやつなのに、今ので9体目……流石に連日で狩ったのやり過ぎたか? まあ、害獣だし、減るのはいいが生態系がなぁ……考えないようにするか。


「ん?」


 いま、何か音がしたようなーー


「ギッ!」

「ぐっ!?」


 突然、背後から首を狙って放たれた短剣をなんとか剣で防いだ俺は前に前転し、その場を離れ、短剣の主と相対する。


「ギ?」


 キョトンとした顔のゴブリンは通常のものよりも色が緑っぽかった。

 直前まで一切、気配を感じなかったんだが!?


「シッ!」

「キギャ!?」


 混乱を抑えて、先手必勝とばかりに斬りかかるが、短剣で受け止められる。が、


「だからどうした!」


 駆けた勢いそのままに跳び蹴りを打ち込み、倒れたところにトドメの打ち下ろしを脳天に入れておく。


『ゴブリンアサシンを殺害しました。略奪を開始します』

『略奪しました。種族『ゴブリンアサシン』、種族スキル《擬態》《気配遮断》、スキル《短剣術2》《気配遮断2》《暗殺術2》を獲得しました』


 ふー、強いと思ったら上位種だったか……反応遅れたら死んでた……隠密系相手の気配察知能力向上が今後の課題か。

 それにしても種族スキルとスキルで《気配遮断》があるが、別口なのか?

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