あれ、なんか違くない?

 あれ、なんか違くない?

 お昼休む終わりの三時間目、漢字テスト。七分前にそれなりに勉強したおかげで今んとこノーミス、だった。そして問9も自信満々に書いた、はずだった。


(シンコク)な状況、「深酷」


 なんか、違う気がする。何が違う。明確に違うのはわかる。ただ、どこが違うのか分からない。えーっ、どこだろ。わっかんないや。

 自信満々に書いたのに違う。うわ、この嫌な感覚。最初っから世界間違ってましたよーって言われたみたいな不思議な違和感。

 親指で「深」を隠してみる。〇酷。いや、違うな。

 今度は「酷」を隠してみる。深〇。強いて言えばこっち、かなぁ? 確信はないけど。

 だとしたらコクだよね。なんだろ。こくコク告国黒・・・・・・。一つもパッとしない。

 あー、アラームなっちゃった。前の人とテストを交換して採点する。あそこ以外は全部いけてる気するんだけどなぁ。

 前の人のテストに青ペンでどんどん✕をつけていく。おーさすが学年三百人中三百位。全部✕だ。

 あっちも採点終わったみたいだからテストを返して私のを受け取る。

 私のテストはー、っと。✕、✕、✕・・・・・・。お、いい感じ。あーっ。やっぱり問9だけ〇だよ。おかげで満点逃しちゃった。

 満点だ、と喜ぶ前の人に私は若干のやっかみを込めてこう言った。

「全問正解おめでとう」

 あーあ。深酷さえなければなぁ・・・・・・。そういうかんじに世界が最初から間違ってたのかな。

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