おいてかないで
素素sai
おいてかないで
カーテンを開ける音とそこから差し込む眩しさで目が覚める。
しばらく毛布の中でごろごろする。
キッチンからパンの焼ける匂いとソーセージの弾ける音がする。
身体が今日に慣れたら毛布から抜けて、階段を降りて、リビングとキッチンを過ぎて洗面所へ行く。
うがいをして歯を磨いて、顔を冷たい水でぱしゃりと濡らす。
そしてトリップトラップチェアに座ったら朝ごはんのはじまり。
サラダにシーザードレッシングをかけて、パンにバターと蜂蜜をぬって、ソーセージにマスタードをつけて、スクランブルエッグにケチャップで波を描く。
コーヒーにはミルクを混ぜていちばんに飲む。
ガラス戸から見えるウッドデッキに猫がひなたぼっこをするのを眺めながら食べる。
時間がゆっくりと流れる。午前は時計の針が進むのが遅い。
ずっと、ずっと、こんなふうだったらいいのに。いつまでもこのときに留まって、離れたくない。
でもまだ、あと少しは大丈夫。
食べ終わるまではきっと、朝だから。
おいてかないで 素素sai @motomoto_rororo
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