臆病者? 否定はしない

 黒く長い髪、黒い眼、端正な顔つき、そしてどことは言わないが大きい、そんな美少女が目の前に立っている。ふむ、どストライクだ。


「あら、あなた、引き篭もりじゃない」


 引き篭もりとは街から一切出ようとしない俺に対して、冒険者たちが言い始めた蔑称である。まあ、新人でも数日で街から出るからなぁ。


「ふ、今日、街から出る依頼を受けたから引き篭もりではないぞ」

「じゃあ、臆病者ね」

「……否定はしない」


 だって、死ぬの嫌だし。


「んじゃま、どうぞ」

「ええ、通らせもらうわ」


 そんな感じで黒髪美少女との出会いはこんな感じであった。

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