初めての戦闘

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《略奪》

 ■■■■■により、作られた異能。保有者が未熟なため、まだ、第一位階しか発動されていない。

 第一位階の能力は、殺害した生物の職業、職業スキル、スキル、ユニークスキルの略奪。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 キタァァアアア! これはチート! まさしくチート!

 いや、待てよ。これ、今現在、俺が非力であることには変わりないのでは……どうしようもないこと嘆いていても仕方ないな。切り替えていこう。

 さてと、荷物は、帰り道で持っていたカバンだけか。中身は教科書とお菓子、水筒のみか。スマホは、く・ろ・ぬ・り! 充電忘れてたからな。これ以外には特にないな。


「死んだか? これ」


 諦めるのは早い。とりあえず、川を探そう。現在は特に雨も降りそうでもないし、山岳地ってわけでもないので、いきなり、鉄砲水、滝で死ぬってこともなさそうだし、下流に向かえば、何かしら、あるはずだし、最悪、飲水の確保場所ができる。煮沸しないと飲めないだろうが。次は、なにかしらの食料調達だな。しばらくはお菓子で生き延びるとして、つきたら死ぬしな。

 行動指針をある程度立てたので、行動に移ることにする。





「ぜぇぜぇ、川は見つけたが、全然、人里には出れないな……」


 かれこれ数時間は歩きっぱなしである。慣れない森の中で歩くのは本当に体力を消耗する。どこかで休みたい。


「て言っても、休む場所なんて……な……い」


 ……ふむ、人型の何かが、川の水飲んでるな。

 川沿いを歩いているのだから、当たり前だが、川に水分補給しにくる動物と会う可能性はある。こんなことに気づけなかった自分を恨む。

 さて、どうする? 一応、声かけるか? いや、敵かもしれないし……

 などと考えていると、向こうもこちらに気づいたようで、視線をこちらに向ける。目と目が合う。


「ギィ!」


 瞬間、小さな人型は醜悪な形相で棍棒を持ちながら、こちらに駆けてくる。

 明らかな殺意を向けられて、一瞬、体が固まる。

 人型の攻撃が当たると思った、その時ーー


「キモッ!」


 反射的に蹴りを放っていた。

 実は、母の実家があらゆる状況に対応できるように作られた武術を代々継承する家系で、それを母に叩き込まれていたのだ。先程は、初めての殺気ということで動揺してしまったが、落ち着くとなんてことはない。母の方が10倍早い。


「ギギッ!?」


 ま、この程度なら、殺せる。チャチャっと終わらせるか。

 考えながら構えを取る。武器もないので、素手だが、まあ、なんとかなるか。






 数分後、

 

「うし、こんなものか」


 ゴキ、そんな音ともに人型の頭を踏み砕く。


「死んだな」


『ゴブリンを殺害しました。レベルが上がりました。略奪を開始します』


「お、始まった」


 よかった。これでしばらくは何とかなるだろう。ていうか、薄々、感じてたけど、これがゴブリンか。さてさて、戦利品は、







『略奪しました。種族『ゴブリン』、種族スキル《繁殖》《異種姦》を獲得しました』


 ……うん。まあ、いくつか、言いたいことはある。ただ、これだけは先に言わせてもらう。


「《繁殖》をどこで使えというのだ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る