毒ガス
湧き出す。いや、吹き出す。
身体中の穴という穴から吹き出す。赤紫色の霧が辺りを包む。これはなんだ。怒りか。
明確なこいつへの怒りだ。
この怒りは毒ガスだ。毒ガスは、奴を世界最悪のクソ野郎だと言って、かつてない大喧嘩へと俺を誘う。
ああ、叶うならばこの毒ガスが奴にも届けばいいのに。毒ガスでこいつを呪い殺すことが出来れば、すぐさま毒ガスは消え去るというのに。
でも奴には毒ガスの姿すら見えちゃいない。俺が怒っているのを見て鼻の穴を醜く膨らませているだけだ。
しょうもない。わかっているのだ。わかってはいるのだ。でも退けない、退いたらそこに待ち受けているのは惨めな俺だ。
子供の自分たちにとって一年は大きな差だ。その大きな壁から逃げてはいけないという義務を未来の俺から背負わされてしまった。
さあ、この壁をブチ破ろう、毒ガスで頭を狂わして。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます