いかつい顔の騎士団長を絶対に振り向かせて見せます!

@karamimi

第1話 革命軍に襲われました

「は~、それじゃあ、行きたくないけれど行って来るわ」


重い足取りで玄関へと向かう。私の名前はルシータ・ジョーンズ、16歳。今から向かうのは今日行われる夜会会場。16歳になった私は、未来の旦那様を探す為、頻繁に夜会に参加させられているのだ。


「ルシータ、そんなに嫌そうな顔をしないでくれ!とにかく、この国の令息を捕まえろよ!陛下からも、これ以上他国の王族に目を付けられては困ると言われているのだから!」


「分かっているわ、お父様」


お父様がそう言うのには理由がある。

私には姉が2人と兄が1人いるのだが、なぜか我が一族は恐ろしいほどモテる。7歳上の長姉は、王太子殿下の寵愛を受け王太子妃になった。5歳上の兄は、隣国の王女に見初められ、王女を妻にもらった。


さらに3歳上の次姉は、別の国の王太子に猛アプローチを受けた後、その国の王太子妃として嫁いで行った。そう、3人共配偶者が王族なのだ。さすがにジョーンズ公爵家に王族が集まりすぎているという事で、私には王族以外のこの国の人と出来たら結婚させたいと、両親は考えているらしい。


そのため、16歳の社交界デビューと同時に、急いで自国の男性と婚約させようとしているらしい。でも…正直これと言った令息がいないのよね…


ちなみに、この国では政略結婚が禁止されている。ひと昔前までは当たり前の様に行われていた政略結婚だったが、駆け落ちが物凄く多かった上、好きな人と結婚する為、婚約者を暗殺しようとする恐ろしい者まで現れた。幸せな家庭を築いてもらう為にも、政略結婚は禁止されたという訳なのだ。


俗に言う、恋愛結婚と呼ばれるものが主流らしい。ただしいくら恋愛が自由でも、基本的に貴族は貴族同士で結婚する事が暗黙のルール。さらに、出来るだけ身分の近いもの同士で結婚するのも、この国では暗黙のルールなのだ。


そんな面倒なルールに乗っ取り、私は婚約者を選ばなければいけない。重い足取りで、馬車に乗り込んだ。よく考えると、週に3回は夜会に出ている気がするわね…


「はぁ~~」


馬車の中でも、ついため息が漏れてしまう。そして今日の会場に着いた。今回はあまり規模が大きくないと聞いていたが、それでも男女各20名程度は来ている。


「ルシータ、こっちよ!」


会場に着くと、早速話しかけて来てくれたのは、親友で侯爵令嬢のレイラだ!彼女も今年16歳、一緒に社交界デビューした。


「レイラ、良かったわ!今日は人数が少ないと聞いていたから、あなたは居ないと思っていたの。いつもの様に、一緒に過ごしましょう!」


レイラも今婚約者を探している最中だ。ただレイラもあまり結婚に興味がない様で、よく2人でひっそりと壁の花に扮しているのだが…


「ルシータ嬢。私と踊って頂けますか?」


1人の令息が話しかけて来た。夜会でダンスを申し込まれたら、踊るのがルールだ。仕方ない!物凄く面倒ではあるが、令息の手をとりホールで踊る。ふとレイラの方を見ると、レイラも令息たちに囲まれていた。ちなみにレイラは物凄く美人で、物凄くモテるのだ。


やっと終わった!そう思っても次から次へと誘われる為、中々解放されない。やっと解放された頃には、既にクタクタだ…




「ルシータ、お疲れ様!私もさすがに疲れたわ!」


私に飲み物を渡してくれたレイラ。レイラもさっきまで、ずっと令息と踊っていた。


「ありがとう、レイラ。あなたも疲れたでしょう?それにしても、どうしてこうも男共はダンスが好きなのかしらね…とにかく一通り踊ったし、後は2人で過ごしましょう!」


レイラに貰った飲み物を一気に飲み干した。その時だった。物凄い勢いでドアが開いたと思ったら、武装した男性たちが入って来た。


「キャァァァァァ」


令嬢の悲鳴が響き渡り、皆一斉に逃げ惑う。


「ルシータ、革命軍よ!私たちも逃げましょう!」


革命軍…わが国では、王族に不満を持った組織が存在している。最近活動が活発化しており、街では集会を開いていた市民達が何度か襲われたと聞く。まさか貴族が集まる夜会に、革命軍が現れるだなんて…


会場は大混乱だ!私もレイラと一緒に逃げようとしたのだが、あっという間に革命軍に捕まってしまった。そして捕まった貴族たちは縛り上げられている。ふと周りを見ると、私たち以外にも20人程度縛られている。


「こいつらを連れ出せ!」


縛られたまま馬車の荷台へと乗せられる。恐怖で体が震える。革命軍は物凄く残忍で有名よ。きっと私たちは、このまま殺されるのだわ…




~あとがき~

新連載始めました。

よろしくお願いいたしますm(__)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る