スコール
バラバラバラバラ、弾幕。雨の弾幕だ。
僕たちの手持ちは自転車のみ。雨具はない。
しょうがない、行くしかない。決意して自転車に乗り込んだ。
風と一緒に雨を切って走る。
濡れて肌の感覚がカッターシャツとリンクする。もうすぐ夏だというのに身体はしきりに震える。
隣を走る少女ももう限界と叫ぶ。セーラーの襟がバタバタとはためく。
青春だなぁ。誰かがそうつぶやく声が聞こえた。これが青春なら、走るのをやめたくない。
止まって欲しくない。こんなに苦しいのに、この時間が終わるのがとてつもなく嫌だ。
少しでも気を抜けば、帰りたくないだなんてイカれた言葉が口から飛び跳ねてしまいそうだ!
雨玉が心と身体を狂わせる。言う気のなかった本音も雨に溶けて出てしまう。でも、本当に言いたい言葉は不溶性みたいだ。
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