第4話 行動開始です
結局あの後、お兄様が何とかお義姉様を説得し、無事1人でベッドに入る事が出来た。それにしても、やっぱりトーマス様はカッコよかったわ。
明日レイラの家に行って、何とかトーマス様に会える様手配してもらおう!
翌日
早速レイラの家に向かおうとしたのだが…
「ルシータ、一体どこに出掛けるつもりなの?昨日あんなにも恐ろしい思いをしたのだから、今日は家でゆっくりしていなさい!」
お母様に引き留められてしまった。お父様も心配そうにこっちを見ている。そうだわ、両親にトーマス様の事を話さないとね!
「お父様、お母様、私は昨日ある人物に恋をしましたの!彼を手に入れる為に、全力を尽くそうと思っております。ご安心ください、彼はこの国の人間で、王族ではありませんから!」
やっと理想の男性を見つけたのよ!それもちゃんと両親の条件通りだし!どや顔でお父様とお母様に報告をする。
「それは本当か?それで、相手は誰なんだ!」
食いつき気味に聞いて来るお父様。お母様も目を輝かせている。
「相手は騎士団長のトーマス・マルティネス様よ!」
「トーマスだと…」
なぜか固まるお父様とお母様。一体どうしたのかしら?
「お前、トーマスの顔をよく見たのか?」
「失礼ね!しっかり見たわ!あの勇ましいお姿を見たら、惚れない方がおかしいわ!」
思い出しただけで、うっとりする!あぁ、早くトーマス様にお会いしたい…
「あなた!騎士団長のトーマス殿と言えば、マルティネス公爵家の次男でしょう?身分的にも問題ないわ。ただ、お顔が少しごついけれど、許容範囲よ…きっと…」
なぜか最後の方、勢いがなくなったお母様。
「そうだな…ルシータが決めた相手だ!早速トーマスと婚約する手はずを整えよう。今すぐマルティネス家に使いを出さないと!」
そう言ったお父様。トーマス様ともう婚約だなんて!でも…
「ちょっと待って、お父様!今回の件は私の片思いで、トーマス様はきっと私の事を知らないはずよ!まずは私を知ってもらう事から始めないと!」
「まあ、あなたの片思いなの?そうね、相手が了承していないのなら、婚約は厳しいわね。ルシータ、まずはトーマス殿を惚れさせるところからスタートね。大丈夫よ、あなたは私に似て物凄く美しいのだから。きっとイチコロよ」
そう言ってウィンクをするお母様。そんなにうまく行くかしら?
そうだわ、思い出した!私はトーマス様に会わせてもらう為に、レイラの家に向かうところだったのよ!
「とにかくトーマス様に会う為に、今からレイラの元に行くの。それじゃあ、行って来ます!」
両親に伝えると、急いで馬車に乗り込んだ!もちろん行先は、ロペス侯爵家だ!
「ルシータ、どうしたの?朝からあなたが来るなんて珍しいわね」
「急に来てごめんね。あのね、どうしても私、トーマス様に会いたくて!お願い!ジョセフ様に頼んで、一緒に騎士団に連れて行ってもらえないかしら?」
「お兄様に?別に行けれど…あなた、本当に騎士団長に興味があるの?あのゴリラに?」
「ちょっとレイラ!トーマス様の事を、ゴリラって言うのは止めて!とにかくトーマス様に会いたいの!お願い!」
「仕方ないわね。少し待っていて!」
呆れ顔で部屋から出て行くレイラ。しばらく待っていると、騎士団の服を着たジョセフ様が入って来た。
「やあルシータ嬢。久しぶりだね。レイラから話しは聞いたが、本当にトーマスが好きなのかい?こう言っちゃあ何だが、あいつはあの見た目のせいで女性が苦手だ!冷やかしなら止めてやってくれ!」
「冷やかしだなんて!私は本当にトーマス様が好きなのです!あの勇ましいお姿を見たら、好きにならない方がおかしいですわ!」
鼻息荒くジョセフ様に詰め寄った。
「…分かったよ。一応騎士団員からの入場許可証があれば、騎士団を見学できることになっているから、早速書いてあげるよ!ただ、トーマスは本当の令嬢が苦手だからな…それから、騎士団は男ばかりだ。君の様な美しい女性がこれば、たちまち男共が群がるだろう。とにかく、出来るだけ1人にならない様に気を付けるんだよ。とりあえず今日は、レイラとずっといる様に!」
「え…私もあのむさ苦しい所に行くの?」
「ありがとうございます!ジョセフ様!」
レイラの嘆きの様な言葉が聞こえてきたが、私の声にかき消されていた。
「それじゃあ、俺もそろそろ騎士団に向かわないといけないから、一緒に行こうか?」
「はい、よろしくお願いします」
やっとトーマス様に会えるのね。トーマス様の事を考えただけで、鼻血が出そうだわ。きっと今の私の顔は物凄く締まりがないはずだ。現に隣で、残念な物を見るような表情をしたレイラが若干視界に入っている。
物凄く嫌そうなレイラの腕をしっかりつかみ、嬉しそうにジョセフに付いて行くルシータであった。
~あとがき~
レイラの兄ジョセフは既に結婚して、本家の隣に屋敷を建て、妻と子供と一緒に生活しています。ちなみに、トーマスと同じ21歳です。
引き続きよろしくお願いいたしますm(__)m
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